事例の概要
2016年6月29日に申請し、同年10月3日に免許が交付されました。申請から交付まで約3ヶ月のケースです。
今回取得できた免許は以下の3種類です。
- 輸入酒類卸売業免許(品目限定なし)
- 一般酒類小売業免許
- 通信販売酒類小売業免許
申請した4種類目の洋酒卸売業免許は、申請者の経験が要件を満たさないとして今回は見送りとなりました。今後、実績を積んだうえで条件緩和の申出を行う予定です。
依頼者の状況:食材卸の経験を持つ新設法人
申請者は前職で食材卸売業の実務経験があり、その後会社を設立して酒類販売事業に参入したケースです。食品卸売の業務経験を持っていたことが、輸入酒類卸売業免許の審査において申請者の事業遂行能力の根拠として機能しました。
酒類販売業免許の審査では、申請者の職歴・経験が事業遂行能力と整合しているかが重視されます。食材卸という類似業種の経験があったことで、仕入先との取引・在庫管理・販売先との取引実務といった卸売事業に必要なノウハウが備わっていると評価された事例です。
この事例のポイント①:輸入酒類卸売業免許が「品目限定なし」で交付された
輸入酒類卸売業免許は、通常、卸売できる品目が限定されて交付されるケースがあります。たとえば「自己が輸入した果実酒、ウイスキー及びブランデーの卸売」のように、取り扱える酒類の種類が免許通知書に列記される形です。品目限定で交付された場合、後から別の品目を追加するには条件緩和申出の手続きが必要になります。
しかし今回は、「自己が輸入した酒類の卸売」という品目限定のない形で免許が交付されました。これにより、自ら輸入したお酒であれば酒類の種類を問わず卸売できる体制を最初から整えることができました。
品目限定なしで交付されるかどうかは、申請時に示す仕入先・販売先・取り扱い品目の計画内容と、申請者の経験・事業実績によって変わります。取り扱いたい酒類の品目が多岐にわたる場合は、申請段階で計画をしっかり整理し、複数品目を扱う合理性を明確に説明できるよう準備することが重要です。
この事例のポイント②:洋酒卸売業免許は「経験要件」で見送りに
洋酒卸売業免許を取得するには、申請者に酒類販売業または製造業での3年以上の実務経験があることが求められます。申請者は前職で調味食品を含む食材卸売業に従事しており、調味料・食品の卸売経験は酒類業務に準ずる経験として一定程度評価されます。しかし酒類業務の経験年数が3年に届かなかったため、洋酒卸売業免許については今回の申請では交付されませんでした。
ここで重要なのは、「今回取得できなかった=永久に取得できない」わけではないという点です。免許取得後に酒類販売の実績を積み重ねてから条件緩和の申出という手続きを行うことで、後から洋酒卸売業免許を追加取得する道が開かれています。最初の申請で希望するすべての免許が取得できなかった場合でも、段階的に免許を拡充していくことが可能です。
この事例のポイント③:条件緩和申出による将来の免許追加
条件緩和申出とは、すでに取得している酒類販売業免許の「販売できるお酒の種類」や「販売方法」を追加するための手続きです。新規の免許申請とは別の手続きで、すでに免許を持っている販売場の範囲を広げる際に利用します。
今回のケースでは、輸入酒類卸売業免許を取得したあと、酒類業界での実績を3年以上積んだ段階で、洋酒卸売業免許を条件緩和で追加する計画です。条件緩和申出の手続きにおいても経験要件は審査対象となりますが、輸入酒類卸売業を通じた酒類取引の実績が加わることで、洋酒卸売業免許の経験要件を満たしやすくなります。
条件緩和申出のポイント:
- 標準処理期間は約2ヶ月
- すでに卸売免許(登録免許税9万円)を取得している場合、条件緩和時の登録免許税は不要
- 同一販売場での範囲拡大に限られる(別店舗への出店は新規申請が必要)
まとめ
- 東京都足立区の新設法人が輸入酒類卸売業免許・一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の3免許を同時取得
- 輸入酒類卸売業免許は「自己が輸入した酒類の卸売」として品目限定なしで交付され、自ら輸入するお酒であれば品目を問わず卸売が可能
- 酒類卸売業免許には3年以上の経験要件があり、酒類業界での経験が不十分な場合は希望する免許が見送りになることがある
- 今回見送りとなった洋酒卸売業免許は、実績を積んだ後に「条件緩和の申出」で追加取得できる
- 申請から約3ヶ月で免許交付(足立税務署管轄)
よくあるご質問
Q. 輸入酒類卸売業免許で「品目限定なし」で交付されるためには何が必要ですか?
A. 明確な決まりはありませんが、申請時に複数品目を取り扱う合理的な事業計画を示すことが重要です。仕入先(海外の酒類メーカー・輸出業者)・販売先(酒販店・酒類卸売業者)・取り扱い予定の品目を具体的に示し、複数品目を扱う必要性を説明できる資料(取引承諾書、事業計画書など)を準備します。申請者の経験や既存の取引関係も判断材料となります。
Q. 酒類業界の経験がない場合、卸売業免許は絶対に取得できませんか?
A. 3年以上の酒類販売業・酒類製造業の経験が原則ですが、類似業種(食材卸売、調味食品卸売など)の経験も一定程度評価されます。また、酒類販売管理研修を受講することで経験不足を一部補えるケースもあります。経験年数が不足している場合は、まず取得可能な免許(小売免許など)から取得し、実績を積んでから条件緩和申出で卸売免許を追加するという段階的な戦略も有効です。
Q. 条件緩和申出で洋酒卸売業免許を追加する場合、登録免許税はかかりますか?
A. 同一販売場における登録免許税の上限は9万円です。すでに輸入酒類卸売業免許(登録免許税9万円)を取得している場合、上限に達しているため、洋酒卸売業免許を条件緩和で追加する際の登録免許税は発生しません。条件緩和申出の行政書士報酬は目安として3万円〜5万円です。
Q. 輸入酒類卸売業免許と洋酒卸売業免許はどう違いますか?
A. 輸入酒類卸売業免許は「自己が輸入した酒類」を卸売するための免許で、自社で輸入手続きを行う必要があります。一方、洋酒卸売業免許は「洋酒類」(果実酒・甘味果実酒・ウイスキー・ブランデー・発泡酒・スピリッツ・リキュール・粉末酒・雑酒)を卸売するための免許で、仕入れは国内業者からでも海外からでも構いません。国内の酒類卸売業者から仕入れた洋酒を卸売する場合は、輸入酒類卸売業免許ではなく洋酒卸売業免許が必要です。
Q. 足立区で酒類販売業免許を申請する場合、管轄税務署はどこになりますか?
A. 足立区は地域によって管轄税務署が分かれます。千住・綾瀬・竹の塚など南部は足立税務署、西新井・舎人・六町など北部は西新井税務署の管轄となります。申請前に販売場の住所で管轄を確認する必要があります。
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