【事例】中国食材・調味料販売店での一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許(輸入酒類)の取得、その後の法人化対応―横浜市
概要
横浜市で個人事業として中国料理の食材・調味料の販売店を営む方が、一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許(輸入酒類のみ)を取得した事例です。申請の過程では、賃貸契約書に記載された業種と酒類販売の整合性、そして貸主自身も酒類販売を行っているという特殊な状況への対応が求められました。その後、事業を法人化し、法人として改めて免許を取得しています。
依頼者の状況
依頼者は横浜市で個人事業主として中国料理の食材・調味料の販売店を経営されていました。中国料理に使用する食材や調味料を幅広く取り扱う中で、紹興酒をはじめとする中国のお酒も販売したいというご要望でした。
店頭での販売に加え、インターネットを通じた通信販売も予定しており、ご自身が輸入した中国酒類をオンラインで販売したいというご意向でしたので、一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許(輸入酒類のみ)の2種類の免許を同時に申請することになりました。
申請・取得の経緯
| 問合せ | 2019年3月1日 |
|---|---|
| 申請 | 2019年3月16日 |
| 免許取得(個人) | 2019年5月14日 |
| 申請(法人) | 2024年11月7日 |
| 免許取得(法人) | 2024年12月4日 |
ポイント
① 一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許(輸入酒類のみ)の同時取得
今回は、店頭販売のための一般酒類小売業免許と、インターネット販売のための通信販売酒類小売業免許の2種類を同時に申請しました。
通信販売酒類小売業免許で扱える酒類には制限があります。輸入酒類は品目の制限なく対象となりますが、国産酒類については課税移出数量が3,000キロリットル未満の製造者が製造したものに限られます。今回は依頼者が輸入した中国酒類をオンラインで販売する計画でしたので、輸入酒類のみを対象とした通信販売酒類小売業免許として申請しました。
② 賃貸契約書の記載業種と酒類販売との整合性
申請後、管轄税務署から追加書類の提出を求める指示がありました。その内容は、店舗の賃貸契約書に記載されている使用目的に関するものでした。
依頼者が使用する店舗の賃貸契約書には、使用目的として「お菓子・雑貨の販売」と記載されていました。酒類販売業免許の申請にあたっては、申請する販売場(店舗)で適法に酒類販売ができる状態であることが求められます。賃貸契約書の記載業種が申請内容と異なる場合、そのままでは「契約上、酒類販売が認められているか否か」が不明確となり、審査上の問題となります。
さらに今回は、その貸主自身が酒類販売業を営んでいるという事情もありました。貸主が同業者である場合、酒類販売の承諾を得るにあたって競合を避けるために拒否されるケースも想定されますが、今回は貸主からの理解を得ることができ、酒類販売を承諾する旨の承諾書を取得して税務署に提出しました。
このように、賃貸物件を販売場とする場合は、賃貸契約書の使用目的の記載内容を事前に確認しておくことが重要です。記載が業種を限定している場合は、貸主から酒類販売に関する承諾書を取得するか、覚書等で使用目的を変更する手続きが必要になります。
③ 個人事業から法人への事業転換と免許の引継ぎ
個人事業主として免許を取得後、事業が拡大したことに伴い法人化を決断されました。酒類販売業免許は個人事業主に対して付与されるものであり、法人化した場合は法人として改めて免許申請を行う必要があります。個人の免許をそのまま法人に引き継ぐことはできません。
法人設立後、2024年11月7日に管轄税務署へ申請を行い、同年12月4日に法人としての免許が付与されました。申請から約1か月という、標準的な審査期間より短いスケジュールでの取得となりました。
なお、法人化に伴い改めて人的要件・経営基礎要件の審査が行われます。役員全員が欠格事由に該当しないこと、法人として適正な経営基盤を有することなどを確認した上で申請を進めました。
今回のように、個人事業での申請時にすでに当事務所をご利用いただいていた場合、法人化の際の申請においても個人事業時に作成・提出した書類を流用できるものがあります。販売場の図面や経歴書など、内容に変更がなければそのまま再利用できる書類も多く、新規での申請と比べて書類準備の負担を大幅に軽減できます。これは法人成りに限らず、条件緩和(免許の販売品目や販売方法の範囲を広げる申請)の際にも同様です。既存のお客様であれば、過去の申請資料をもとにスムーズに手続きを進められることが当事務所をご利用いただく利点のひとつです。
まとめ
本事例は、中国食材・調味料の販売店が酒類販売を新たに開始するにあたり、店頭販売と通信販売の2つの免許を同時に取得した事例です。申請の過程では賃貸契約書の使用目的の記載という実務上よくある問題が生じましたが、貸主から承諾書を取得することで解決しました。貸主が同業者というイレギュラーな状況でも、丁寧な説明と協力依頼により対応が可能でした。
また、個人事業から法人化した際の免許の取り直しについては、法人設立のタイミングと免許申請のスケジュールを適切に調整することで、空白期間なく酒類販売を継続できるよう段取りすることが重要です。
当事務所では、個人事業での免許取得から法人化後の免許申請まで、事業のライフサイクルに応じた手続きを一貫してサポートしております。横浜市に限らず、全国の酒類販売業免許申請についてもお気軽にご相談ください。
よくある質問
- Q. 賃貸契約書の使用目的に「酒類販売」の記載がない場合、承諾書は必要ですか?
- 使用目的が「店舗」のように業種を特定しない記載であれば、酒類販売であっても契約の範囲内と解されるため、承諾書は原則として不要です。一方、「飲食店」「お菓子・雑貨の販売」のように特定の業種に限定されている場合は、酒類販売が契約上の使用目的に含まれないと判断されるため、貸主から酒類販売を承諾する旨の承諾書を取得する必要があります。本事例でも、賃貸契約書の使用目的が「お菓子・雑貨の販売」と業種限定の記載になっていたため、貸主から承諾書を取得して税務署に提出しました。契約書の記載内容は申請前に必ず確認しておくことをお勧めします。
- Q. 通信販売酒類小売業免許で輸入酒類のみを扱う場合、どのような制限がありますか?
- 輸入酒類については品目の制限はなく、ビール・ワイン・蒸留酒など種類を問わず通信販売で扱うことができます。なお、国産酒類を通信販売で扱いたい場合は、課税移出数量が3,000キロリットル未満の製造者が製造したものに限られるため、扱いたい酒類の製造者の規模を確認する必要があります。
- Q. 個人事業主として取得した酒類販売業免許は、法人化した場合にそのまま引き継げますか?
- 引き継ぐことはできません。個人の免許は法人には承継されないため、法人として改めて申請が必要です。法人設立のタイミングと免許申請のスケジュールを合わせて計画することが重要です。なお、個人の免許については法人の免許取得後に廃止の手続きを行います。
- Q. 一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許は同時に申請できますか?
- 同時に申請することが可能です。両免許とも同じ税務署が管轄する場合は、同時に審査が進みます。申請書類の一部は共通化できる部分もありますので、申請準備の効率化にもつながります。
- Q. 法人化後の免許申請では、審査期間はどのくらいかかりますか?
- 標準的な審査期間は申請受付から約2か月です。本事例では2024年11月7日申請・12月4日免許取得と約1か月での取得となりましたが、審査期間は申請内容や税務署の状況によって異なります。法人化のスケジュールに合わせ、余裕をもって申請準備を進めることをお勧めします。










