- 「酒類販売業免許の取得にどのくらいかかるの?」
- 「費用はいくら?」
- 「開業日に間に合わせるには、いつ申請すればいい?」
このページではこれらの疑問に、申請実績2,000件以上の行政書士が実務ベースでお答えします。
目次
審査期間の目安
酒類販売業免許の標準処理期間は、申請書類が税務署に受理された日から原則2か月以内とされています(酒税法施行令第14条)。ただしこれはあくまで「標準」であり、実務上は様々な事情で前後することがあります。
免許の種類による審査期間の違い
| 免許の種類 | 標準処理期間 | 実務上の傾向 |
|---|---|---|
| 一般酒類小売業免許 | 2か月以内 | 1〜2か月程度 |
| 通信販売酒類小売業免許 | 2か月以内 | 1〜2か月程度 |
| 輸入酒類卸売業免許 | 2か月以内 | 1.5〜2か月程度 |
| 洋酒卸売業免許 | 2か月以内 | 2か月程度 |
| 輸出酒類卸売業免許 | 2か月以内 | 1.5〜2か月程度 |
| 自己商標酒類卸売業免許 | 2か月以内 | 2か月程度 |
| 全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許 | 2か月以内 | 審査開始から2か月程度 ※抽選期間は別途 |
全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許の注意点
これらの免許は販売地域ごとに免許可能件数が設定されており、申請者が多い場合は抽選で審査順位が決まります。審査開始からの標準処理期間は他の免許と同じ2か月以内ですが、抽選を経て審査が開始されるまでに時間がかかります。そのため申請から免許取得まで、トータルで数か月以上かかることがあります。
「標準2か月」の正確な意味
標準処理期間2か月のカウントは、書類が受理された日から起算されます。重要なのは、補正(書類の修正・追加)が発生した期間はこの2か月に含まれないという点です。税務署から補正を求められると、その間審査期間のカウントがストップします。
ただし実務上は、補正期間中も審査自体は並行して進めてくれるケースがほとんどです。補正書類を提出してすぐに免許が出ることも珍しくありません。
⚠ 補正が発生すると審査期間のカウントがストップする
書類に不備があり補正を求められると、その期間は「標準2か月」のカウントに含まれません。完全な書類を用意して一発で受理・補正なしで審査を通すことが、審査期間を短縮する最大のポイントです。
審査の内部プロセスと遅延が起きやすいタイミング
税務署の内部では、担当者が審査→上長が確認→最終的に税務署長が決裁という流れで免許が交付されます。書類審査が問題なく終わっていても、税務署長のスケジュールが埋まっていると決裁が遅れ、免許証の交付が1か月近く後ずれすることがあります。
7月の人事異動は要注意
税務署では7月に人事異動があります。申請が6月〜7月をまたぐ場合、担当者が変わって引き継ぎに時間がかかり、審査が長引くことがあります。逆に、6月末に異動前の担当者が決裁を急いでくれて、予定より早く免許が下りるケースもあります。
7月の人事異動を考慮したスケジュールの目安
- 4月末までに申請できれば、6月末(異動前)までに免許取得できる可能性が高い
- 5〜6月に申請すると、7月の人事異動をまたぐリスクがある
- 7月以降に申請すれば新担当者が最初から担当するため引き継ぎの影響を受けない
飲食店併設の場合は時間に余裕を
申請する販売場が飲食店と同一または隣接している場合(飲食店を営みながら酒類を持ち帰り販売するケース等)、税務署が国税局に確認を取る必要があり、通常より審査に時間がかかる場合があります。飲食店併設で申請する場合は、スケジュールに1か月程度の余裕を追加しておくと安心です。詳しくは飲食店の酒類販売業免許のページをご覧ください。
審査が長引く主な原因と対策
酒類販売管理研修の受講タイミングに注意
申請時点で酒類販売管理者が酒類販売管理研修を受講していない場合、審査期間中に受講して修了証を提出すれば問題ありません。しかし、受講・提出のタイミングによっては免許取得が大幅に遅れることがあります。
