大学構内の売店やカフェでお酒を販売する場合でも、販売方法に応じた酒類販売業免許が必要です。
今回は、大学から売店・カフェの運営を受託している事業者が、大学ゆかりの日本酒やウイスキーを販売するために酒類販売業免許を取得した2つの事例をご紹介します。
事例①は、グッズショップとカフェを運営する会社が一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許を取得したケース、事例②は、警備会社が大学構内の売店コーナーで一般酒類小売業免許を取得したケースです。
大学との契約関係、販売場の区分、定款の事業目的など、大学構内ならではの申請上のポイントを実例をもとにご紹介します。
2つの事例の概要
| 項目 | 事例① | 事例② |
|---|---|---|
| 依頼者の本業 | 大学敷地内のグッズショップ・カフェの運営受託 | 警備業(大学敷地内の売店コーナー運営も受託) |
| 販売するお酒 | 大学卒業生が関係する企業のオリジナル日本酒・ウイスキー | 大学とのコラボレーション日本酒 |
| 取得免許 | 一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許(通販は清酒・単式蒸留焼酎・ウイスキーに限る) | 一般酒類小売業免許 |
| お問い合わせ日 | 2020年4月3日 | 2019年2月6日(顧問税理士からの紹介) |
| 申請日 | 2020年6月23日 | 2019年11月21日 |
| 免許交付日 | 2020年8月24日 | 2020年1月17日 |
| お問い合わせから交付まで | 約4ヶ月半 | 約11ヶ月半 |
事例① 大学構内のグッズショップ・カフェで酒類販売業免許を取得
大学構内でグッズショップやカフェを運営している会社様から、大学ゆかりの酒類を販売したいとのご相談をいただきました。
店舗では、大学関係のグッズ販売に加えてカフェ営業も行っており、その一角で日本酒などの酒類を販売する計画でした。
そこで、店頭での販売に対応する一般酒類小売業免許と、インターネット販売に対応する通信販売酒類小売業免許を申請しました。
ご相談の経緯
依頼者様は、大学構内でグッズショップとカフェを運営していました。
大学に関連する商品として酒類も取り扱うことになり、店頭販売だけでなく通信販売も予定していたため、必要となる免許についてご相談いただきました。
申請にあたっては、大学から店舗運営を受託していること、店舗内でカフェ営業と物販を同時に行っていることなどから、販売場の使用関係や店舗内の区分をどのように説明するかがポイントとなりました。
この事例のポイント
① 飲食スペースと物販スペースの区分を図面等で説明
今回の店舗では、カフェの飲食スペースとグッズ等の物販スペースが同じ施設内にあり、両者の間に完全な壁が設けられているわけではありませんでした。
そこで、店舗内の配置や什器、床面の違いなどを図面等で示し、どの部分で酒類を販売するのかが分かるように整理して申請しました。
飲食営業と酒類販売を同一施設内で行う場合には、店舗の構造だけでなく、実際の販売方法や管理方法も含めて説明できるようにしておくことが重要です。
本件では、売店エリアと飲食スペースの関係を具体的に示したうえで、申請を進めました。
② 通信販売で取り扱う酒類の内容を整理
通信販売酒類小売業免許については、実際にオンラインで販売する予定の酒類について、商品内容や仕入れの予定を整理して申請しました。
本件では、大学に関連する特定の商品を中心に通信販売を行う計画だったため、取扱予定の商品を明確にしたうえで申請を進めています。
通信販売では、どのような酒類を、どの地域の消費者へ、どのような方法で販売するのかを具体的に整理しておくことが重要です。
事例② 大学構内の売店コーナーで一般酒類小売業免許を取得
もう1件は、大学構内で売店運営を受託している法人様からのご相談でした。
この法人様は本業として警備業などを行っていましたが、大学構内の売店コーナーを運営することになり、その売店で酒類を販売するため、一般酒類小売業免許を申請しました。
ご相談の経緯
依頼者様は、大学から売店運営を受託していました。
売店で大学に関連する商品や食品などを販売する中で、酒類も取り扱うことになったため、一般酒類小売業免許の取得が必要となり、当事務所へご相談いただきました。
本業が酒類販売とは異なる法人であったため、申請にあたっては、今回の売店運営事業の内容や、大学との契約関係などを整理して手続きを進めました。
この事例のポイント
① 大学との契約関係を確認
大学構内の売店で申請する場合には、申請者がその場所を使用して売店を運営できることを確認できるようにしておく必要があります。
本件では、大学との売店運営に関する契約内容を確認し、申請者が当該場所で事業を行っていることが分かる資料を準備しました。
