日本国内で仕入れたお酒を海外の事業者へ販売する場合には、輸出酒類卸売業免許が必要です。
今回は、東京都港区の法人様からご依頼をいただき、日本酒などを海外へ輸出販売するため、輸出酒類卸売業免許の取得をお手伝いしました。
輸出酒類卸売業免許の申請では、国内での仕入先だけでなく、どの国・地域へ、どのような方法で販売する予定なのかといった海外向けの事業計画を整理することが重要です。
日本のお酒を海外へ販売する事業を新たに始める場合の参考として、今回の申請事例をご紹介します。
1. 事例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者所在地 | 東京都港区白金 |
| 依頼者の業種 | 海外向けマーケティング会社 |
| 取得免許 | 輸出酒類卸売業免許 |
| 輸出品目・輸出先 | 日本酒・ウイスキー/中国 |
| 申請日 | 2022年3月10日 |
| 免許交付日 | 2022年4月12日 |
| 申請から交付まで | 約1ヶ月 |
| 管轄税務署 | 芝税務署 |
2. ご相談の経緯
依頼者は海外向けのマーケティング事業を行う法人で、酒類の販売や貿易の実務経験はありませんでした。しかし、役員の親族が酒造会社に関与していたことから仕入れの目途が立っており、そのルートを活かして日本酒・ウイスキーを中国へ輸出する新規事業への参入を決断されました。
酒類事業の経験がない業種からの参入でしたが、仕入先との関係性が明確であったことと、輸出先(中国)の販売ルートについて具体的な計画があったことが、申請において強みとなりました。
3. 審査で発生した問題:決算書と納税額の不一致
審査の過程で、決算書に記載された数値と、税務署が把握している納税額との間に不一致が発覚しました。これは酒販免許の申請において時折発生する問題です。
酒類販売業免許の審査では、申請者(法人の場合は会社および役員)の納税状況が確認されます。具体的には、法人税・消費税・地方税などの申告・納付が適正に行われているかが要件の一つです。決算書の内容と税務署の記録に齟齬がある場合、そのまま審査が進まなくなることがあります。
今回のケースでは、当事務所と依頼者の税理士が連携し、不一致の原因を特定・説明する資料を準備することで、税務署の疑義を解消しました。その結果、審査の遅延を最小限に抑え、申請から約1ヶ月での交付を実現しています。
4. 決算書と納税額の不一致が起きる主な原因
同様の問題は他の申請でも発生することがあります。主な原因として以下のようなケースが挙げられます。
- 修正申告や更正処分により納税額が変更されたが、関連書類の整合が取れていない
- 分割納付や延納の取り扱いが決算書の表記と一致していない
- 前期の税額が翌期の決算に反映されるタイミングのズレ
- 税理士の変更時に引継ぎが不十分で申告内容に漏れがある
いずれも悪意のある申告とは別の問題ですが、税務署からの照会が入ると解消に時間がかかる場合があります。申請前に税理士と決算書の内容を確認しておくことが重要です。
5. 酒類事業の未経験者が輸出免許を取得するためのポイント
本事例のように酒類販売・輸出の実務経験がない場合でも、以下の点が整っていれば輸出酒類卸売業免許の取得は十分に可能です。
- 仕入先の確保:酒類メーカーまたは卸売業者との取引承諾書を取得できること
- 販売(輸出)先の見込み:輸出先の取引先や販売ルートについて具体的な計画があること
- 財務要件の充足:事業に必要な資金(最低限の運転資金)が確保されていること
- 納税状況の適正:法人・役員ともに税金の申告・納付に滞りがないこと
海外マーケティングの事業基盤があれば、輸出先との交渉力・現地ネットワークはすでに備わっています。酒類免許の手続き部分を専門家にサポートしてもらうことで、スムーズに事業を開始できます。
6. よくある質問
Q. 決算書と納税額に不一致がある場合、免許取得はあきらめるべきですか?
あきらめる必要はありません。本事例のように、税理士と連携して不一致の原因を特定・説明する資料を準備することで、審査の疑義を解消できる場合があります。早めに税理士へ相談することをおすすめします。
Q. 申請前に決算書の内容を確認しておくメリットは何ですか?
税務署からの照会が入ってから対応するより、事前に整合性を確認しておく方が審査の遅延を防げます。修正申告・更正処分・分割納付等の履歴がある場合は特に、税理士と決算書の内容をすり合わせておくことをおすすめします。
Q. 酒類・貿易の実務経験が全くない業種でも、輸出酒類卸売業免許は取得できますか?
取得できます。本事例のように、仕入先との関係性(親族の酒造会社等)や輸出先の具体的な販売計画があれば、酒類業界未経験でも審査を通過できる可能性があります。
Q. 港区で申請する場合、管轄税務署はどこになりますか?
港区は地域によって管轄税務署が分かれます。麻布・赤坂地区(六本木、赤坂、南青山等)は麻布税務署、芝・高輪・芝浦港南地区(白金、三田等)は芝税務署の管轄です。申請前に販売場の住所で管轄を確認する必要があります。
まとめ
- 港区(芝税務署)での輸出酒類卸売業免許は、書類が整っていれば約1ヶ月での取得も可能
- 決算書と納税額の不一致は事前に税理士と確認・整備しておくことで審査の遅延を防げる
- 酒類事業の未経験でも、仕入先・販売先・財務要件が整っていれば取得できる
輸出酒類卸売業免許の取得をご検討の方、申請前に税務・財務面で懸念点がある方は、お気軽にご相談ください。










