1. 酒類販売管理者の変更が必要になるケース
酒類販売管理者の変更が必要になる主なケースは以下のとおりです。最も多いのは退職・人事異動によるものです。
- 酒類販売管理者が退職・転職した
- 酒類販売管理者が人事異動で他の部署・店舗に移った
- 酒類販売管理者の研修受講から3年が経過し、更新を怠ったため(研修有効期限切れ)
- 法人成り・組織変更等により担当者を見直した
- 現在の管理者が他の販売場の管理者にも選任された(同一人物が複数販売場の管理者になることはできない)
酒類販売管理者は販売場ごとに常に選任されていなければなりません。退職等が決まった時点で速やかに後任者を決め、できるだけ空白期間が生じないようにすることが重要です。
2. 届出の期限・提出先・書類
- 届出書:酒類販売管理者選任(解任)届出書
- 提出期限:選任・解任した日から2週間以内
- 提出先:販売場の所在地を管轄する税務署
- 提出方法:持参・郵送・e-Tax
- 添付書類:後任者の酒類販売管理研修修了証の写し(受講済みの場合)
- 手数料:不要
選任と解任が同日の場合は1枚で対応可能
管理者の交代(旧管理者の解任と新管理者の選任)が同じ日付で行われる場合は、1枚の届出書に選任・解任の両方を記載して提出できます。日付が異なる場合は選任届と解任届を別々に作成して提出する必要があります。
- 届出書を提出しなかった場合:10万円以下の過料
- 酒類販売管理者を選任しなかった場合:50万円以下の罰金
罰金刑に処された場合は酒類販売業免許の取消要件にも該当します。
3. 後任者の選任要件
新たに酒類販売管理者に選任できるのは、次の要件をすべて満たす人です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 研修の受講 | 過去3年以内に酒類販売管理研修を受講していること |
| 雇用期間 | 引き続き6か月以上の期間、雇用が予定されていること(雇用期間の定めがない者・生計を一にする親族を含む) |
| 兼任の禁止 | 他の販売場で酒類販売管理者に選任されていないこと |
| 欠格事由がないこと | 精神の機能の障害等により職務を適正に行えない状態でないこと。酒税法の規定に該当する者でないこと |
個人事業主の免許者本人、または法人の役員は、その販売場で酒類の販売業務に従事する場合に限り、研修の受講状況にかかわらず酒類販売管理者となることができます。派遣社員は酒類小売業者との間に直接の雇用関係がないため、管理者になることはできません。
4. 後任者が研修未受講の場合
本来、酒類販売管理者は過去3年以内に研修を受講した者から選任する必要があります。しかし急な退職等で後任者が研修未受講の場合でも、届出自体は行うことができます。その場合、選任後3か月以内に研修を受講させるよう努める義務があります(努力義務)。
酒類販売管理研修は小売酒販組合等が実施しており、開催頻度・日程は地域によって異なります。研修未受講のまま管理者に選任した場合は、速やかに次回の研修日程を確認し、受講の予約を入れておきましょう。
5. 選任できる人がいない場合の対応
小規模な事業者では、管理者が突然退職して後任者がすぐに見つからないというケースもあります。この場合でも、酒類の販売を継続するためには管理者を選任する必要があります。
現実的な対応として、以下の順で検討します。
- 代表者・役員が自ら管理者になる:個人事業主や法人役員は研修の有無にかかわらず管理者になれます。まずこれが最も速い対応です。その上で正式な後任者を探し、決まり次第改めて届出を行います。
- 既存の従業員から選任する:6か月以上の雇用が見込まれる従業員を選任し、研修未受講であれば3か月以内に受講させます。
- 新たに採用する:採用後すみやかに選任し、研修を受講させます。
酒類販売管理者が不在のまま酒類の販売を継続することは法令違反となります。後任者が決まるまでの間、代表者・役員が暫定的に管理者を務めることが現実的な対応です。
6. 届出書の書き方
「酒類販売管理者選任(解任)届出書」には、主に以下の事項を記載します。国税庁のウェブサイトから様式をダウンロードできます。
| 記載事項 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 提出年月日・提出先税務署 | 販売場を管轄する税務署長宛に記載 |
| 免許者の住所・名称・代表者氏名 | 免許通知書に記載されている情報と一致させる |
| 販売場の所在地・名称 | 免許通知書に記載されている販売場の情報 |
| 解任する管理者の氏名・解任年月日 | 選任と解任が同日の場合は1枚に両方記載 |
| 新たに選任する管理者の氏名・選任年月日 | — |
| 新管理者の雇用期間 | 期間の定めがない場合は開始日のみ記載。役員・配偶者の場合は従事開始日を記載 |
| 従事させる業務内容 | 具体的な業務内容を簡潔に記載 |
| 研修修了証の写し | 受講済みの場合は添付。他の販売場で受講したものでも可 |
7. よくある質問
Q. 管理者が退職することが決まったら、すぐに届出が必要ですか?
届出のタイミングは「解任した日から2週間以内」です。在職中に退職が決まっても、実際の退職日(解任日)から2週間以内に届出を行います。ただし後任者の選任・届出の準備は退職日が確定した時点から早めに進めておくことをお勧めします。
Q. 選任と解任が別の日になってしまいました。どうすればよいですか?
選任届と解任届をそれぞれ別の届出書で作成し、各日付から2週間以内に提出します。たとえば旧管理者が3月31日退職(解任)・新管理者が4月1日選任の場合、解任届は4月14日まで、選任届は4月15日までに提出します。
Q. 管理者が変わったら、販売場に掲げている標識も変更が必要ですか?
必要です。酒類販売管理者の氏名・研修受講年月日・次回受講期限等を記載した標識を販売場の見やすい場所に掲示する義務があります。管理者が変わったら速やかに標識の内容を更新してください。インターネット販売の場合はウェブサイト上の表示も更新が必要です。
Q. 研修の有効期限が切れた場合も届出が必要ですか?
研修の有効期限が切れても、自動的に管理者の地位が失われるわけではありません。ただし速やかに研修を受講し直す必要があります。もし研修期限切れを理由に別の人に変更する場合は、通常の管理者変更と同様に選任・解任の届出が必要です。
Q. 販売場を移転した場合、管理者の届出はどうなりますか?
販売場を移転した場合、移転先を管轄する税務署が変わることがあります。その際、移転先の税務署から酒類販売管理者選任届出書の再提出を求められることがあります。販売場移転の手続きを進める際は、管理者の届出についても合わせて確認しておくことをお勧めします。
- 選任・解任から2週間以内に「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を提出
- 選任・解任が同日の場合は1枚の届出書で対応可能。別日の場合は別々に提出
- 後任者は過去3年以内に研修受講済みの者から選任するのが原則。未受講でも選任・届出は可能(3か月以内の受講が努力義務)
- 後任者がすぐに見つからない場合は代表者・役員が暫定的に管理者になるのが現実的
- 届出漏れは10万円以下の過料、管理者不選任は50万円以下の罰金の対象










