食品や日用品の卸売を行っている会社が、新たに日本のお酒を海外へ輸出する場合には、販売方法に応じた酒類販売業免許の取得が必要です。
今回は、大阪市で食料品・日用品雑貨の卸売事業を営む法人様からご依頼をいただき、既存の中国向け取引ネットワークを活かして酒類輸出事業を開始するため、輸出酒類卸売業免許・一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の3種類を同時に申請しました。
酒類の取り扱いは初めてでしたが、これまでの卸売業としての経験や中国の取引先との取引基盤を整理し、事業計画に反映させながら申請を進めました。
輸出だけでなく、国内での店頭販売や通信販売にも対応できる体制を整えた事例として、申請の概要とポイントをご紹介します。
1. 事例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者所在地 | 大阪府大阪市 |
| 依頼者の業種 | 食料品・日用品雑貨の卸売業 |
| 取得免許 | 一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・輸出酒類卸売業免許 |
| 輸出先 | 中国 |
| 申請日 | 2016年7月4日 |
| 免許交付日 | 2016年12月14日 |
| 申請から交付まで | 約5ヶ月 |
2. ご相談の経緯
依頼者は食料品・日用品雑貨の卸売を本業とする法人で、中国の取引先とのビジネス基盤をすでに持っていました。その取引ネットワークを活かして、日本の酒類を中国へ輸出する事業を新たに立ち上げる計画でした。
酒類の取り扱いは今回が初めてでしたが、卸売業としての経営経験と既存の海外取引先の存在が、審査における事業の実現可能性の根拠となりました。
3. なぜ3種類の免許が必要だったのか
輸出酒類卸売業免許
中国の取引先(酒類販売業者・飲食店等)に酒類を輸出・卸売するための免許です。海外向けの販売が事業の中心であるため、この免許が今回の申請の軸となっています。
一般酒類小売業免許
輸出と並行して国内での対面販売にも対応するために取得しました。輸出酒類卸売業免許は国内の消費者・飲食店への販売をカバーしないため、国内販売を行う場合は別途必要になります。
通信販売酒類小売業免許
国内の消費者向けにECサイト等でも販売できるよう、一般小売業免許と合わせて取得しました。輸出・国内店頭・国内通販の三チャネルをカバーする体制を一度に整えた形です。
4. 審査に約5ヶ月を要しました
今回の申請は、申請から免許交付まで約5か月を要しました。
審査の過程では、税務署から追加書類の提出や確認を求められる場面がありました。申請者様も通常業務で多忙だったことから、追加資料の準備・提出に一定の時間を要し、その分、申請から免許交付までの期間も長くなりました。
また、今回は輸出酒類卸売業免許・一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の3種類を同時に申請しており、それぞれの申請内容について確認を受けながら手続きを進めました。
最終的には必要な追加資料をそろえて審査を完了し、予定していた3種類の酒類販売業免許を取得することができました。
酒類販売業免許の申請では、審査中に追加資料を求められることがあります。販売開始時期が決まっている場合には、申請後の追加対応も見込んで、余裕をもったスケジュールで進めることが大切です。
5. 法人申請における役員経歴の確認
法人が酒類販売業免許を申請する場合、会社の経歴だけでなく役員全員の経歴が審査対象となります。酒類販売に関する経験の有無はもちろん、過去の違反歴・税金の滞納状況・欠損の状況なども確認されます。
今回は申請前の段階から役員の経歴を整理・確認していたため、書類作成をスムーズに進めることができました。法人申請では役員の経歴確認を後回しにせず、依頼の早い段階で把握しておくことが申請準備の重要なステップです。
6. よくある質問
Q. 複数免許を同時申請すると、必ず審査期間が長くなりますか?
必ずというわけではありませんが、免許の種類が多いほど書類量が増え、書類間の整合性確認も必要になるため、単独申請より長くなる傾向があります。特に輸出関連の免許では、輸出先との取引関係を示す資料が追加で求められることがあります。
Q. 大阪府と東京都で、審査期間に違いはありますか?
管轄の国税局・税務署の処理状況によって差が生じることがあります。本事例のように、地域によって標準期間より長くかかる場合があるため、余裕を持ったスケジュールで準備することをおすすめします。
Q. 食料品卸売業者が酒類の取り扱い経験なしで輸出免許を取得することはできますか?
できます。本事例のように、酒類の取り扱い経験がなくても、卸売業としての経営経験や既存の海外取引先の存在が、審査における事業の実現可能性の根拠として評価されることがあります。
Q. 法人の役員に酒類とは無関係の経歴の人がいる場合、審査に影響しますか?
役員全員の経歴(酒類関連の経験の有無だけでなく、違反歴・税金の滞納状況等)が確認対象になりますが、全役員が酒類関連の経験を持っている必要はありません。早い段階で役員の経歴を整理し、必要な説明資料を準備しておくことが審査をスムーズに進めるポイントです。
まとめ
- 食料品卸売業者が既存の中国取引先ネットワークを活かして酒類輸出事業に参入した事例
- 輸出酒類卸売業免許だけでは国内販売はできないため、国内向けに一般小売業・通信販売免許も合わせて取得
- 3免許同時申請は書類量が多く審査も複雑になるため、標準より長い期間(約5ヶ月)を要した
- 法人申請では役員全員の経歴確認が必須。申請準備の早い段階で整理しておくことが重要
中国をはじめとした海外への酒類輸出事業の立ち上げ、食品・卸売業からの酒類事業参入についてご相談がある方は、お気軽にお問い合わせください。










