全酒類卸売業免許は、日本酒・ビール・ウイスキー・ワインなどすべての品目の酒類を卸売できる免許です。一方で、要件のハードルが最も高く、申請できる期間も毎年9月の1か月間に限定されており、応募が集中した場合は公開抽選で審査順位が決まります。
このページでは、抽選制度が導入された初年度(2012年・平成24年)に当事務所が申請代行を担当し、無事に免許を取得した実例を紹介します。当時の抽選の詳細・審査の経過・現地調査でのやり取りを、実務担当者の視点でまとめています。
1. 事例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 免許の種類 | 全酒類卸売業免許 |
| 申請者の業種 | 地域の酒販店(小売業)。飲食店向けの業務卸売も長年実施 |
| 申請日 | 2012年9月4日(平成24年) |
| 公開抽選日 | 2012年9月29日 |
| 審査開始日 | 2012年10月30日(抽選通過の翌日) |
| 免許交付日 | 2012年12月25日 |
| 審査開始から交付まで | 約2か月 |
| 申請から交付まで(合計) | 約3か月半 |
2. 抽選制度が導入された初年度の申請
全酒類卸売業免許は、2012年(平成24年)に申請方式が大きく変わりました。それ以前は免許可能件数がほぼ埋まった状態が続いており、新規取得は事実上困難でした。制度改正により、毎年9月1日〜30日の申請受付期間中に応募が集中した場合、公開抽選で審査順位を決める方式に切り替わりました。
この事例は、その制度が始まった初年度の申請です。依頼者は地域で長年営業を続けてきた酒販店で、すでに飲食店向けの業務卸売も行っていました。全酒類卸売業免許を取得することで、卸売業務を正式・包括的に行えるようにしたいというご要望でした。
3. 公開抽選の実態──53件の応募、8枠を争った初年度
2012年9月29日、東京国税局において公開抽選が行われました。当事務所の担当者が依頼者の代理人として出席しました。
東京国税局の抽選会では、東京都・千葉県・神奈川県の抽選がまとめて実施されました。東京都の免許可能件数は8件に対し、申請件数は53件。倍率は約6.6倍でした。
抽選の方法は、商店街の抽選会でも使われるようなガラポン(回転式抽選機)を用いるものでした。53回ガラポンを回して玉を取り出し、出た順に審査順位が決まります。この事例では8番目の玉が出て、免許可能件数の枠内に入ることができました。
なお、抽選で枠内に入ることは「審査順位の確定」であり、免許の確約ではありません。その後、要件審査をクリアして初めて免許が交付されます。
4. 申請から免許交付までのスケジュール
- 2012年9月1日 国税庁が都道府県ごとの免許可能件数を公表。申請受付開始。
- 2012年9月4日 申請書を税務署へ提出。申請受付期間(9月1日〜30日)内に提出する必要があるため、早めに準備を進めた。
- 2012年9月29日 公開抽選実施。東京都分は53件の申請に対し8枠の抽選となり、当事務所の依頼者は8番目に選ばれた。
- 2012年10月30日 審査開始の通知。抽選で枠内に入った申請者から順に審査が進む。
- 審査期間中 税務署の酒類指導官による現地調査を実施。
- 2012年12月25日 免許通知書の交付。審査開始からおよそ2か月での交付となった。
5. 現地調査でのやり取り
審査の過程で、税務署の酒類指導官が販売場を訪問する現地調査が行われました。依頼者は地域で長年にわたって酒販店を営んでおり、飲食店向けの業務卸売の実績もありました。
調査に訪れた酒類指導官からは、「長年地域で営業している酒販店で、飲食店向けの業務卸売もされているので、審査も安心して進められます」との言葉をいただきました。酒類販売の実績と地域での継続的な営業実態が、審査において明確に評価された場面でした。
