
酒類販売業免許は、販売する相手・販売方法・取り扱う酒類の種類によって複数の区分に分かれています。このページでは、酒類販売業免許の体系を整理し、それぞれの免許で何ができるかを解説します。
「自分にはどの免許が必要?」と迷っている方は 酒類販売業免許はどれが必要? もご活用ください。販売形態別に必要な免許を判定できます。
酒類販売業免許の大きな区分
酒類販売業免許は、まず以下の2つに大きく分かれます。
- 酒類小売業免許 一般消費者・飲食店・菓子等製造業者への販売
- 酒類卸売業免許 酒類販売業者(酒販店・酒類卸売業者)への販売
「飲食店への販売は卸売では?」と思われがちですが、飲食店が自店で消費するために購入する場合は「小売」に分類されます。
別系統として、お酒を製造するための酒類製造免許もあります。
酒類小売業免許
一般消費者、料飲店営業者などに対し、酒類を継続的に小売することができる免許です。
① 一般酒類小売業免許
販売場において、原則としてすべての品目の酒類を小売できます。実店舗での店頭販売、近隣へのデリバリー、飲食店向けの業務用販売(料飲店営業者への販売)もこの免許でカバーされます。
▶ 詳しくは一般酒類小売業免許の申請代行のページをご覧ください。
② 通信販売酒類小売業免許
2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として、インターネット、カタログの送付等の方法により一定の酒類を小売できます。
販売できる酒類は、次の(1)と(2)に限定されます。
(1) 課税移出数量が3,000kl未満の製造者の製造する国産酒類
カタログ等(注1)の発行年月日の属する会計年度(4月1日から翌年3月31日までの期間)の前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量(注2)が、すべて3,000キロリットル未満である酒類製造者(以下「特定製造者」といいます)が製造、販売する酒類。
- (注)1 「カタログ等」とは、いわゆるカタログのほか、チラシ等もしくは雑誌新聞またはインターネットによる広告等をいいます。
- (注)2 前会計年度における課税移出実績がない場合は、カタログ等の発行日の属する会計年度における酒類製造者の製造見込数量により判断します。
- (注)3 上記の酒類が、通信販売により販売できる酒類かどうかについては、通信販売を予定している酒類製造者の発行する証明書(通信販売の対象となる酒類であることの証明書)を申請書に添付する必要があります。
(2) 輸入酒類
海外から輸入された酒類は、製造者の規模に関係なく通信販売できます。
▶ 詳しくは通信販売酒類小売業免許の申請代行のページをご覧ください。
③ 期限付酒類小売業免許
博覧会場・物産展・催事・イベント等の特定の場所において、期間限定で酒類を小売できる免許です。すでに酒類販売業免許を保有する事業者が臨時会場で販売する場合は、新規免許申請ではなく届出で対応できる場合があります。
▶ 詳しくは期限付酒類小売業免許の申請代行のページをご覧ください。
酒類卸売業免許
酒類販売業者に対して酒類を継続的に卸売することができる免許です。取り扱う酒類の種類・販売方法によって複数の区分があります。
① 全酒類卸売業免許
すべての品目の酒類を卸売することができます。年間の平均販売見込数量が100kl以上である必要があります。販売地域ごとに免許可能件数が設定されており、申請者が多い場合は毎年9月の抽選で審査順位が決まります。経験要件も10年以上(沖縄県は3年以上)と厳しいため、取得難易度が非常に高い免許です。
▶ 詳しくは全酒類卸売業免許の申請代行のページをご覧ください。
② ビール卸売業免許
ビールを卸売することができます。年間の平均販売見込数量が50kl以上である必要があります。全酒類卸売業免許と同様に毎年9月の抽選制度がありますが、申請者が少ないため抽選にならず審査に進む場合も多くあります。
なお、「発泡酒」「第三のビール」はビール卸売業免許では卸売できません。クラフトビールの中には税法上「発泡酒」に分類される商品も多いため注意が必要です。
