以前バーを経営しており、ウイスキーが好きで個人でも販売していたのですが、酒類の販売に免許が必要だと知らず、税務署から無免許販売の指摘を受けてしまいました。その結果、3年間は免許申請ができないという処分を受けました。処分から3年が経過しましたが、改めて酒類販売業免許を取得することはできますか?また、店頭販売だけでなくウイスキーをネットでも販売したいと考えています。
結論としては、欠格期間(3年間)を満了していれば、改めて酒類販売業免許を申請することができます。ご相談のケースでは処分から3年が経過しているとのことですので、申請資格は回復しています。 店頭販売には「一般酒類小売業免許」、ネット販売(2都道府県以上の広範な地域への通信販売)には「通信販売酒類小売業免許」が必要です。この2つは同時に申請・取得することができます。ただし、処分歴がある場合は税務署の審査がより慎重に行われる傾向があるため、書類の準備を万全にしておくことが重要です。
目次
処分後3年経過すれば免許申請の資格は回復する
酒税法第10条では、酒類販売業免許の欠格事由として「免許の取消処分を受けた日から3年を経過していない者」が定められています。これは無免許販売を行い処分を受けた場合も同様です。
裏を返せば、処分から3年さえ経過すれば申請資格は回復します。本事例の相談者も、処分から3年が経過した後に申請し、2022年8月31日に無事、一般酒類小売業免許および通信販売酒類小売業免許を取得しました(申請開始:2022年6月13日)。
取得すべき免許の種類
店頭販売とネット販売を並行して行いたい場合、以下の2つの免許を同時に取得することをお勧めします。
| 免許の種類 | 一般酒類小売業免許 | 通信販売酒類小売業免許 |
|---|---|---|
| 販売方法 | 実店舗での対面販売 | インターネット・カタログ等による通信販売 |
| 販売エリア | 制限なし(同一都道府県内の通信販売も可) | 2都道府県以上の広範な地域の消費者を対象 |
| 取扱酒類 | 原則すべての品目 | 輸入酒類、または年間課税移出数量が3,000kl未満のメーカーの酒類に限る |
| 登録免許税 | 3万円 | 3万円 |
2つの免許は同時に申請できます。後から通信販売免許を追加取得するよりも、最初から同時申請するほうが手間・時間・費用の面で効率的です。
なお、通信販売酒類小売業免許で販売できる酒類には制限があります。輸入ウイスキー等の輸入酒類は制限なく販売できますが、国産酒の場合は「前会計年度の課税移出数量がすべての品目で3,000kl未満のメーカーが製造・販売する酒類」に限られます。大手メーカーの国産ビール等は通信販売の対象外となるため注意してください。
なお、国産酒を通信販売する場合は、申請時に製造元から「課税移出数量が3,000kl未満である旨の証明書」を取得して添付する必要があります。
処分歴がある場合の審査の傾向と対策
処分歴がある場合、税務署の審査は通常よりも慎重になる傾向があります。本事例でも、審査の過程で販売方法や商品リストに関して詳細な確認が行われました。
具体的には以下のような点を求められることがあります。
- 過去の処分に至った経緯の説明文の添付
- 販売方法・商品リスト(取り扱うお酒の種類・銘柄・数量)の詳細な提示
- 国産酒類を通信販売する場合は、製造元からの課税移出数量3,000kl未満の証明書
- 酒類販売管理研修の受講証(申請前に受講しておくとスムーズ)
税務署からの照会には迅速かつ丁寧に対応することが、スムーズな審査につながります。本事例では一つひとつの指摘事項に誠実に対応した結果、申請から約2か月半で免許を取得することができました。
免許の要件
一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の取得には、次の要件をクリアする必要があります。
人的要件
申請者(個人事業者の場合は本人)について、以下の欠格事由に該当しないことが必要です。
- 免許の取消処分を受けた日から3年を経過していること(本事例はこれをクリア)
- 申請前2年以内に国税・地方税の滞納処分を受けていないこと
- 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けていないこと
- 酒税法等関係法令に違反して罰金刑を受けた場合、刑の執行終了から3年を経過していること
場所的要件
販売場(店舗・事務所)が次の条件を満たすこと。
- 酒類の製造場・他の販売場・酒場や料理店と同一の場所でないこと(明確に区画されていれば可)
- 正当な理由なく取締り上不適当と認められる場所でないこと
経営基礎要件
財務面と知識・能力の面で適正と認められること。個人事業者の場合の主なポイントは以下のとおりです。
- 国税・地方税を現に滞納していないこと
- 酒類販売業または飲食店経営などの経験があること(経験がない場合は酒類販売管理研修の受講等で補完)
免許申請の流れ
まず免許要件を満たしているか確認し、必要書類を収集・申請書類を作成します。作成後、販売場の所在地を管轄する税務署に提出してください。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 要件確認 | 欠格事由の有無・財務状況・仕入先・販売先の確認。処分歴がある場合は処分日から3年経過を確認。 |
| ② 書類収集・作成 | 申請書・添付書類の準備。処分歴がある場合は経緯説明文等も用意。 |