申請から2か月近くたってようやく研修を受講・提出した場合、書類が揃った段階から決裁の流れに入ります。そこで税務署長のスケジュールが埋まっていると、研修修了証提出後さらに1か月近く待たされたケースもあります。研修はできるだけ申請前または申請直後に受講しておくことを強くお勧めします。
⚠ 酒類販売管理研修はなるべく早めに受講する
申請前または申請直後に受講するのが理想です。申請から2か月近く経ってから受講・提出すると、そこから決裁の流れが始まるため、トータルの取得期間が3か月以上になることがあります。
その他の書類不備・審査遅延の原因
- 収支見込みの根拠が不明確:「月◯本×単価◯円」など具体的な積算根拠が必要です
- 販売場の使用権限に関する書類の不足:賃貸物件は所有者・管理会社からの承諾書が必要です。「居住用」物件では取得に時間がかかる場合があります
- 法人の決算内容の問題:債務超過・3年連続赤字がある場合、経営基礎要件を満たさないと判断されることがあります
- 通信販売免許での証明書取得の遅れ:国産酒類を扱う場合、製造者からの「通信販売対象酒類の証明書」の取得に時間がかかることがあります
- 新設法人の設立直後の申請:設立間もない法人は経営基礎要件の確認のため追加資料を求められることがあります
経営基礎要件の詳細は酒類販売業免許の要件のページをご覧ください。
定款の事業目的変更も審査期間中に対応可能だが早めの準備を
法人が酒類販売業免許を申請する場合、定款の事業目的に酒類販売に関する記載が必要です。定款の変更(事業目的の追加)は申請時点で済ませておくのが原則ですが、審査期間中に変更して提出しても問題ないケースがほとんどです。
また、輸出酒類卸売業免許については、定款の事業目的に酒類販売の記載がなくても免許が下りることがあります。ただしこれは税務署によって対応が異なります。
⚠ 申請2か月後に「やはり定款変更が必要」と言われると大幅遅延のリスクがある
審査開始から2か月近く経った段階で「定款の事業目的を変更しないと免許を出せない」と指摘された場合、そこから定款変更の手続きを始めることになります。定款変更は株主総会の決議が必要な場合があり、会社によっては手続きに数か月かかることがあります。その間、免許取得がさらに先延ばしになります。
定款変更が不要になる場合もありますが、「必要と言われる可能性がある」と考え、申請時点で変更の準備を整えておくことを強くお勧めします。特に大企業や株主が複数いる会社では、臨時株主総会の開催に時間がかかるため、余裕をもって動いておくことが重要です。
定款の事業目的に関する対応方針
- 原則:申請前に定款を変更しておく(最も安全)
- 輸出酒類卸売業免許等で変更なしでも通る場合あり(税務署次第)
- 審査期間中の変更提出でも対応可能なケースが多い
- ただし、審査終盤に変更を求められると取得が数か月単位で遅延するリスクがある
審査をスムーズに進めるために
申請前に税務署(または酒類指導官設置署)へ事前相談を行うことで、管轄ごとのローカルルールや追加書類の有無を事前に把握できます。事前相談は予約制の場合が多いため、早めに連絡することをお勧めします。
費用の内訳
酒類販売業免許の取得にかかる費用は、「登録免許税」と「行政書士費用」の2つに分けられます。
登録免許税(法定費用)
免許取得時に税務署へ納付する国の費用です。小売免許・卸売免許の区分と、同時取得の組み合わせによって金額が変わります。
| 区分 | 登録免許税 | 備考 |
|---|---|---|
| 酒類小売業免許のみ(一般・通信販売) | 30,000円 | 何免許とっても上限3万円 |
| 酒類卸売業免許を含む(小売との組み合わせも含む) | 90,000円 | 9万円が上限 |
| 条件緩和で小売から卸売を追加取得 | 60,000円 | 小売→卸売の差額分 |
| 条件緩和で小売免許の範囲を拡大(一般→通信販売追加等) | 不要 | 小売内の拡大のため |