通常の賃貸店舗とは異なり、大学から運営を受託している形態だったため、実際の使用関係が分かるように書類を整理して申請しました。
② 定款の事業目的を確認して申請
今回の法人は、もともと酒類販売を主たる事業としている会社ではありませんでした。
申請前に定款の事業目的を確認したところ、今回予定している酒類販売との関係について整理が必要だったため、事業目的を追加したうえで申請を行いました。
法人で酒類販売業免許を申請する場合には、現在の定款の事業目的と、実際に行う酒類販売事業との関係を確認しておくことが重要です。
必要な対応は、既存の事業目的の内容によって異なるため、申請前に確認しておくと手続きを進めやすくなります。
2つの事例に共通するポイント
大学構内の売店やカフェで酒類販売業免許を取得する場合には、一般の路面店とは異なる契約形態や店舗構造となっていることがあります。
今回の2事例でも、共通して次の点を確認しながら申請を進めました。
① 販売場の使用関係を明確にする
大学構内の店舗では、一般的な賃貸借契約ではなく、業務委託契約や施設使用に関する契約などにより店舗を運営していることがあります。
そのため、申請者がその場所で酒類を販売できる立場にあることを、契約書や承諾に関する書類などで確認できるようにしておくことが重要です。
どのような書類が必要になるかは、大学と申請者との契約形態によって異なります。
② 飲食営業と酒類販売の関係を整理する
カフェなどの飲食営業と物販を同じ店舗で行う場合には、どこで飲食営業を行い、どこで酒類販売を行うのかを整理します。
完全に別室でなければ申請できないと一律に決まっているわけではありませんが、店舗の構造や什器配置、販売方法などをもとに、酒類販売部分を説明できるようにしておくことが重要です。
③ 本業が酒類販売でなくても申請できる
今回の事例では、グッズ販売会社や警備会社など、もともと酒類販売を本業としていない法人が申請しています。
酒類販売業免許は、本業が酒類販売であることだけを理由に可否が決まるものではありません。
実際にどのような酒類を、どこから仕入れ、誰に、どのような方法で販売するのかを整理し、申請者の事業内容として説明できるようにすることが重要です。
よくある質問
Q. 大学構内の売店でも酒類販売業免許を取得できますか?
可能です。
ただし、大学との契約関係や販売場の使用方法、店舗内の構造などを確認する必要があります。
今回の2事例では、大学から売店やカフェの運営を受託している事業者が、それぞれ必要な資料を整えて申請し、酒類販売業免許を取得しました。
Q. 大学から店舗を借りているのではなく、運営を委託されている場合でも申請できますか?
契約の内容によります。
賃貸借契約ではなく業務委託契約等で店舗を運営している場合でも、申請者がその場所で酒類販売を行う権限や実態を確認できれば、申請を検討できます。
本件でも、大学との契約内容を確認し、売店を運営していることが分かる資料を準備して対応しました。
Q. カフェと売店の間に壁がなくても申請できますか?
壁がないことだけで一律に申請できないとは限りません。
重要なのは、店舗内のどの部分を酒類販売場とし、飲食営業とどのように区分して管理するのかを説明できることです。
本件では、床面の違いや什器配置なども含めて店舗内の区分を示し、申請を進めました。
Q. 法人の定款に「酒類販売」と書いていない場合は申請できませんか?
定款の記載内容によって判断が異なります。
今回の事例②では、予定している酒類販売事業との関係を明確にするため、事業目的を追加したうえで申請しました。
既存の事業目的で対応できる場合も考えられるため、必ず「酒類販売」という文言そのものが必要と一律に考えるのではなく、申請前に定款の内容を確認することが重要です。
Q. 大学オリジナルのお酒を通信販売することもできますか?
通信販売の方法や取扱う酒類の内容に応じて、通信販売酒類小売業免許を検討することになります。
今回の事例①では、店頭販売に加えてオンライン販売も予定していたため、一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許を取得しました。
通信販売を行う場合には、取扱予定の商品、販売地域、販売方法などを整理したうえで申請する必要があります。
まとめ
大学構内の売店・カフェで酒類販売業免許を取得する場合、大学との契約関係の証明や、店舗エリアの区分の説明など、通常の店舗申請とは異なる論点が生じることがあります。一方で、大学卒業生の企業や大学とのコラボレーション商品といった、地域・機関とのつながりを活かした事業展開も可能です。
本業が酒類と直接関係のない業種であっても、受託事業の一環として免許取得を検討されている方は、お気軽にご相談ください。










