飲食店に併設して酒類販売を行う場合には、販売場の区分だけでなく、誰が実際に店舗を運営し、酒類販売を管理するのかも重要な確認事項となります。
今回は、飲食店・オンラインサロン・メディア運営、SNS運用コンサルティングなどを行う法人様からご依頼をいただき、カフェで一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の取得を目指しました。
しかし、最初に申請した渋谷区の店舗では、審査の過程で店舗運営を外部へ委託していることについて税務署から確認があり、最終的に申請を取り下げることとなりました。
その後、直接雇用の従業員が運営する世田谷区の別店舗で改めて申請し、一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許を取得しました。
一度取り下げとなった原因を整理し、販売場を変更して再申請した事例として、審査で確認されたポイントをご紹介します。
1. 事例の概要
飲食店・オンラインサロン・メディア運営、SNS運用コンサルティングなど複数の事業を手がける法人が、運営するカフェで一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の取得を目指しました。当初申請した渋谷区の店舗は、決算書の外注費計上をきっかけに店舗運営の実態が外注先によるものと判明し、税務署から取り下げを求められました。その後、直接雇用の従業員が運営する世田谷区の店舗で改めて申請し、約2ヶ月半で免許を取得しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼者の業種 | 飲食店・オンラインサロン運営、メディア運営、ビジネス・SNS運用コンサルティング |
| 取得免許 | 一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許(通販は国産スピリッツに限る) |
| お問い合わせ日 | 2022年11月28日 |
| 1回目の申請地 | 東京都渋谷区(外注運営が理由で取り下げ) |
| 2回目の申請地・申請日 | 東京都世田谷区/2023年7月5日 |
| 免許交付日 | 2023年8月28日 |
| お問い合わせから交付まで | 約9ヶ月(うち1回目の申請から取下げまで約1ヶ月半、2回目の申請から交付まで約1ヶ月半) |
2. ご相談の経緯
依頼者は、飲食店やオンラインサロンの運営、各種メディアの運営、ビジネス・SNS運用等のコンサルティングを幅広く手がける法人です。運営するカフェ店舗で、飲食提供に加えてお酒の店頭販売・通信販売も行いたいというご要望から、一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の取得代行をご依頼いただきました。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2022年11月28日 | お問い合わせ。一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の2免許取得を計画 |
| 2023年2月14日 | 東京都渋谷区の店舗(カフェ)を販売場として申請 |
| 2023年2月21日 | 税務署より、決算書に外注費が計上されている点について照会。申請場所のカフェが外注先により運営されているのではないか、外注先が店舗運営をしている場合は不特定多数の者が出入りする場所とみなされ免許を交付できない旨の指摘 |
| 2023年3月31日 | 渋谷区店舗での申請を取り下げ |
| 2023年7月5日 | 直接雇用の従業員が運営する東京都世田谷区の別店舗を販売場として再申請 |
| 審査期間中 | 飲食用・販売用の区分を証明するため、当初提出したPOSレジの登録画像がわかりにくいとの指摘を受け、レシートのサンプルで飲食と物販が区別されていることを証明 |
| 2023年8月28日 | 一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許を取得 |
3. この事例のポイント
① 飲食店併設申請では飲食用・販売用の区分を証明する必要がある
飲食店で酒類販売業免許を取得する場合、飲食提供用のお酒と販売用のお酒を明確に区分して管理していることを証明する必要があります。今回はPOSレジで両者を商品登録して管理する方針とし、レジの登録画面をキャプチャして提出しました。
しかし2回目の申請(世田谷区店舗)では、このPOSレジの登録画像だけでは区分の状況が伝わりにくいと税務署から指摘を受けました。最終的には、実際に発行されるレシートのサンプルを提出し、レシート上で飲食メニューと販売用商品が明確に区別された表示になっていることを示すことで、区分管理の実態を証明することができました。
② 外注による店舗運営について税務署から確認があった
本件で最も特徴的だったのは、最初に申請した渋谷区の店舗について、店舗運営を外部事業者へ委託していたことが審査上の問題となった点です。
