通信販売酒類小売業免許の販売場はどこにすべき?店舗or事務所の選び方を行政書士が解説

「すでに店舗で一般酒類小売業免許を持っているので、ECサイトの通信販売免許は別の事務所で取りたい」「節約のために店舗で同時取得した方がよいのでは?」——こうしたご相談を多くいただきます。

しかし、結論からお伝えすると、通信販売酒類小売業免許の販売場は「節約」ではなく「実際に受注処理を行う場所」で決めなければなりません。実態と申請内容が異なると、無免許販売となり酒税法上の処分・罰則の対象になります。

このページでは、申請実績2,000件以上の行政書士が、通信販売免許の販売場の正しい選び方と、よくある誤解を解説します。

⚠ このページの最重要メッセージ
通信販売免許の販売場は、実際に受注処理を行う物理的な場所でなければなりません。
費用節約のために実態と異なる場所で申請すると、無免許販売(違反)になります。
販売場の選択は「実態との一致」を最優先で判断してください。

通信販売酒類小売業免許の「販売場」とは

販売場 = ECサイトの場所ではない

通信販売免許の「販売場」を「ECサイトのURL」「インターネット上の店舗」「ドメインの所在地」のような仮想的な場所と勘違いされる方が多くいます。

しかし酒税法上の「販売場」は、物理的な場所(住所のある場所)を指します。具体的には、注文を受け付け、内容を確認・処理する作業を実際に行う場所です。

受注処理とは

通信販売における「受注処理」とは、以下のような業務を指します。

  • ECサイトに入った注文を確認する
  • 顧客情報・年齢確認の処理
  • 在庫の確認、出荷指示
  • 顧客への注文確認メール送信
  • 支払い状況の確認
  • キャンセル・返品対応

これらの作業を実際に行う場所が、その免許の「販売場」となります。倉庫で在庫を保管していても、受注処理を別の場所(店舗・事務所・自宅)で行っているなら、その場所が販売場です。

なぜ「販売場」が重要なのか

酒類販売業免許は、「免許を持つ販売場」でしか酒類販売業を営むことができない制度です。免許を持たない場所で実質的に酒類販売業を営むと、無免許販売となり、酒税法上の処分・罰則の対象になります。

そのため、申請時の販売場と、実際に受注処理を行う場所が一致していなければなりません。

違反になる典型パターン【最重要】

⚠ ここを読み飛ばさないでください
以下のパターンは無免許販売(違反)となり、最悪の場合は免許取消の対象となります。「節約のため」「便利だから」という理由で実態と異なる申請をしてはいけません。

パターン1:店舗で通信販売免許を取得 → 実際は事務所で受注処理

「店舗で一般小売と通信販売を同時申請すれば登録免許税が30,000円で済む」というアドバイスを受けて、店舗で通信販売免許を取得。しかし実際は本社事務所のスタッフが受注処理を行っている——このケースは違反です。

実態:本社事務所で酒類販売業(通信販売)を営んでいる
申請:店舗が販売場
→ 本社事務所には免許がないため無免許販売

パターン2:事務所で通信販売免許を取得 → 実際は店舗で受注処理

逆のパターンも同様に違反です。事務所で通信販売免許を取得したが、実際は店舗のスタッフが空き時間にECサイトの受注処理を行っているケース。

実態:店舗で酒類販売業(通信販売)を営んでいる
申請:事務所が販売場
→ 店舗には通信販売の免許がないため無免許販売

パターン3:申請時の場所と移転後の場所が違う

事務所Aで通信販売免許を取得したが、その後事務所Bに移転した。移転許可申請をせずに事務所Bで受注処理を始めると違反です。

販売場を変える場合は、必ず酒類販売場移転許可申請を行い、許可を受けてから新しい場所で営業を始めます。

「店舗で受注処理する」場合の判断

店舗を販売場とすべきケース

以下に該当する場合は、店舗を通信販売免許の販売場とするのが適切です。

  • 店舗のスタッフが店舗のPCで注文確認・出荷指示を行う
  • 店舗の在庫から発送するため、出荷判断を店舗で行う
  • 顧客対応(電話・メール返信)も店舗のスタッフが対応する
  • 専任の通信販売スタッフが店舗にいる

