ネットオークションやフリマアプリでお酒を販売する行為が広がる一方、酒類販売業免許を取得せずに転売・販売を続けているケースが後を絶ちません。国税当局は無免許販売の摘発を継続しており、リサイクルショップや買取業者に対するチェックも強化されています。
本記事では、どのような場合に免許が必要になるか、無免許販売の罰則、そして税務署による実際の確認・指導の実態について解説します。
1. 個人がオークションでお酒を売る場合:1回だけなら免許不要
お歳暮でもらったお酒や、飲まなくなったウイスキーをネットオークションに出品する——このような個人が一時的に不要品を売る行為は、原則として酒類販売業免許は不要です。
ただし、これが継続的・反復的になると話が変わります。酒税法上、酒類の「販売業」とは継続して酒類を売る行為を指します。たとえ個人であっても、仕入れて転売することを繰り返していれば「販売業」と見なされ、免許が必要になります。
「趣味の延長」「不用品の処分」として始めたつもりでも、出品頻度や販売金額によっては税務署から問い合わせが来るケースがあります。
2. リサイクルショップ・買取業者は特に注意が必要
買取業・リサイクルショップがお酒を仕入れて販売する場合は、酒類販売業免許が必要です。当事務所でも、リサイクルショップや買取業者から免許申請のご依頼をいただくことが増えています。
税務署の酒類指導官は、買取業者の店舗に「お酒の買取中」などの掲示がある場合、その業者が酒類販売業免許を保有しているかどうかを確認しに来ることがあります。店頭の掲示がきっかけで調査につながるケースは実際にあります。
また、ネット上の情報も確認対象です。過去に当事務所の顧客が、自社ブログに「お酒の買取をした」という内容の記事を投稿したところ、税務署の担当者から「販売はしていませんよね?」と確認の連絡が入ったことがありました。ブログやSNSでの発信も、税務署のチェック対象になっていることを念頭に置いてください。
3. 無免許販売の罰則
酒類販売業免許を持たずに酒類の販売業を営んだ場合、酒税法により以下の罰則が科されます。
- 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
(令和7年6月の刑事法改正により、従来の「懲役」「禁錮」は「拘禁刑」に統合されています。)
さらに、販売に使用した酒類や器具・容器等が没収される場合があります。実際に大阪国税局がリサイクル会社を摘発した事例では、複数の営業所に保管されていたウイスキーなど約1,700本が没収されました。
4. 免許取得が必要かどうか判断に迷う主なケース
以下のようなケースは免許の要否について問い合わせをいただくことが多いパターンです。
- 古物商(リサイクルショップ・買取店)がお酒を買い取って販売する→ 酒類販売業免許が必要。古物商許可とは別に取得する必要があります
- 飲食店が余剰在庫のお酒をネットで販売する→ 飲食店営業許可とは別に、酒類販売業免許が必要です
- 個人がフリマアプリで継続的にお酒を販売する→ 継続・反復して利益を得る目的で販売していれば免許が必要になる可能性があります
- コレクターがウイスキーや日本酒を売買する→ 趣味の範囲を超えて継続的に売買していれば免許が必要なケースがあります
5. よくある質問
Q. 何回・いくら分から「継続的な販売」とみなされますか?
具体的な回数や金額の基準は公表されていません。国税局は個別の状況を踏まえて総合的に判断しており、複数回の出品を繰り返している場合は注意が必要です。判断に迷う場合は事前にご相談ください。
Q. 古物商許可を持っていれば、お酒の買取販売もできますか?
できません。古物商許可と酒類販売業免許は別の許認可です。リサイクルショップ・買取業者がお酒を買い取って販売する場合は、古物商許可とは別に酒類販売業免許の取得が必要です。
Q. SNSやブログでの発信も本当に確認対象になりますか?
なります。本事務所でも、顧客が自社ブログに「お酒の買取をした」という内容を投稿したところ、税務署から確認の連絡が入った事例があります。ネット上の発信も無免許販売の端緒として確認されることを念頭に置いてください。
Q. 家庭で不要になったお酒を1、2本フリマサイトで売るのも危険ですか?
家庭で不要になった酒を1、2本程度、単発で売る行為は問題ないとされています。危険なのは、それを繰り返し行い、継続的な販売とみなされる状態になることです。
まとめ
- 個人が不要品を1回だけ売る行為は原則免許不要。継続・反復すれば免許が必要になる
- 買取業・リサイクルショップがお酒を販売する場合は必ず酒類販売業免許が必要
- 税務署は店舗掲示やネット・ブログ上の情報もチェックしており、無免許販売は発覚しやすい
- 無免許販売の罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
お酒の販売・転売を始める前に免許が必要かどうか不安な方、リサイクルショップや買取業者として免許取得をお考えの方は、お気軽にご相談ください。