全酒類卸売業免許の審査では、10年以上の酒類販売経験(経営者として直接従事した場合は5年以上)が求められます。この依頼者は長年の小売業と飲食店向け卸売の実績がその要件を十分に満たしており、審査がスムーズに進んだ主な要因のひとつでした。
6. 審査で重視されたポイント
| 審査項目 | この事例でのポイント |
|---|---|
| 酒類販売の経験年数 | 10年以上の小売実績あり。経歴を示す資料を丁寧に整備した |
| 卸売実績・販売先の確保 | すでに飲食店向け卸売の実績があり、取引承諾書の取得もスムーズだった |
| 年平均販売見込数量 | 全酒類卸売業免許は100kl以上が必要。過去の実績に基づいた根拠ある数量を提示した |
| 販売場の状況 | 現地調査で販売場の実態を確認。小売と区分された独立した卸売の販売場であることが重要 |
| 財務状況 | 繰越損失が資本等の額を上回っていないこと、3年連続での欠損がないことを確認 |
7. 現在の抽選制度について(2012年以降の変化)
2012年の制度導入から現在まで、全酒類卸売業免許の抽選制度の基本的な枠組みは変わっていません。毎年9月1日〜30日の申請受付、応募超過時の公開抽選、という流れは継続しています。
ただし、免許可能件数は都道府県・年度ごとに異なります。国税庁が毎年8月末〜9月初旬に公表するため、申請を検討する場合は必ず最新の公表件数を確認してください。2012年当時と比べ、件数が増えている地域・減っている地域どちらもあります。
また、抽選に通過しても要件審査があるため、書類の準備は抽選前に完了させておくことが重要です。申請受付期間は1か月しかないため、実質的には6〜7月頃から準備を始める必要があります。
8. よくある質問
Q. 全酒類卸売業免許の抽選に外れた場合、翌年また申請できますか?
はい、翌年の申請受付期間(9月)に改めて申請できます。ただし、毎年申請書類を一から揃える必要があります。抽選の倍率は年度・都道府県によって異なるため、翌年の免許可能件数の公表を確認したうえで判断してください。
Q. 全酒類卸売業免許がなくても卸売できるケースはありますか?
はい。取り扱う品目によっては、要件が緩やかな免許で対応できる場合があります。たとえばワイン・ウイスキーなど洋酒系であれば洋酒卸売業免許、自社輸入品であれば輸入酒類卸売業免許が選択肢になります。全酒類卸売業免許が本当に必要かどうかは、事業内容を確認したうえでご案内しています。
Q. 酒類販売経験が10年未満でも申請できますか?
経営者として直接酒類販売業務に従事した経験が5年以上あれば、要件を満たす可能性があります。ただし「直接従事」の解釈は税務署によって確認されるため、経歴の詳細を整理したうえで事前にご相談ください。
Q. 審査期間中に追加書類の提出を求められることはありますか?
あります。特に販売見込数量の根拠資料や、経歴の補足説明を求められるケースがあります。当事務所では審査開始後の税務署とのやり取りも含めてサポートしています。
Q. 現地調査は必ず行われますか?
全酒類卸売業免許の申請では、原則として現地調査が行われます。販売場の実態確認(小売と区分された独立した販売場かどうか等)が主な目的です。調査日程は審査開始後に税務署から連絡があります。
全酒類卸売業免許の申請をご検討の方へ
全酒類卸売業免許は、要件のハードルが高く、申請できる期間も限られており、抽選という要素も加わります。抽選を1回逃すと翌年まで待つことになるため、準備は早めに始めることをお勧めします。
当事務所では、全酒類卸売業免許が本当に必要かどうかの確認から、書類準備・申請代行・審査期間中の対応まで一括してサポートしています。初回相談は無料です。
本記事は、行政書士・社会保険労務士(酒類販売業免許申請分野の実務経験16年、申請実績2,000件以上)が、実際の申請・相談事例をもとに作成しています。
初回公開日:2012年 最終更新日:2026年3月 / 運営:酒類販売業免許の申請代行|行政書士・社会保険労務士 岩元事務所