▶ 詳しくはビール卸売業免許の申請代行のページをご覧ください。
③ 洋酒卸売業免許
果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒および雑酒を卸売することができます。国産・外国産を問いません。輸出も輸入も可能です。
ただし、日本酒(清酒)、焼酎、ビール、みりんは「洋酒」ではないためこの免許では卸売できません。年間の平均販売見込数量の要件は規制緩和により廃止されています。
▶ 詳しくは洋酒卸売業免許の申請代行のページをご覧ください。
④ 輸入酒類卸売業免許
自社が輸入した酒類を卸売することができる免許です。国内仕入れの酒類は対象外で、自社が輸入した酒類に限定されます。
年間の平均販売見込数量の要件は規制緩和により廃止されました。経験要件も他の卸売免許より緩やかです。
▶ 詳しくは輸入酒類卸売業免許の申請代行のページをご覧ください。
⑤ 輸出酒類卸売業免許
自社が輸出する酒類を卸売することができる免許です。海外の業者・消費者への販売はすべてこの免許の対象となります。
⚠ 越境ECに関する重要な変更点(2022年以降)
2022年以降、海外の消費者への販売(越境ECを含む)はすべて輸出酒類卸売業免許が必要です。一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許では海外向け販売はできません。
▶ 詳しくは輸出酒類卸売業免許の申請代行のページをご覧ください。
「輸出入酒類卸売業免許」という単一の免許はありません
「輸出入酒類卸売業免許」という1つの免許は存在しません。実務上、輸入と輸出は別々の免許(輸入酒類卸売業免許・輸出酒類卸売業免許)として、別々に審査されます。輸入のみ・輸出のみ・両方併用のいずれも申請可能です。
⑥ 自己商標酒類卸売業免許
自らが開発した商標または銘柄の酒類を卸売することができる免許です。酒造メーカーに委託製造(OEM)してもらったオリジナルブランドの商品を卸売できます。輸出も可能です。
日本酒・焼酎・ビール等を含む全品目で、自社ブランドであれば品目を問わず卸売できる点が特徴です。詳しい制度解説は自己商標酒類卸売業免許とは?のページもご覧ください。
▶ 詳しくは自己商標酒類卸売業免許の申請代行のページをご覧ください。
⑦ 店頭販売酒類卸売業免許
自己の会員である酒類販売業者(住所および氏名または名称ならびに酒類販売業者であることを免許通知書等により確認した上で、会員として登録し管理している酒類販売業者に限ります)に対し、店頭において酒類を直接引き渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法による酒類の卸売ができる免許です。
業務用スーパー、買取販売店、地酒・クラフト酒類専門店などで活用されています。配送・発送は不可で、会員に来店してもらう必要があります。
▶ 詳しくは店頭販売酒類卸売業免許の申請代行のページをご覧ください。
⑧ 協同組合員間酒類卸売業免許
自己が加入する事業協同組合(中小企業等協同組合法に基づくものに限ります)の組合員に対する酒類の卸売ができる免許です。協同組合員同士の限定された関係性の中で行う卸売のための特殊な免許で、新規取得は限られた事業形態の場合に限られます。
酒類製造免許
酒類を製造しようとする場合には、酒税法に基づき、製造しようとする酒類の品目ごとに、製造場ごとに、その製造場の所在地を管轄する税務署長から製造免許を受ける必要があります。
主な品目ごとの製造免許には次のようなものがあります。
- 清酒(日本酒)の製造免許
- ビールの製造免許
- 発泡酒の製造免許(クラフトビール醸造所が選ぶケースが多い)
- 果実酒の製造免許(ワイナリー)
- 単式蒸留焼酎・連続式蒸留焼酎の製造免許
- ウイスキー・ブランデーの製造免許(クラフトウイスキー)
- スピリッツの製造免許(クラフトジン)
- リキュールの製造免許
- その他の醸造酒の製造免許(どぶろく等)
