「酒類販売業免許を取得したけれど、その後何をすべきかわからない」「酒類販売管理者の研修期限を忘れていた」「在庫が増えて販売場に置ききれなくなった」——酒類販売業免許の取得後にも、多くの手続きと義務があります。
このページでは、申請実績2,000件以上の行政書士が、酒類販売業免許の取得後にすべきことを体系的に整理して解説します。
📌 このページのポイント
・免許取得はゴールではなくスタート。継続的な義務がある
・酒類販売管理者の選任・研修は最重要事項
・毎年4月の酒類の販売数量等報告書は全事業者の義務
・変更時の異動申告・移転許可を忘れずに
・事業拡大時は条件緩和申出・蔵置所設置で対応
免許取得直後にやるべきこと(販売開始前)
免許通知書を受領したら、販売開始前に以下の準備をします。
酒類販売管理者の選任
各販売場ごとに、酒類販売管理者を1名選任する必要があります。酒類販売管理者は、その販売場で酒類の販売管理を統括する責任者です。
選任の要件:
- その販売場で常時継続的に勤務している者
- 酒類販売管理研修を受講していること(または受講予定)
- 未成年者ではないこと
酒類販売管理者選任届の提出
酒類販売管理者を選任したら、「酒類販売管理者選任届出書」を所轄税務署に提出します。販売開始前または販売開始後すみやかに提出する必要があります。
酒類販売場の標識掲示
販売場の見やすい場所に、以下の事項を記載した標識を掲示する義務があります。
- 免許の種類(一般酒類小売業免許など)
- 免許番号
- 販売場の所在地
- 免許者の氏名・名称
- 酒類販売管理者の氏名
- 酒類販売管理研修の受講日
- 次回の研修受講期限
通信販売の場合は、ECサイト上に同様の情報を掲示します。
帳簿の準備
酒類販売業者は、酒類の販売・仕入を記帳した帳簿を整備する義務があります。販売・仕入の記録、棚卸の記録、在庫管理などができる体制を販売開始前に整えてください。
帳簿は5年間の保存義務があります。
20歳未満の飲酒禁止表示
販売場・ECサイト・カタログ・店頭表示などに、「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています」等の表示が必要です。
酒類販売管理者の選任と研修
酒類販売管理者の制度は、取得後の継続的な義務の中で最も重要なポイントです。
1販売場1名の選任
販売場ごとに必ず1名の酒類販売管理者を選任します。複数店舗を運営する場合は、各店舗にそれぞれ選任が必要です。
酒類販売管理研修の必須受講
酒類販売管理者は酒類販売管理研修を受講しなければなりません。研修は約4時間で、費用は4,000円程度。各地の酒類業組合等が実施しています。
3年ごとの再受講義務
⚠ 研修期限の管理は要注意
酒類販売管理研修は3年ごとに再受講が必要です。期限を過ぎて再受講していない場合、適正な販売管理ができていないとして指導や処分の対象になる可能性があります。
研修受講日と次回受講期限は、販売場の標識にも記載するため、管理者の交代・退職時にも引き継ぎが必要です。
選任者変更時の届出
酒類販売管理者が退職・異動・交代する場合は、速やかに新しい酒類販売管理者を選任し、選任届を提出する必要があります。
継続的な義務(毎日・毎月・毎年)
帳簿の整備(販売・仕入の記帳)
酒類販売業者は毎日の販売・仕入の記録を整備する義務があります。記載項目には以下が含まれます。
- 仕入年月日
- 仕入先の名称・所在地
- 仕入品目・数量・単価・金額
- 販売年月日(継続的取引の場合)
- 販売先(取引先の名称等)
- 販売品目・数量・単価・金額
帳簿は5年間の保存義務があります。エクセル等の電子データでの管理も認められています。
酒類の販売数量等報告書(毎年4月)
⚠ 毎年4月の報告書は全事業者の義務
前年4月1日から当年3月31日までの酒類の販売数量を、毎年4月末までに所轄税務署へ報告します。未提出が続くと税務署からの指導対象となります。
報告書の様式は税務署や国税庁ウェブサイトから入手できます。販売実績がゼロの場合も、「ゼロ報告」として提出が必要です。
20歳未満の飲酒禁止の表示
