ショッピングセンターや百貨店のテナントとして酒類を販売する場合には、店舗ごとに一般酒類小売業免許を取得する必要があります。
今回は、神奈川県内のショッピングセンターへ新たに出店する小売業者様からご依頼をいただき、店頭で酒類を販売するための一般酒類小売業免許の取得をお手伝いしました。
今回の申請でポイントとなったのは、ショッピングセンターとの出店契約が「消化仕入」方式となっていたことです。酒類についても同じ契約方式とすると、誰が仕入れ、誰の計算で販売するのかが不明確になるため、税務署から追加確認がありました。
そこで、ショッピングセンター側と覚書を締結し、酒類については消化仕入の対象から除外して、申請者が独自に仕入れ・販売することを明確にしたうえで申請を進めました。
ショッピングセンターや百貨店への出店で、消化仕入契約がある場合の酒類販売業免許申請の参考となる事例としてご紹介します。
1. 事例の概要
| 申請者 | 小売業を営む法人 |
|---|---|
| 販売場所在地 | 神奈川県内のショッピングセンター |
| 初回相談 | 2021年5月18日 |
| 申請日 | 2021年6月11日 |
| 免許取得日 | 2021年9月30日 |
| 取得した免許 | 一般酒類小売業免許 |
2. ご相談の経緯
依頼者は小売業を営む法人で、神奈川県内のショッピングセンターに新たに出店するにあたり、店頭でお酒を販売したいというご要望でした。ショッピングセンターの一区画を賃借して出店する形態のため、一般酒類小売業免許の申請先はその販売場を管轄する税務署となります。
申請の準備を進める中で問題となったのが、ショッピングセンターとの間で締結する出店契約の形式でした。今回の出店契約は「消化仕入」方式となっており、この契約形態が酒類販売業免許の審査において論点となりました。
3. この事例のポイント
今回の申請では、主に次の3点がポイントとなりました。
①:消化仕入契約では「誰が販売主体か」の確認が重要
今回の申請では、ショッピングセンターとの出店契約が「消化仕入」方式となっていました。
消化仕入は、商品の仕入れや売上計上の方法が通常のテナント契約とは異なることがあり、契約内容によっては、誰が商品を仕入れ、誰の名義・計算で販売するのかを確認する必要があります。
酒類販売業免許は、実際に酒類を販売する者と販売場を特定して交付されるため、契約上の販売主体が不明確な場合には、税務署から追加説明を求められることがあります。
本件でも、ショッピングセンターとの契約内容を確認したところ、酒類についても通常の商品と同じ消化仕入方式で取り扱うと、酒類販売の主体が分かりにくくなる点が問題となりました。
そこで、酒類については他の商品とは別の取扱いとする方向で、契約関係を整理することになりました。
②:酒類だけを消化仕入の対象外に
税務署との確認を踏まえ、本件ではショッピングセンター側と協議し、酒類については消化仕入の対象から除外することとしました。
具体的には、申請者が酒類を自ら仕入れ、自らの責任と計算で販売することを明確にしました。
これにより、酒類販売業免許を取得する申請者と、実際に酒類を仕入れ・販売する事業者を一致させることができました。
ショッピングセンターや百貨店への出店では、施設側との契約条件が細かく定められていることがあります。そのため、酒類販売を予定している場合には、出店契約の内容を早い段階で確認し、酒類の仕入れ・販売主体がどのように整理されているかを確認しておくことが重要です。
③:覚書を作成して酒類の取扱いを明確化
酒類を消化仕入の対象外とすることについては、口頭で確認するだけでなく、ショッピングセンター側との合意内容を書面で明確にしました。
書面の名称は「覚書」に限られるものではなく、承諾書、契約書、変更契約書など、酒類の仕入れ・販売主体や取扱いについて確認できる内容であれば、案件に応じた形式で対応することができます。
本件では、酒類については通常の商品に適用される消化仕入の取扱いから除外し、申請者が自ら仕入れ、自ら販売することを書面で明確にしたうえで、その資料を税務署へ提出しました。
なお、ショッピングセンターや百貨店で酒類販売業免許を申請する場合に、必ず「覚書」という名称の書類が必要になるわけではありません。
重要なのは、既存の出店契約だけでは酒類の取扱いが明確でない場合に、酒類の仕入れ・販売主体を確認できる書面を用意することです。
4. よくある質問
Q. ショッピングセンターや百貨店のテナントでも酒類販売業免許は取得できますか?
可能です。
ただし、テナントとして独立した販売場が確保されているか、誰が酒類を仕入れ、誰が販売するのかなど、出店契約や実際の営業形態を確認する必要があります。
特に消化仕入など特殊な契約方式を採用している場合には、酒類の販売主体について税務署から確認を求められることがあります。
Q. 消化仕入契約だと酒類販売業免許は取得できませんか?
消化仕入契約であることだけを理由に、一律に免許取得ができないわけではありません。
重要なのは、実際の契約内容を確認し、誰が酒類を仕入れ、誰が販売するのかを明確にすることです。
本件では、酒類を消化仕入の対象外とし、申請者が直接仕入れ・販売する内容の覚書を締結して対応しました。
Q. 酒類だけ消化仕入の対象から外すことはできますか?
ショッピングセンターや百貨店側との契約によります。
本件では、施設側の了承を得て、酒類のみを消化仕入の対象外とする覚書を締結しました。
既存の出店契約を変更・補足することになるため、施設側との調整が必要です。
Q. 覚書は必ず必要ですか?
必ずしも「覚書」という名称の書類が必要なわけではありません。
既存の出店契約書だけで酒類の仕入れ・販売主体が明確であれば、追加書類が不要な場合もあります。
一方、契約内容だけでは酒類の取扱いが明確でない場合には、承諾書、覚書、変更契約書など、施設側との合意内容を書面で確認できる資料を用意します。
本件では、酒類を消化仕入の対象外とし、申請者が直接仕入れ・販売することを書面で明確にして対応しました。
Q. ショッピングセンターとの契約を締結する前に確認した方がよいことはありますか?
酒類販売を予定している場合には、できれば契約締結前に、
- 酒類の仕入れ主体
- 売上の帰属
- 酒類の在庫管理
- 販売代金の受領方法
- 酒類販売スペースの使用権限
などを確認しておくと、免許申請を進めやすくなります。
契約締結後に酒類だけ取扱いを変更する場合、施設側との追加調整が必要になることもあるため、出店計画の早い段階で酒類販売の予定を伝えておくことが重要です。
まとめ
本事例は、ショッピングセンターへの出店に伴い一般酒類小売業免許を取得した事例です。消化仕入という契約形態が審査の論点となりましたが、酒類のみを消化仕入の対象から除外して独自仕入・独自販売とする旨の覚書をショッピングセンターと締結し、税務署に提出することで解決しました。
百貨店やショッピングセンターへの出店では消化仕入契約が一般的に用いられています。酒類販売を予定している場合は、出店契約の締結前に免許申請への影響を確認し、必要であれば契約内容の調整や覚書の準備を申請と並行して進めることをお勧めします。
当事務所では、出店形態や契約内容のヒアリングから必要書類の整理・作成・申請まで一括してサポートしております。神奈川県に限らず、全国のショッピングセンター・百貨店出店に伴う酒類販売業免許申請についてもお気軽にご相談ください。
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