複数免許を同時取得する場合の登録免許税(具体例)
- 一般酒類小売業免許+通信販売酒類小売業免許:30,000円(小売のみのため上限3万円)
- 通信販売酒類小売業免許+輸入酒類卸売業免許:90,000円(卸売を含むため上限9万円)
- 一般小売+通信販売+輸入卸売の3免許同時:90,000円(卸売を含むため上限9万円)
- 洋酒卸売業免許+輸入酒類卸売業免許など卸売のみ複数:90,000円(9万円が上限)
条件緩和申出での費用については酒類販売業免許の条件緩和申出のページをご覧ください。
行政書士費用
行政書士に申請代行を依頼した場合の報酬です。免許の種類・件数・事業内容の複雑さによって異なります。当事務所の費用については酒類販売業免許申請代行の費用ページをご確認ください。
行政書士費用以外に、申請に必要な添付書類(登記事項証明書・納税証明書等)の取得費用が別途かかります。法人の場合、登記事項証明書が数通必要になることがあります。
開業日から逆算するスケジュール
「◯月◯日にオープンしたい」「◯月からECサイトでお酒を売り始めたい」という場合、開業日から逆算して準備を進める必要があります。
⚠ 免許取得前にお酒の販売を開始することはできません
免許が交付される前にお酒の販売を開始することは酒税法違反です。開業日・販売開始日には必ず余裕をもったスケジュールで動いてください。
希望する取得日を伝えることができる
申請書には「いつまでに免許が必要か」を記載する欄があります。また、申請後に税務署の担当者から「いつまでに免許が必要ですか?」と確認してくれるケースも多くあります。
極端に早い取得は難しいですが、開業日・販売開始予定日などの事情を伝えることで、担当者がある程度考慮してくれます。前述の7月の人事異動の例のように、「6月末までに免許を出してほしい」という希望を伝えることで、異動前に決裁を急いでもらえた事例もあります。
希望取得日を伝える際のポイント
- 申請書に希望日を記載しておく
- 申請後、担当者から「いつまでに必要か」と聞かれたら具体的な日付を伝える
- 開業日・ECサイトの公開日など理由が明確なほど考慮されやすい
- ただし標準処理期間を大幅に下回る取得は難しいため、余裕をもったスケジュールが前提
小売免許(一般・通信販売)の場合:開業3〜4か月前が目安
開業4か月前
販売場(事務所)の確保・契約。仕入れ先・販売商品の決定。国産酒類を扱う場合は製造者への証明書依頼を開始。
開業3〜4か月前
税務署への事前相談。申請書類の準備・作成開始。楽天市場での出店を予定している場合はショップの予定画面を作成。
開業2〜3か月前
税務署へ申請書類を提出(受理)。審査期間スタート(標準2か月)。
開業1か月前ごろ
税務署から審査結果の連絡(面談・現地確認が行われる場合あり)。登録免許税を納付。
開業日
免許通知書を受領後、販売開始。酒類販売管理者の選任・届出を行う。
卸売免許(輸入・洋酒・輸出等)の場合:開業4〜5か月前が目安
卸売免許は小売免許より添付書類が多く、取引承諾書の取得や事業計画書の作成に時間がかかります。特に洋酒卸売業免許は経験要件の確認が必要なため、早めに税務署へ事前相談することをお勧めします。
全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許の場合:申請から取得まで半年以上を想定
審査開始からの標準処理期間は2か月ですが、抽選を経て審査が開始されるまでに時間がかかります。毎年9月1日に免許可能件数が発表され、申請期間が設けられるため、スケジュールを立てる際は必ず事前に税務署へ確認してください。詳しくは全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許のページをご覧ください。
申請から取得までの流れ
| ステップ | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| ①事前準備 | 販売場の確保、仕入れ先・販売商品の決定、必要書類の収集 | 法人は登記事項証明書・決算書3期分等が必要 |
