【事例】リラクゼーションサロン併設店舗でのテイクアウト酒類販売―静岡市・一般酒類小売業免許
概要
北東アジア向け貿易を主業とする東京の商社が、静岡市に新規出店するリラクゼーションサロン兼物販店舗の1階で酒類販売を行うため、一般酒類小売業免許を取得した事例です。東京本社ではすでに酒類免許を保有していましたが、静岡の新店舗は別の販売場として新たに申請が必要でした。開栓した状態でコップに注いで提供するものの、店内飲食ではなくテイクアウトのみという独特の販売形態が、免許の種別を検討する上でのポイントになりました。
依頼者の状況
依頼者は、1995年に東京で設立された貿易商社です。世界の先進的な技術・システム・素材を北東アジア市場(日本を含む)に紹介することを設立目的としており、現在はイギリスや中国などから畜産用施設機材、ゴムチップ・ゴムマット、スポーツ用人工芝などを輸入して卸売販売することが主な事業となっています。
東京本社ではオーガニック系化粧品やナチュラル製品も取り扱っており、顧客からの要望を受けて2021年4月に酒類販売業免許(東京・本社販売場)を取得済みでした。
さらなる販売拡大の一環として、静岡市の海岸近くに新店舗を出店することになりました。店舗は2フロア構成で、1階ではソフトドリンク・酒類・ボディトリートメント商品の販売を行い、2階はタイ製ボディケア製品を使ったリラクゼーションサロンとして運営する計画です。
酒類の販売形態としては、カウンターで注文を受けてコップに注ぎ、その状態でお客様にお渡しするテイクアウト方式。店内での飲食は行わず、海岸近くという立地を活かして、購入したお客様が海辺で飲んで楽しめるスタイルを想定していました。
ポイント
① 既存の東京免許とは別に、新たに静岡の販売場として申請が必要
酒類販売業免許は「販売場ごと」に付与されます。東京本社で免許を持っていても、静岡の新店舗は別の販売場ですので、改めて管轄税務署(静岡)への申請が必要です。依頼者はこの点をよく理解されており、開店予定日(2021年7月22日)に間に合わせるべく、早めにご相談いただきました。
② 開栓・コップ渡し+テイクアウトのみ―「飲食店営業」ではなく「小売」として整理
今回の販売形態で最も重要な論点が、免許の種別でした。コップに注いで手渡す行為は、一見すると飲食店での提供に近く見えます。しかし今回は以下の条件が揃っていました。
- 店内での飲食スペースは設けない
- お客様への提供はカウンター越しのテイクアウトのみ
- お客様は購入後、店外(主に海岸)で飲用する
事前に管轄税務署と丁寧に協議した結果、「開栓済みであっても持ち帰り目的の販売」として、一般酒類小売業免許の対象となることが確認されました。飲食店のように食品衛生法上の飲食店営業許可を取って酒類を提供するのではなく、酒販免許のもとで小売として販売する形です。
このように、販売形態が通常と異なる場合は、申請前に税務署と事前相談を行うことが非常に重要です。認識のズレがあると、免許取得後に指摘を受けたり、そもそも想定した販売ができなくなるリスクがあります。
③ 申請から約2か月での免許取得
2021年7月21日に申請し、同年9月14日に免許が付与されました。標準的な審査期間(申請から約2か月)のスケジュール感どおりの取得となりました。なお、免許取得前に店舗のオープン(7月22日)が先行しましたが、免許が下りるまでの期間は酒類販売を行わずに営業し、免許取得後から酒類の販売を開始しています。
④ 法人が複数事業を営む場合の免許申請
依頼者のように、貿易・卸売を主業としながら小売店舗を新たに開設するケースでは、会社の定款に「酒類の販売」が事業目的として記載されているかを確認することも重要な手続きのひとつです。記載がない場合は定款変更と登記が必要になりますので、申請の準備は余裕をもって進めることをお勧めします。
まとめ
本事例は、リラクゼーションサロンに併設した物販スペースで、テイクアウト形式の酒類販売を始めたいというご要望でした。「開栓してコップで渡す=飲食店」と思われがちですが、持ち帰り前提のカウンター販売であれば一般酒類小売業免許で対応できます。ただしこの判断は画一的なものではなく、店舗の設備・販売方法・お客様の利用実態などを総合して税務署が判断します。事前相談なしに進めると思わぬ障壁が生じることもありますので、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めします。
当事務所では、販売形態や店舗状況のヒアリングから税務署との事前相談、書類作成・申請まで一括してサポートしております。静岡に限らず、全国の酒類販売業免許申請についてもお気軽にご相談ください。
よくある質問
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Q. コップに注いで手渡す販売は、飲食店営業にあたりませんか?
- 店内に飲食スペースを設けず、カウンターでの受け渡し後はお客様が店外で飲用する形であれば、持ち帰り販売として一般酒類小売業免許の対象となります。ただし、テーブルや椅子など店内飲食を想起させる設備があると判断が変わる場合もあります。必ず事前に管轄税務署へ相談した上で販売形態を確定させてください。
Q. 開栓した状態で酒類を販売しても、小売免許で問題ありませんか?
- 開栓・未開栓は免許種別の判断基準ではありません。販売の目的が「持ち帰り(小売)」か「その場での飲食提供(飲食店)」かによって整理されます。本事例でも、開栓してコップで渡すものの持ち帰り専用であることを税務署に確認の上、一般酒類小売業免許で対応しています。
Q. 本社ですでに酒類免許を持っている場合、支店や新店舗でも同じ免許を使えますか?
- 使えません。酒類販売業免許は販売場(店舗)ごとに取得が必要です。東京本社の免許は東京の販売場にのみ有効であり、静岡の新店舗では別途申請が必要になります。
Q. 申請してから免許が下りるまで、どのくらいかかりますか?
- 標準的な審査期間は申請受付から約2か月です。本事例では7月21日申請・9月14日免許と、ほぼ標準どおりのスケジュールでした。開店日が決まっている場合は、逆算して早めに準備・申請することをお勧めします。なお、免許取得前に開店すること自体は可能ですが、免許が下りるまでの期間は酒類の販売を行うことができません。
Q. 販売する酒類の種類に制限はありますか?
- 一般酒類小売業免許では、ビール・日本酒・焼酎・ワイン・ウイスキーなど、品目を問わずすべての酒類を小売販売することができます。