各品目には最低製造数量基準があり、ビールの場合は年間60kl、発泡酒・果実酒・スピリッツ等の場合は年間6kl以上の製造見込数量が必要です。
▶ 詳しくは酒類製造免許の申請代行のページをご覧ください。
免許区分の選び方の基本
事業内容に応じてどの免許が必要かを整理する基本的な考え方は次のとおりです。
| 販売先・販売方法 | 必要な免許 |
|---|---|
| 店頭で一般消費者・飲食店に販売 | 一般酒類小売業免許 |
| 2都道府県以上の消費者にECサイトで販売 | 通信販売酒類小売業免許 |
| イベント・物産展で期間限定販売 | 期限付酒類小売業免許 |
| 酒販店に幅広い品目を卸売 | 全酒類卸売業免許 |
| 洋酒(ワイン・ウイスキー等)を卸売 | 洋酒卸売業免許 |
| 自社が輸入した酒類を卸売 | 輸入酒類卸売業免許 |
| 海外に輸出 | 輸出酒類卸売業免許 |
| ビールのみを卸売 | ビール卸売業免許 |
| 自社ブランド(OEM)の酒類を卸売 | 自己商標酒類卸売業免許 |
| 会員制で店頭引渡しの卸売 | 店頭販売酒類卸売業免許 |
| 酒類を製造する | 酒類製造免許(品目ごと) |
よくあるご質問
Q. 酒類販売業免許の種類は何種類ありますか?
A. 大きく「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」に分かれます。酒類小売業免許は3区分(一般・通信販売・期限付)、酒類卸売業免許は8区分(全酒類・ビール・洋酒・輸入・輸出・店頭販売・協同組合員間・自己商標)あります。これらに加えて、酒類を製造するための酒類製造免許も別系統で存在します。
Q. 小売と卸売の違いは何ですか?
A. 「小売」は一般消費者・飲食店(料飲店営業者)・菓子等製造業者への継続的販売、「卸売」は酒類販売業者(酒販店・酒類卸売業者)への継続的販売を指します。飲食店への販売は「小売」に該当する点に注意が必要です。
Q. 「輸出入酒類卸売業免許」という免許はありますか?
A. 「輸出入酒類卸売業免許」という単一の免許は存在しません。実務上は「輸入酒類卸売業免許」と「輸出酒類卸売業免許」が別々に存在し、それぞれ別々に審査されます。輸入のみ・輸出のみ・両方併用のいずれも申請可能です。
Q. 通信販売酒類小売業免許で販売できる酒類に制限はありますか?
A. 国産酒類は、課税移出数量が3,000kl未満の製造者が製造する酒類に限られます。大手メーカー(キリン・アサヒ・サントリー等)の国産酒類は通信販売できません。輸入酒類には制限はありません。詳しくは通信販売酒類小売業免許のページをご覧ください。
Q. 全酒類卸売業免許とビール卸売業免許の違いは何ですか?
A. 全酒類卸売業免許はすべての品目の酒類を卸売できる免許で、年間の平均販売見込数量が100kl以上必要です。ビール卸売業免許はビールのみを卸売できる免許で、年間の平均販売見込数量が50kl以上必要です。両者とも10年以上の経験要件と毎年9月の抽選制度があります。
Q. 自社ブランドのお酒を卸売したい場合はどの免許ですか?
A. 自己商標酒類卸売業免許です。自らが開発した商標または銘柄の酒類を卸売するための免許で、OEM委託で製造したオリジナルブランドのお酒を酒販店に卸売できます。日本酒・焼酎・ビールなど品目を問わず卸売可能です。
Q. 海外への販売はどの免許が必要ですか?
A. 2022年以降、海外の業者・消費者への販売(越境ECを含む)はすべて輸出酒類卸売業免許が必要です。一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許では海外向け販売はできません。
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この記事は、行政書士・社会保険労務士(酒類販売業免許申請分野の実務経験16年、2000件以上の実績)が、実際の申請・相談事例をもとに解説しています。
最終更新日:2026年5月3日
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