このケースでは、店舗で一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許を同時取得することで、登録免許税は30,000円(小売の上限)で済みます。詳しくは登録免許税を最安にする方法のページもご覧ください。

「事務所で受注処理する」場合の判断

事務所を販売場とすべきケース

以下に該当する場合は、事務所を通信販売免許の販売場とすべきです。

  • 受注処理専門のスタッフが事務所で対応している
  • 本社の事務スタッフが受注確認・顧客対応を行っている
  • 店舗は実店舗販売に専念し、ECサイトは事務所で別管理
  • 在庫管理は別の倉庫だが、受注は事務所で行う

このケースでは、店舗(一般小売の販売場)と事務所(通信販売の販売場)で2つの販売場を持つことになります。登録免許税は60,000円(店舗30,000円+事務所30,000円)で、節約はできませんが、これが正しい姿です。

事務所を販売場にする場合の要件

事務所を通信販売の販売場にする場合は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 専用の区画割りされたスペース(他社と区分されていること)
  • 受注処理に必要な設備(PC・電話など)があること
  • 賃貸物件の場合は所有者の承諾
  • 賃貸契約書の使用目的が「居住用」「事務所限定」等の場合は別途承諾書
  • バーチャルオフィスは不可

詳しくは酒類販売業免許の要件のページをご覧ください。

費用面での比較(参考)

費用面では同一販売場での同時取得が安く済みますが、これはあくまで「実態に合わせた選択ができる場合」の話です。

申請パターン 登録免許税 適用条件
店舗で一般小売+通信販売を同時取得 30,000円 店舗で受注処理を行う場合
店舗で一般小売、事務所で通信販売(別取得) 60,000円 事務所で受注処理を行う場合

⚠ 費用節約のために実態を曲げないこと
30,000円の節約のために店舗で通信販売を申請して、実際は事務所で受注処理する——これは無免許販売(違反)です。節約より実態との一致が最優先です。

「実態に合わせる」のが基本ルール

申請時に「将来こうする予定」での別場所申請はNG

「将来は事務所で受注処理する予定なので、今は店舗で申請しておこう」というような将来予定での申請は認められません。申請時点での実態に合わせた申請が必要です。

受注処理場所が変わったら移転許可申請

事業の成長や組織変更で受注処理場所が変わる場合は、酒類販売場移転許可申請が必要です。許可を受けてから新しい場所で営業を始めることになります。

許可申請には数か月かかることもあるため、早めに準備することをお勧めします。

嘘の申告は違反

実態と異なる申告で免許を取得した場合、後から虚偽申請として免許取消の対象となる可能性があります。長期的な視点でも、実態に合わせた正しい申請が最も安全です。

当事務所がよく相談を受けるケース

ケース1:節約のため店舗で取得を検討中の方

「店舗で一般小売と通信販売を同時取得すれば30,000円で済むと聞いた。実際は本社事務所で受注処理する予定だが、それでよいか」というご相談。

当事務所のアドバイス:その計画では違反になります。本社事務所で受注処理するなら、本社事務所を販売場として通信販売免許を申請してください。登録免許税は別途30,000円かかりますが、これが正しい姿です。

ケース2:すでに事務所申請したが、実は店舗で受注している方

「数年前に本社事務所で通信販売免許を取得したが、現在は店舗のスタッフがECサイトの受注処理をしている。問題ありますか?」というご相談。

当事務所のアドバイス:このままでは無免許販売の状態です。早急に対応が必要で、選択肢は以下のいずれかです。

  • 受注処理を本社事務所に戻す(申請内容に実態を合わせる)
  • 店舗で通信販売免許を取得し直す(条件緩和申出または新規申請)
  • 販売場移転許可申請で店舗に変更する

事業内容に応じた最適な選択をご相談に応じます。

ケース3:これから受注処理場所を決める方

「これから酒類のEC販売を始めたい。店舗と本社事務所の両方があるが、どちらを販売場にすべきか」というご相談。

当事務所のアドバイス:事業計画をお聞きした上で、以下を整理してご提案します。

  • 誰が受注処理を担当するか
  • その担当者がどこで作業するか
  • 店舗と事務所、それぞれの場所要件を満たせるか
  • 費用対効果(実態と費用の最適バランス)