| ②事前相談 | 所轄税務署(または酒類指導官設置署)へ事前相談 | 予約制の場合が多い。管轄ごとのローカルルールを確認 |
| ③申請書類作成 | 申請書・収支見込み・事業計画書等の作成 | 行政書士に依頼する場合はこの段階から |
| ④申請・受理 | 税務署に書類を提出・受理される | 受理日が審査期間の起算日。不備があると受理されない |
| ⑤審査 | 税務署による書類審査(現地確認・面談が行われる場合あり) | 標準2か月(全酒類・ビール卸は抽選を含めて4か月以上) |
| ⑥登録免許税納付 | 審査通過後、登録免許税を税務署または金融機関で納付 | 小売:30,000円/卸売:90,000円 |
| ⑦免許証受領 | 税務署で免許通知書を受け取る | 受領日から販売開始が可能 |
| ⑧販売開始後 | 酒類販売管理者の選任・届出、帳簿の整備 | 免許取得後も各種義務が発生する |
よくあるご質問
Q. 酒類販売業免許の審査期間はどれくらいですか?
A. 標準処理期間は申請書類が受理された日から原則2か月以内です(酒税法施行令第14条)。ただし書類の補正期間はこの2か月に含まれないため、補正がない完全な書類で一発受理されることが審査期間短縮の最大のポイントです。全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許は抽選を経るため、申請から免許取得までトータルで数か月以上かかることがあります。
Q. 登録免許税はいくらかかりますか?
A. 酒類小売業免許のみの場合は30,000円、酒類卸売業免許を含む場合は90,000円が上限です。同じ販売場で複数の免許を同時申請する場合も、小売のみなら30,000円、卸売を1つでも含むなら90,000円で収まります。条件緩和で小売から卸売を追加する場合は差額の60,000円となります。
Q. 免許取得までどれくらいの期間が必要ですか?
A. 小売免許(一般・通信販売)は開業3〜4か月前から、卸売免許(輸入・洋酒・輸出等)は開業4〜5か月前から準備を始めるのが目安です。全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許は抽選を経るため、申請から取得まで半年以上を想定してください。
Q. 審査期間が長引く主な原因は何ですか?
A. 主な原因は次のとおりです。①書類の不備・補正の発生、②酒類販売管理研修の受講遅れ、③定款の事業目的変更が必要になった場合、④7月の人事異動による担当者の引き継ぎ、⑤飲食店併設の場合の国税局確認、⑥税務署長の決裁スケジュール。完全な書類で申請し、研修も早めに受講することが重要です。
Q. 希望する免許取得日を税務署に伝えることはできますか?
A. はい、可能です。申請書には希望日を記載する欄があり、申請後にも担当者から「いつまでに必要ですか?」と確認されることが多くあります。開業日・ECサイトの公開日など理由が明確なほど考慮されやすくなります。ただし標準処理期間を大幅に下回る取得は難しいため、余裕をもったスケジュールが前提です。
Q. 免許が下りる前に販売を始めることはできますか?
A. できません。免許交付前にお酒の販売を開始することは酒税法違反となります。開業日・販売開始日には必ず余裕をもったスケジュールで動いてください。
Q. 酒類販売管理研修はいつ受講すればよいですか?
A. 申請前または申請直後に受講するのが理想です。申請から2か月近く経ってから受講・提出すると、そこから決裁の流れが始まるため、トータルの取得期間が3か月以上になることがあります。研修は約4時間、費用4,000円程度です。
Q. 定款の事業目的に酒類販売の記載が必要ですか?
A. 原則として申請時点で定款の事業目的に酒類販売に関する記載が必要です。審査期間中の変更でも対応可能なケースが多いですが、審査終盤に変更を求められると数か月単位で遅延するリスクがあります。申請前に変更の準備を整えておくことを強くお勧めします。
Q. 費用は登録免許税以外にも発生しますか?
A. 登録免許税(30,000円または90,000円)以外に、行政書士に依頼する場合の報酬、申請に必要な添付書類(登記事項証明書・納税証明書等)の取得費用が発生します。法人の場合は登記事項証明書が数通必要になることがあります。
【まとめ】審査期間・費用・スケジュールのポイント
- 標準処理期間は2か月以内(全酒類・ビール卸は抽選を含めて4か月以上)。書類不備があると延長される
- 登録免許税は小売免許30,000円・卸売免許90,000円(同時申請でも上限内)
- 開業日から逆算して小売は3〜4か月前、卸売は4〜5か月前には準備を開始する
- 書類を完全な状態で提出し一発で受理されることが審査期間短縮の最大のポイント
- 申請前の税務署への事前相談で、管轄ごとのローカルルールを確認しておく
「開業日に間に合わせたい」「スケジュールを確認したい」という方はお気軽にご相談ください。事業内容・開業予定日をお聞きした上で、最適な申請スケジュールをご提案します。
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この記事は、行政書士・社会保険労務士(酒類販売業免許申請分野の実務経験16年、2000件以上の実績)が、実際の申請・相談事例をもとに解説しています。
最終更新日:2026年5月3日
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