申請後、法人の決算書に計上されていた外注費について税務署から照会があり、その確認の中で、申請場所であるカフェの運営を外部事業者へ委託していることが分かりました。
本件では、税務署から、現在の運営形態では酒類販売業免許の販売場として認めることが難しい旨の説明があり、渋谷区店舗での申請を取り下げることとなりました。
酒類販売業免許では、申請者がどのような体制で販売場を運営し、酒類販売を管理するのかが確認されます。
そのため、店舗運営を外部へ委託している場合には、委託内容や実際の運営体制によって、販売主体や販売場の独立性について確認を受けることがあります。
③ 直接雇用の従業員が運営する店舗での再申請
渋谷区店舗での取り下げを受け、直接雇用の従業員が運営している世田谷区の別店舗を新たな販売場として選定し、改めて申請を行いました。従業員を直接雇用して運営している店舗であれば、外注運営に関する懸念は生じません。
法人が複数の店舗を運営している場合、酒類販売業免許の申請にあたっては、各店舗の運営体制(直接雇用か外注委託か)を事前に確認し、要件を満たす店舗を選定することが重要です。
④ 通信販売の対象品目が「国産スピリッツ」に限定された理由
今回取得した通信販売酒類小売業免許では、通信販売できる品目が国産スピリッツに限定されています。通信販売酒類小売業免許で国産酒類を扱う場合、その酒類を製造した製造者の課税移出数量が品目ごとに年間3,000キロリットル未満であることが条件です。今回は、証明書を取得できた品目が国産スピリッツであったため、その範囲での免許交付となりました。今後、他の品目を取り扱いたい場合は、該当する製造者からの証明書を取得したうえで、条件緩和の申出により品目を追加することができます。
4. よくある質問
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Q. 店舗の運営を外注(業務委託)している場合、酒類販売業免許は絶対に取得できませんか?
- 外注運営そのものが一律に不可というわけではありませんが、店舗運営の実態が外注先にあると判断される場合、その場所は不特定多数の者が出入りする場所とみなされ、免許が交付されないことがあります。直接雇用の従業員による運営体制に切り替える、または要件を満たす別の店舗で申請するといった対応が必要になります。
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Q. 決算書の内容が酒類販売業免許の審査に影響することはありますか?
- あります。本事例のように、決算書に計上された外注費の内容から店舗運営の実態が確認されることがあります。申請前に、自社の決算内容が事業実態を正しく反映しているか確認しておくことをおすすめします。
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Q. POSレジでの飲食用・販売用の区分管理は、どのように証明すればよいですか?
- レジの商品登録画面だけでなく、実際に発行されるレシートのサンプルを提出し、レシート上で飲食メニューと販売用商品が明確に区別されていることを示す方法が有効です。本事例でも、レジの登録画像だけでは伝わりにくいとの指摘を受け、レシートサンプルの提出によって区分管理の実態を証明しました。
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Q. 一度取り下げになった場合、別の場所で再申請することはできますか?
- できます。本事例のように、要件を満たさなかった店舗での申請を取り下げ、要件を満たす別の店舗で改めて申請することで免許を取得できます。取り下げとなった原因を正確に把握し、再申請時にはその点をクリアした形で臨むことが重要です。
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Q. 通信販売酒類小売業免許で「国産スピリッツに限る」など品目が限定されるのはなぜですか?
- 通信販売酒類小売業免許で国産酒類を扱う場合、品目ごとに製造者の課税移出数量が年間3,000キロリットル未満であることを示す証明書が必要です。証明書を取得できた品目のみが免許の対象となるため、今回のように特定の品目に限定される場合があります。他の品目を扱いたい場合は、条件緩和の申出で追加できます。
まとめ
本事例は、飲食店併設で酒類販売業免許を申請する際、店舗運営の実態(直接雇用か外注委託か)が審査に大きく影響することを示す実例です。決算書の外注費計上をきっかけに店舗運営が外注先によるものと判明し、一度は取り下げとなりましたが、直接雇用の従業員が運営する別店舗での再申請により、無事に免許を取得することができました。
飲食店で酒類販売業免許の取得をお考えの場合、店舗の運営体制が要件を満たしているかを事前に確認しておくことが、スムーズな免許取得につながります。
飲食店併設での酒類販売業免許取得、店舗運営体制に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。










