【相談事例】飲食店(レストラン、居酒屋、バー等)で酒類の販売をしたい

相談者:飲食店経営者
私は、東京都渋谷区で飲食店を経営しています。店内での飲食だけでなく、テイクアウトやデリバリーを始めたいと思っており、できれば全国への通信販売と店内での小売販売も行いたいと考えています。飲食店で酒類販売業免許を取得するのは難しいとよく聞きますが、免許の取得はできますでしょうか?
回答:行政書士 岩元洋一
飲食店が店内でグラスに注いで販売するのは提供といい、飲食店の営業許可があれば可能ですが、開栓しない状態で持ち帰ることができる物販をする場合は酒類販売業免許が必要となります。酒類を店内の物販コーナーでの販売や、テイクアウト又は近隣へのデリバリーをする場合は一般酒類小売業免許が必要です。インターネットを利用して全国の消費者へ販売するなら通信販売酒類小売業免許も必要となります。酒類販売業免許を取得するためにはクリアする要件がいくつかありますが、飲食店が酒類販売業免許を申請する場合は通常よりも審査が厳しくなります。原則として、酒税法 10 条9号関係の要件(場所的要件)で「酒場又は料理店等と同一の場所でないこと」、酒税法 10 条 11 号関係の要件(需給調整要件)として「②酒場、旅館、料理店等酒類を取り扱う接客業者でないこと」と定めており、通常の飲食店運営のままでは酒類販売業免許を取得することはできません。ただし、上記の要件をクリアできていると認められれば免許取得は可能となります。具体的には以下の3点です。

  • 仕入れる酒類の区分
  • 販売場及び酒類の保管場所の区分。
  • 売上の区分

仕入れる酒類の区分

販売用酒類は酒類製造者又は酒類卸売業者から仕入れ、飲食店の提供用酒類は酒類製造者又は酒類小売業者から仕入れる必要があります。

飲食店に酒類を販売している業者は、一般的な感覚だと卸売をしているように感じますが、酒類販売業免許では小売に該当します。飲食店向けの業務卸売をしている会社は、小売免許だけを持っているという会社が多いので、販売用のお酒は他の卸売業者や酒類製造業者から仕入れなければなりません。

もちろん小売も卸売もできる免許を持っている会社もありますので、その場合は、販売用酒類に係る伝票類と提供用酒類に係る伝票類は区分して作成してもらうなどの手当てを講じます。税務署に申請する際には、提供用の酒類と物販用の酒類が区分できることを証明するために、仕入先に物販用の納品書等のサンプルを作成してもらい、税務署に提出して審査をしてもらう場合があります。

酒類の販売場の区分

飲食店と酒類販売場が明確に分かれている必要があります。

酒類販売業免許を取得できると、酒類販売業免許通知書が交付されますが、この免許通知書の2ページ目には販売場のレイアウト図が添付されて、酒類の販売場を指定されますので、販売場が明確に指定できる場所でなければなりません。

扉のついた部屋で分かれているのが好ましいですが、固定されたパーテーション等で区切ることも可能です。ただし、可動式の簡単に移動してしまうようなパーテーションでは明確に区分されているとは言えません。

部屋が分かれていなくても、入口付近に物販コーナーがあり、その奥に飲食スペースがあるなど、物販エリアが明らかに分かれていると判断できれば免許される可能性はありますが、審査する税務署により判断が異なりますので事前の確認が必要です。

しかし、2021年頃から東京近郊で申請する場合、販売用の冷蔵庫と提供用の冷蔵庫を別々に用意できれば場所的要件はクリアできる傾向にあります。この場合は、販売用の冷蔵庫とレジの場所を酒類販売場として免許されます。

売上の区分

酒類の受け払い及び在庫管理についても、販売用酒類と提供用酒類とは明確に区分し、記帳・管理を行う必要があります。
販売用酒類と提供用酒類を相互に転用し合うことはできません。ある税務署では相互に転用しないことの誓約書を提出させることもあります。
できれば販売用のレジと店内提供用のレジを分けるのが好ましいですが、POSレジで商品登録をして管理できていることが確認できればレジが1台でも問題ないとされることが多いです。この場合は、実際にPOSレジに商品が登録されているか確認するため、POSレジの画面を印刷して税務署に提出して審査してもらいます。またレシートでも販売用の酒類が確認できるようになっていることを確認するため、レシートのサンプルの提出を依頼されることもあります。

酒販免許取得後は仕入や販売の記帳義務と一年間に何リットル販売したかの数量報告が必要となりますので、販売した数量を記録できるように明確に区分して販売をする必要があります。

まとめ

飲食店で酒類販売の取得は、通常よりも審査が厳しく、税務署によって対応が異なりますので、事前にしっかりと準備をしたうえで申請することをお勧めします。ご自身で申請するのに不安な場合は、行政書士岩元事務所までご相談ください。当事務所では、多数の申請の実績がございますので、酒類販売業免許の申請を検討している方は、お気軽にお問合せ下さい。

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