個人事業として海外向けの取引を行っていても、継続的に酒類を輸出販売する場合には、酒類販売業免許が必要です。
今回は、京都府で海外向けの事業を行っていた個人事業主様が法人化することになり、新設法人で酒類の輸出事業を本格的に開始するため、輸出酒類卸売業免許の取得をお手伝いしました。
個人事業の段階では酒類販売業免許を取得していませんでしたが、法人設立を機に、国内の仕入先や海外の販売先、輸出方法などを整理し、新設法人名義で免許申請を行いました。
個人事業から法人化し、新たに酒類輸出事業へ参入した事例として、申請の概要やポイントをご紹介します。
1. 事例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者所在地 | 京都府 |
| 依頼者の状況 | 個人事業から法人成り直後の輸出業者 |
| 取得免許 | 輸出酒類卸売業免許 |
| 特記事項 | 賃貸契約が個人名義のまま、銀行口座開設手続き中、仕入先未定という複数の課題を抱えた状態からの申請 |
| お問い合わせ日 | 2026年5月12日 |
| 申請日 | 2026年5月26日 |
| 免許取得日 | 2026年6月19日 |
| 申請から交付まで | 約3週間半(25日間) |
2. ご相談の経緯
申請者様は、個人事業主として海外向けの取引に携わっており、海外の取引先とのネットワークや輸出に関する実務経験をお持ちでした。
その後、事業の拡大に伴って法人を設立し、新設法人で日本の酒類を海外へ輸出販売する事業を始めることになりました。
個人事業の段階では酒類販売業免許を取得していなかったため、法人設立後、新たに輸出酒類卸売業免許を取得する必要があり、当事務所へご相談いただきました。
申請にあたっては、これまでの海外取引の経験を踏まえながら、新設法人としての仕入先、海外の販売先、取扱予定の酒類、輸出方法などを改めて整理し、事業内容が分かる形で申請を進めました。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年5月12日 | お問い合わせ。輸出酒類卸売業免許の取得希望、7月中旬の海外出張前の免許取得を希望する旨をヒアリング |
| 2026年5月26日 | 申請書類一式を税務署へ提出 |
| 審査期間中 | 事務所の賃貸借契約書(法人名義)、銀行口座開設に関する資料を追加提出 |
| 2026年6月19日 | 輸出酒類卸売業免許を取得 |
3. この事例のポイント
今回の申請では、主に次の3点がポイントとなりました。
①:法人化を機に輸出酒類卸売業免許を新規取得
今回の事例では、個人事業主として取得していた酒類販売業免許を法人へ移す手続きではなく、新設法人が初めて輸出酒類卸売業免許を取得する新規申請として手続きを行いました。
個人事業から法人化した場合、個人と法人は法律上別の主体となります。
本件では、個人事業時代に酒類販売業免許を取得していなかったため、法人設立後の事業計画に基づき、新設法人を申請者として輸出酒類卸売業免許を申請しました。
法人化をきっかけに新たな事業へ参入する場合には、「個人事業時代に何をしていたか」だけでなく、法人として今後どのような仕入れ・販売を行うのかを整理することが重要です。
②:個人事業時代の海外取引経験を整理
法人としては設立直後でしたが、代表者様には個人事業時代から海外の事業者との取引経験がありました。
そこで今回の申請では、代表者様がこれまでどのような海外取引に携わってきたのかを整理するとともに、新設法人で予定している酒類輸出事業とのつながりが分かるように申請内容をまとめました。
酒類販売業免許の審査では、単に「会社を設立したばかりだから経験がない」と判断されるわけではなく、代表者のこれまでの経歴や、仕入先・販売先、今後の事業計画などを含めて確認されます。
本件でも、個人事業時代の経験だけを理由に免許が交付されたということではなく、その経験を踏まえて、法人として実際にどのような酒類輸出事業を行うのかを具体的に整理して申請しました。
③:新設法人として仕入先・販売先を整理
新設法人による申請では、会社としての過去の取引実績がまだ十分にないこともあります。
そのため本件では、国内のどこから酒類を仕入れ、海外のどのような取引先へ販売するのかを整理し、新設法人としての事業計画を具体的に説明できるよう準備しました。
輸出酒類卸売業免許の申請では、国内の仕入先だけでなく、海外への販売方法や予定している取引内容についても整理しておくことが重要です。
今回も、代表者様のこれまでの海外取引経験をベースにしながら、法人としての仕入れ・販売の流れを明確にし、輸出事業の実態が分かる形で申請を進めました。
4. よくある質問
Q. 事務所の賃貸契約が個人名義のままでも、法人として輸出酒類卸売業免許を申請できますか?
申請できる場合があります。本事例のように、個人名義の契約書を添付して申請し、審査期間中に法人名義への切り替えが完了次第、契約書を追加提出するという方法で対応できることがあります。事前に税務署への確認や相談を行うことをおすすめします。
Q. 法人名義の銀行口座がまだ開設できていない場合、申請は待つべきですか?
必ずしも待つ必要はありません。本事例のように、口座開設手続き中の状態で申請を先行させ、審査期間中に口座開設に関する資料を追加提出することで対応できる場合があります。
Q. 仕入先が決まっていない段階でも輸出酒類卸売業免許を申請できますか?
販売先(輸出先)が決定していれば、仕入先の確定状況に応じて申請書類の組み立て方を調整しながら申請を進められる場合があります。取引関係を証明する書類の準備状況によって対応が変わるため、早めにご相談ください。
Q. 海外出張の予定がある場合、それに間に合わせて免許を取得することはできますか?
本事例のように、審査期間を考慮したスケジュールで早めに申請準備を進めることで、出張などの予定に間に合わせられる可能性があります。標準処理期間は約2ヶ月ですが、書類の準備状況によっては、より短期間での取得につながることもあります。
まとめ
輸出酒類卸売業免許の申請では、法人成り直後で名義変更手続きが完了していない場合や、仕入先・取引先の確定状況によって、申請書類の準備状況に差が出ることがあります。そうした場合でも、申請時点で提出可能な書類で先行して申請を行い、審査期間中に順次資料を追完していくことで、海外出張などのスケジュールに合わせた免許取得が可能になるケースがあります。
輸出酒類卸売業免許の取得をご検討中で、スケジュールに制約がある、必要書類がまだ揃っていないといったお悩みをお持ちの方は、お早めにご相談ください。