販売場・ECサイト等での表示を継続的に維持します。表示が剥がれたり、新商品の取扱開始時に表示漏れがないよう注意が必要です。
適正な販売管理
20歳未満への販売禁止の徹底、酒類販売管理者による販売スタッフへの指導、未成年者の年齢確認の徹底などが求められます。通信販売の場合は注文時の年齢確認システムも適切に運用してください。
表示ラベルの管理
酒類の容器・包装には、酒税法・食品表示法・健康増進法などに基づく表示が必要です。輸入酒類の場合は日本語ラベルの貼付などの対応も必要です。
酒類蔵置所の設置
事業を続けていると、在庫が増えて販売場に置ききれなくなることがあります。このような場合に必要なのが酒類蔵置所の設置です。
💡 「蔵置所」と「蔵置場」の違い
・酒類蔵置所(所):酒税納付済みの通常の酒類を保管する倉庫。設置報告書による報告制
・酒類蔵置場(場):酒税が免税された酒類(輸出用未納税等)を保管する倉庫。設置許可申請書による許可制
一般的な販売用在庫の保管は「蔵置所」、特殊な未納税蔵置の場合は「蔵置場」となります。
酒類蔵置所とは
酒類蔵置所とは、酒類販売業者が販売場以外の場所で酒類を保管するための場所です。販売場の倉庫だけでは収まらない在庫を、別の倉庫・物流センター等に保管する場合に利用されます。
設置が必要なケース
- 販売場が手狭になり、別の倉庫に在庫を保管したい
- 通信販売の商品保管用に物流倉庫を借りた
- 輸入したワインの大量在庫を専用倉庫で保管したい
- 季節商品(ボジョレーヌーボー等)の一時保管が必要
- 輸出向けの保管場所が必要
蔵置所の手続き(通常蔵置所)
販売用の在庫を保管する通常の蔵置所については、「酒類蔵置所設置報告書」を所轄税務署に提出します。蔵置所ごとに報告が必要です。
蔵置所の手続き(未納税蔵置場等)
輸出向けに酒税を納めていない酒類の保管など、特殊なケースについては「酒類蔵置場設置許可申請書」による許可申請が必要となります。これは通常の蔵置所(報告制)とは別の制度で、酒税が免税された酒類を保管する場合に該当します。詳細は税務署または専門家にご相談ください。
蔵置所の場所要件
蔵置所の場所には、以下のような要件があります。
- 独立した区画があること
- 所有者・賃貸人の使用承諾
- 賃貸物件の場合は使用目的の確認
- 適切な保管環境(温度・湿度・防火等)
販売場と同等の場所要件を満たす必要があります。
当事務所の蔵置所・蔵置場関連実績
当事務所では奈良県での酒類蔵置場設置許可の取得実績(輸出用酒類の未納税蔵置)があり、その他にも蔵置所関連のご相談に対応しています。詳しくは奈良県の蔵置場設置許可事例もご覧ください。
変更・移転時の手続き
事業を続けていると、様々な変更が発生します。それぞれに応じた手続きが必要です。
販売場の移転 → 移転許可申請
販売場を別の場所に移す場合は、「酒類販売場移転許可申請」が必要です。標準処理期間は約1〜2ヶ月で、許可前に新しい場所で販売を始めることはできません。
申請には新しい販売場の図面・賃貸契約書・所有者承諾書・移転理由などが必要です。当事務所では販売場移転許可の取得実績が63件あります。
法人の代表者・本店所在地変更 → 異動申告
法人の代表者の変更、本店所在地の変更などの場合は、「酒類異動申告書」(または「異動届出書」)の提出が必要です。変更後速やかに提出する義務があります。
販売管理者の変更 → 選任届
酒類販売管理者が交代する場合は、新しい管理者の選任届を提出します。新管理者の研修受講状況も併せて確認してください。
商号変更 → 異動申告
法人の商号(社名)を変更した場合も、酒類異動申告書の提出が必要です。商号変更は登記事項の変更を伴うため、登記事項証明書も最新のものに更新します。
取扱品目の追加・販売方法の追加 → 条件緩和申出
現在の免許では扱えない品目や販売方法を追加したい場合は、条件緩和申出で対応します。
例:
- 一般酒類小売業免許で店頭販売のみ → 通信販売も追加
- 輸入酒類卸売業免許で輸入のみ → 国内仕入れの洋酒卸売を追加
- 通信販売酒類小売業免許で扱える品目を拡大
新規申請より行政書士報酬が安く、登録免許税も差額のみで済むケースが多くあります。詳しくは酒類販売業免許の条件緩和申出のページをご覧ください。