条件緩和申出を使えるケース

すでに何らかの酒類販売業免許をお持ちで、同じ販売場で通信販売も追加したい場合は、条件緩和申出で対応できます。

例えば、店舗で一般酒類小売業免許を持っていて、店舗で通信販売の受注処理も行うなら、店舗の免許に通信販売を追加する条件緩和申出が可能です。登録免許税は0円(小売の上限30,000円に達しているため)で、行政書士報酬も新規申請より安く済みます。

よくあるご質問

Q. 通信販売酒類小売業免許の「販売場」とはどこを指しますか?

A. ECサイトやインターネット上の場所ではなく、注文を受け付け、内容を確認・処理する物理的な場所を指します。受注確認・出荷指示・顧客対応などを実際に行う場所がその免許の「販売場」となります。

Q. 申請した販売場と違う場所で受注処理をしたら違反になりますか?

A. はい、無免許販売とみなされる可能性があり、酒税法上の処分・罰則の対象となります。免許は「販売場」に対して付与されるため、申請時の販売場以外の場所で実質的に酒類販売業を営むことは認められません。

Q. 店舗で一般酒類小売業免許を持っているのですが、別の事務所で通信販売免許を取れますか?

A. 取れますが、その場合は「事務所で実際に通信販売の受注処理を行う」ことが前提です。事務所で申請したのに店舗で受注処理をすると違反になります。実態に合わせた販売場の選択が重要です。

Q. 店舗で一般小売と通信販売を同時取得すれば登録免許税は安くなりますか?

A. 同一販売場での同時申請なら登録免許税は30,000円(小売の上限)で済みます。ただし、これは「店舗で実際に通信販売の受注処理を行う」場合に限ります。事務所で受注するのに店舗で申請するのは違反です。費用より実態との一致を優先してください。

Q. 受注処理場所が変わったらどうすればよいですか?

A. 酒類販売場移転許可申請が必要です。許可前に新しい場所で販売を始めることはできません。早めに税務署または専門家に相談してください。

Q. 倉庫で在庫管理し、自宅で受注処理する場合は?

A. 受注処理を行う自宅が「販売場」となります。倉庫は別途「酒類蔵置場」として届出する必要があります。販売場(自宅)と蔵置場(倉庫)を分けて管理することになります。

Q. 申請時に将来の予定で別の場所を販売場として申請してもよいですか?

A. 申請時の販売場は「申請時点で実際に使用する場所」である必要があります。将来移転する予定があっても、申請時の実態と異なる場所を販売場として申請することは認められません。実態と申請内容の一致が必須です。

Q. バーチャルオフィスを販売場にできますか?

A. できません。販売場には専用の区画割り、独立した受注処理スペース、所有者の承諾などが必要です。バーチャルオフィスやレンタル会議室では場所的要件を満たしません。

まとめ

  1. 通信販売免許の販売場は「実際に受注処理を行う物理的な場所」
  2. 申請時の販売場と実態の場所が違うと無免許販売(違反)になる
  3. 費用節約より実態との一致が最優先
  4. 店舗で受注処理するなら店舗、事務所で受注処理するなら事務所が販売場
  5. 受注処理場所が変わったら移転許可申請が必要
  6. 迷ったら事前に専門家に相談

当事務所のサポート内容

行政書士岩元事務所では、お客様の事業計画をお聞きした上で、実態に合った最適な販売場の選定と免許申請をサポートします。

「節約のためにこうしたい」というご要望にも、コンプライアンスを最優先で誠実にお答えします。違反リスクを避けつつ、費用対効果の良い計画をご提案します。

すでに免許をお持ちで実態と申請内容が一致していない場合の対応(移転許可・条件緩和)もご相談ください。

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この記事は、行政書士・社会保険労務士(酒類販売業免許申請分野の実務経験16年、2000件以上の実績)が、実際の申請・相談事例をもとに解説しています。

最終更新日:2026年5月6日
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