| ③ 税務署へ提出 | 窓口持参・郵送・e-Taxによるオンライン提出のいずれも可。 |
| ④ 審査(約2か月) | 審査中に販売方法・商品リスト・仕入先等の照会が行われる場合あり。補正期間は審査が止まるため、指示があれば速やかに対応。 |
| ⑤ 免許交付 | 登録免許税(販売場1か所につき3万円)を納付し、税務署にて免許通知書の交付を受ける。同一の販売場で2つの免許を同時取得する場合も3万円。販売場が異なる場合は免許ごとに3万円。 |
なお、税務署によっては申請後に現地確認(販売場の実地調査)が行われることがあります。申請書の記載内容と実態が一致しているか確認されますので、申請内容は正確に記載してください。
申請書の主な添付書類
個人事業者として申請する場合の主な添付書類は以下のとおりです。
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 免許要件誓約書 | 人的・経営基礎・需給調整要件等についての誓約書 |
| 申請者の履歴書 | 生年月日・住所・職歴(会社名・業種・担当業務)を詳細に記載。処分歴がある場合はその経緯の説明文も添付することが望ましい |
| 財務書類 | 最近3年間の収支計算書・確定申告書の写し(給与収入のみの場合は源泉徴収票) |
| 地方税の納税証明書 | 都道府県税事務所と市区町村の2か所から取得。「未納がないこと」「2年以内に滞納処分を受けたことがないこと」の証明が必要 |
| 販売場の賃貸借契約書等 | 賃貸の場合は契約書の写し |
| 土地・建物の登記事項証明書 | 全部事項証明書に限る |
| 課税移出数量3,000kl未満の証明書(国産酒を通信販売する場合のみ) | 一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の申請では取引承諾書は不要です。ただし、国産酒類を通信販売する場合は、製造元(酒類製造者)が発行する「前会計年度の課税移出数量が3,000kl未満である旨の証明書」が必要となります。輸入酒類のみを取り扱う場合は不要です。 |
| 所要資金の確認書類 | 銀行通帳の写し(名義・残高確認ページ)または残高証明書 |
| 酒類販売管理研修の受講証(写し) | 酒類販売経験がない場合は事前受講が望ましい |
【地方税の納税証明書について注意】
通常の納税証明書とは異なる書類です。都道府県税事務所では「酒類販売業免許申請用」と明記されているため取得しやすいですが、市区町村窓口では担当者が不慣れなことも多いため、まず都道府県税事務所で取得し、その書式を見せながら市区町村でも同様のものを取得するとスムーズです。
個人事業者として申請する場合の注意点
- 免許は申請者個人に付与されるため、後から法人化した場合は改めて法人名義での免許申請が必要になります。
- 申請者本人が酒類販売管理者を兼務することが多いため、免許取得前または取得後速やかに酒類販売管理研修(3年ごとに更新)を受講してください。
- 通信販売を行う場合、ウェブサイトやカタログの見やすい場所に「酒類販売管理者の氏名」「研修の受講日」「受講団体名」を表示する義務があります。
- 20歳未満の者への販売禁止に関する表示基準を遵守する必要があります。毎年4月1日現在の実施状況報告書を税務署へ提出してください(e-Tax提出も可)。
免許交付日の手続き
免許交付は原則として税務署を訪問して手続きを行います。登録免許税(免許1件につき3万円)を納付し、免許通知書の交付を受け、免許取得後の注意事項の説明を受けます。一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許の2件を同一の販売場で同時取得する場合、登録免許税は合計3万円となります。販売場が異なる場所での取得の場合は、それぞれ3万円(合計6万円)が必要です。
税務署によっては交付式が行われ、税務署長から直接交付される場合もありますので、ラフ過ぎない服装で訪問することをお勧めします。
申請手続きは行政書士へ依頼できる
酒類販売業免許の申請手続きは、行政書士に依頼することができます。特に処分歴がある場合など、審査が複雑になるケースほど、専門家のサポートが有効です。
岩元事務所の代行手数料は一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許それぞれ各5万5,000円(消費税込)です。免許がおりた際には登録免許税(同一の販売場での2免許同時取得の場合は3万円、販売場が異なる場合は各3万円)の納付が必要です。
ご相談いただく際は、以下の情報をお伝えいただくと、スムーズにご案内できます。
- 申請するのは個人か法人か
- 申請場所(都道府県・市区町村)
- 販売したいお酒の種類
- 販売方法(店頭・ネット販売・飲食店への販売など)
- 申請者の経歴(過去の処分歴がある場合はその内容と処分日)
要件を確認の上、申請可能であれば申込書をご記入いただき、代行手数料のお振込み後に申請手続きを開始します。必要書類が揃い次第、1週間以内に申請書を作成し税務署に提出いたします。
酒類小売業免許の申請に関するご相談があれば、岩元事務所までお気軽にお問い合わせください。行政書士・社会保険労務士 岩元事務所では、全国対応・2,000件以上の実績で、初回相談は無料にて承っております。