廃止・休業時の手続き
事業を終了する場合の手続きです。
販売業免許の廃止申請
酒類販売業を廃止する場合は、「酒類販売業免許の廃止届出書」を所轄税務署に提出します。
廃止の主な理由:
- 事業からの撤退
- 法人の解散
- 後継者不在による事業終了
休業時の手続き
一時的な休業の場合は、免許自体は維持できます。ただし長期休業の場合は事前に税務署に相談することをお勧めします。
酒類の処分方法
廃業時に在庫の酒類が残っている場合は、以下のいずれかの方法で処分します。
- 他の酒類販売業者に譲渡(取引承諾書を取得)
- 消費者に売り切る(免許廃止前の販売活動)
- 製造者に返品
- 廃棄(税務署への報告が必要な場合あり)
法人の解散時
法人が解散する場合は、解散登記・清算手続きと並行して、酒類販売業免許の廃止届出が必要です。法人が消滅した後では免許上の手続きが困難になるため、解散決議前に税務署へご相談ください。
義務違反の罰則・リスク
取得後の義務を怠ると、以下のようなリスクがあります。
帳簿の不備
帳簿の未整備・不正確な記載は、指導・是正命令の対象となります。継続的な不備は免許の取消事由になる可能性があります。
報告書の未提出
毎年4月の酒類の販売数量等報告書を提出しないと、税務署からの指導対象となります。長期にわたる未提出は信用を失う原因にもなります。
販売管理者未選任・研修未受講
酒類販売管理者の未選任、または研修期限切れの状態で販売を継続することは、適正な販売管理ができていないとして指導や処分の対象になります。
20歳未満への販売
20歳未満への酒類販売は厳しい罰則の対象です。販売場での年齢確認、通信販売での注文時年齢確認は徹底してください。
免許の取消事由
以下のような重大な違反は、免許取消の対象となります。
- 無免許販売(他の販売場での販売など)
- 虚偽申請の発覚
- 重大な税法違反
- 反復的な義務違反
取得後によくあるご相談
当事務所では、免許取得後の事業者様からも多くのご相談をいただいています。代表的な例を紹介します。
ご相談1:売れる商品が増えたので追加で扱いたい
例えば、一般酒類小売業免許で店舗販売をしている方が「通信販売も始めたい」「OEM自社ブランドの卸売もしたい」というケース。条件緩和申出または追加免許の新規取得で対応します。
ご相談2:事業拡大で別店舗を出したい
別の場所に新店舗を出店する場合は、新店舗の販売場として新規申請が必要です。すでに同種の免許を持っていても、販売場ごとに別の免許扱いとなります。
ご相談3:通信販売も始めたい
実店舗で一般酒類小売業免許を持っている方が、ECサイト販売を始めるケース。条件緩和申出で通信販売を追加できます。受注処理場所と販売場の関係には注意が必要です(通信販売免許の販売場の選び方参照)。
ご相談4:海外にも輸出したい
2022年以降、海外への販売(越境ECも含む)はすべて輸出酒類卸売業免許が必要となりました。既存免許での海外販売はできないため、輸出酒類卸売業免許の取得が必要です。
ご相談5:法人成りした・吸収合併された
個人事業から法人成り、または事業承継・吸収合併などで申請主体が変わる場合は、新法人での新規申請が必要です。個人の免許や旧法人の免許がそのまま新法人に承継されるわけではない点に注意してください。
ご相談6:在庫が増えて販売場に置ききれない
事業拡大で在庫が増えた場合は、酒類蔵置所の設置で対応します。販売場とは別の倉庫・物流センター等で在庫を保管できるようになります。
当事務所のサポート内容
行政書士岩元事務所では、酒類販売業免許の取得だけでなく、取得後の様々な手続きにも対応しています。
付随業務の実績
- 酒類販売場移転許可:63件
- 条件緩和申出:128件
- 酒類異動申告:5件
- 酒類蔵置場設置許可:1件(奈良県・輸出用未納税蔵置)
主なサポート内容
- 販売管理者選任届・選任者変更届の提出代行
- 酒類の販売数量等報告書の作成サポート
- 販売場の移転許可申請
- 条件緩和申出による事業拡大支援
- 酒類蔵置所・蔵置場の設置手続き
- 異動申告(代表者変更・本店移転・商号変更等)
