古い酒類販売業免許は範囲が広い可能性がある|免許通知書の内容を確認してみてください
長年お酒の販売を続けている会社や、先代から事業を引き継いだ酒販業者の方に知っておいていただきたいことがあります。何十年も前に取得した酒類販売業免許は、現在の免許よりも販売できる範囲が広いケースがあります。そして、その事実に気づかないまま営業を続けている会社が実際に複数あります。
きっかけとなった相談事例
お酒の小売を長年営んでいる会社から、「ワインの卸売もしたいので条件緩和の申請をしたい」という相談のお電話をいただきました。
翌日の訪問前に登記情報で謄本を確認したところ、設立から60年以上の老舗であることがわかりました。そこで「もしかすると最初から卸売もできる免許を持っているのではないか」と思い、訪問前に税務署で免許内容を確認するよう先方にお伝えしました。
翌日訪問すると、税務署に確認した結果、すでに卸売もできる免許であることが判明していました。条件緩和の申請は不要で、そのまま卸売事業を開始できる状態でした。
なぜ古い免許は範囲が広いのか
現在の酒類販売業免許の通知書には「通信販売を除く小売」などと販売方法が詳細に限定されています。しかし、数十年前に発行された免許通知書には「小売業」とだけ記載されているものがあります。
当時は通信販売という販売形態が想定されておらず、通信販売と対面販売の区別がありませんでした。そのため、「小売業」とだけ書かれた古い免許は、現在でいう一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許の両方をカバーしていることになります。
さらに、現在の通信販売酒類小売業免許には「大手メーカーの商品は通信販売できない」という制限がありますが、古い免許にはこの制限が適用されないため、すべての酒類を通信販売することが可能です。
また、事例の会社では小売免許取得の約20年後に条件解除の手続きをしており、その結果として卸売もできる免許になっていました。本人は「小売しかできない」と思い込んでいたのです。
実際にこの免許を活用している企業も
このような範囲の広い古い免許は、業界でも注目されてきました。インターネット通販の大手企業が、こうした免許を保有する会社を買収することで、すべての酒類を通信販売できる体制を整えたケースもあります。新規で取得しようとしても現在の制度では同等の免許は取得できないため、既存の免許を持つ会社を取得するという方法が取られてきました。
心当たりのある方は免許通知書を確認してください
免許は一度取得すれば更新不要なため、取得時の担当者や経営者が変わると、免許の内容が社内で正確に引き継がれていないケースが少なくありません。社長交代や担当者の退職を経た会社では、「うちは小売しかできない」「通販はできない」と思い込んだまま、実際には広い範囲の免許を保有していることがあります。
以下に該当する場合、実際の免許範囲が思っているより広い可能性があります。
- 創業・設立から20年以上経過している
- 先代や前経営者が取得した免許をそのまま使っている
- 免許取得時の担当者がすでに退職・交代している
- 免許通知書に「小売業」とだけ記載されており、「通信販売を除く」などの限定がない
- 過去に条件解除の手続きを行ったことがある(またはあるかどうか不明)
確認方法は、販売場を管轄する税務署の酒類指導官に問い合わせるのが確実です。免許通知書の現物と合わせて確認することで、現在の免許で何ができるかを正確に把握できます。
逆に「できると思っていたことができない」ケースも
反対に、免許の内容を誤解して制限を超えた販売を行っているケースもあります。免許の範囲を正確に把握せずに事業を拡大すると、無免許販売として酒税法違反になるリスクがあります。古い免許を使い続けている場合、一度内容を整理しておくことをお勧めします。
まとめ
- 数十年前に取得した「小売業」とだけ記載された免許は、通信販売も含む範囲が広い免許である可能性がある
- 大手メーカー品の通販制限も古い免許には適用されないケースがある
- 条件解除済みで実は卸売もできる免許になっているのに気づいていない会社もある
- 社長交代・担当者変更で免許内容が引き継がれていないケースも多い。免許通知書の現物を確認し、管轄税務署で内容を確かめることを推奨
古い免許の内容確認や、現在の事業に必要な免許の整理についてご相談がある方は、お気軽にお問い合わせください。