- 廃止届出
よくあるご質問
Q. 酒類販売業免許を取得したらまず何をすればよいですか?
A. 販売開始前に、酒類販売管理者の選任とその選任届の提出、販売場の標識掲示、帳簿の準備が必要です。酒類販売管理者には酒類販売管理研修を受講した者を選任します。これらが整わないと、適正な販売管理ができていないとして指導を受ける可能性があります。
Q. 酒類販売管理研修は何年ごとに受講が必要ですか?
A. 酒類販売管理研修は3年ごとに再受講が必要です。研修を受けずに販売を継続すると、適正な販売管理ができていないとして指導や処分の対象になる可能性があります。研修期限の管理は販売管理上の重要事項です。
Q. 毎年の酒類の販売数量等報告書の提出は必須ですか?
A. はい、酒類販売業免許を持つすべての事業者に提出義務があります。前年4月から当年3月までの販売数量を、毎年4月末までに所轄税務署に提出します。未提出が続くと税務署からの指導対象となり、免許の取消事由になる可能性もあります。
Q. 販売場を別の場所に移転したい場合は?
A. 酒類販売場移転許可申請が必要です。許可前に新しい場所で販売を始めることはできません。標準処理期間は約1〜2ヶ月で、申請には新しい販売場の図面・賃貸契約書・所有者承諾書などが必要です。移転計画が決まり次第、早めに申請の準備を進めることをお勧めします。
Q. 販売場以外の場所に在庫を保管したい場合は?
A. 別の場所に酒類を保管する場合は、酒類蔵置所の設置手続きが必要となります。通常は酒類蔵置所設置報告書の提出、輸出向けの未納税蔵置等の場合は酒類蔵置場設置許可申請書の提出となります。場所要件もあるため、事前に税務署または専門家にご相談ください。
Q. 現在の免許で扱えない品目を販売したくなった場合は?
A. 条件緩和申出を行うことで、扱える品目や販売方法を拡大できます。例えば一般酒類小売業免許で店頭販売だけの場合、条件緩和で通信販売も追加可能です。新規申請より行政書士報酬が安く、登録免許税も差額のみで済むケースが多くあります。
Q. 事業をやめる場合の手続きは?
A. 酒類販売業免許の廃止届出書を所轄税務署に提出します。在庫の酒類は他の酒類販売業者に譲渡するか、消費者に売り切るなどして処理する必要があります。法人が解散する場合も同様の手続きが必要です。休業のみであれば免許自体は維持できますが、長期休業の場合は事前に税務署にご相談ください。
Q. 法人の代表者や本店所在地が変わった場合は?
A. 酒類異動申告書(または異動届出書)の提出が必要です。法人の代表者変更、本店所在地変更、商号変更、販売管理者変更などが対象となります。変更後速やかに提出する義務があり、放置すると指導対象となります。
まとめ
- 免許取得後は、まず酒類販売管理者の選任・届出と標識掲示・帳簿準備から
- 酒類販売管理研修は3年ごとに再受講が必要
- 毎年4月の酒類の販売数量等報告書は全事業者の義務
- 在庫が増えたら酒類蔵置所の設置で対応
- 変更時は異動申告・移転許可を忘れずに
- 事業拡大は条件緩和申出で柔軟に対応
- 義務違反は免許取消事由になることもあるため要注意
- 取得後のことで迷ったら、お早めに専門家にご相談を
「免許取得後の手続きについて相談したい」「在庫が増えたので蔵置所の設置を考えている」「事業拡大で追加の免許が必要かも」という方は、初回相談無料でご相談を承っております。お気軽にご連絡ください。
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- 奈良県の蔵置場設置許可事例
- これまでの取扱事例
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この記事は、行政書士・社会保険労務士(酒類販売業免許申請分野の実務経験16年、2000件以上の実績)が、実際の申請・相談事例をもとに解説しています。
最終更新日:2026年5月12日
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