酒類販売業者の帳簿記載義務|記載事項・保存期間・小売の特例を解説

酒類販売業免許を取得した事業者には、酒税法第46条に基づき帳簿への記帳義務が課されています。通常の会計帳簿とは別に、酒類専用の帳簿(酒類受払帳)を販売場ごとに備え付け、閉鎖後5年間保存しなければなりません。

1. 記帳義務の概要

酒類販売業者は、酒類の仕入れ・販売に関する事実を帳簿に記載しなければなりません(酒税法第46条)。この帳簿は通常の会計帳簿(仕訳帳・総勘定元帳等)とは別に作成する必要があります。一般的に「酒類受払帳」と呼ばれています。

記帳義務の基本
  • 根拠法令:酒税法第46条、酒税法施行令第52条
  • 対象者:酒類販売業免許を受けた者(小売・卸売を問わない)
  • 備付場所:販売場ごとに常時備え付けること
  • 保存期間:帳簿閉鎖後5年間
  • 様式:定めなし(必要事項が記載できれば自由)
複数の販売場を持つ場合は販売場ごとに作成

同一法人が複数の販売場(店舗・事務所等)で免許を取得している場合、帳簿は本社でまとめて管理するのではなく、販売場ごとにそれぞれ作成・備え付けなければなりません。「本社でまとめて管理しているから各店舗には帳簿がない」では義務違反になります。

2. 記載すべき事項(仕入・販売)

帳簿に記載すべき事項は、酒類の品目・税率の適用区分別に以下のとおりです。品目ごとに記帳することが求められますが、実務上は銘柄ごとに記帳するのが一般的です。

仕入(受入)に関する記載事項

記載事項 備考
仕入年月日 受入日を記載
仕入先の住所・氏名または名称 省略不可
酒類の品目・数量・価格 品目ごと・税率区分ごとに記載

販売(払出)に関する記載事項

記載事項 備考
販売年月日
販売先の住所・氏名または名称 小売の場合は省略可。卸売の場合は省略不可
酒類の品目・数量・価格 品目ごと・税率区分ごとに記載
「品目」とは何か

酒税法上の「品目」は酒類の種類分類です。主な品目は次のとおりです。

  • 清酒・合成清酒・焼酎・みりん・ビール・果実酒・ウイスキー・スピリッツ・リキュール・雑酒 等
  • ワインとスパークリングワインは同じ「果実酒」→同一行に記帳可
  • ビールと発泡酒は別品目→別々に記帳が必要

3. 小売業者の記帳の特例

販売数量の一括記帳(3か月分まとめて記帳可)

卸売以外の小売販売については、次の条件を両方満たす場合に限り、3か月以内の合計数量を一括で記帳することが認められています。

  • 仕入先から都度、記帳必要事項が記載された伝票の交付を受け、これを5年以上保存していること
  • 3か月以内ごとに実地棚卸を行っていること(会計年度の最終月は月末に実施)
一括記帳の条件を満たさない場合は都度記帳が必要

仕入先からの伝票が揃っていない場合や棚卸しを行っていない場合は、この特例を使えず、仕入・販売の都度記帳が必要になります。

販売先の記載省略

小売販売(消費者・飲食店への販売)の場合は、販売先の住所・氏名または名称の記載を省略できます。ただし税務署長から取締り上必要と認めて記載を命じられた場合は記載が必要です。

一方、卸売販売(酒類販売業者・酒類製造者への販売)では販売先の記載省略はできません。必ず販売先の住所・名称を記載してください。

4. 帳簿の様式・保存方法

様式は自由

帳簿の様式に法定の書式はありません。必要な記載事項が網羅できていれば、市販の帳簿・Excelで作成した表・会計ソフトのいずれを使っても構いません。

原則として紙で保存

帳簿は原則として紙(印刷物)で販売場に備え付ける必要があります。パソコン上のデータだけでは義務を履行したことになりません。Excelや会計ソフトで作成した場合は、必ず印刷して保存してください。

電子帳簿保存法の適用について

電子帳簿保存法に基づく電子保存(スキャナ保存・電子取引データ保存)の要件を満たす場合は、電子データでの保存が認められます。詳細は税理士等にご確認ください。

保存期間は帳簿閉鎖後5年間

帳簿を閉鎖(使い終えた)後、5年間保存する義務があります。税務署は必要に応じて過去5年間に遡って調査を行うことができます。

廃業・免許取消後の保存義務

廃業・免許取消後も、閉鎖した帳簿の保存義務は帳簿閉鎖後5年間継続します。廃業・閉店後は帳簿を処分せず、5年間は保管してください。

5. 違反した場合の罰則

記帳義務違反の罰則
  • 帳簿の記載を怠った・偽った・隠匿した場合:1年以下の懲役または50万円以下の罰金(酒税法第58条)
  • これらの刑に処せられた場合は、酒類販売業免許の取消事由にも該当します

記帳は日々の地道な作業ですが、免許の維持に直結する重要な義務です。帳簿が整備されていない状態で税務調査を受けると、取引の実態確認に支障が生じるだけでなく、最悪の場合は免許取消につながります。

6. よくある質問

Q. 会計ソフトの仕訳帳が酒類の帳簿を兼ねることはできますか?

会計ソフトに仕入・販売の内容が品目別・税率区分別に記載されており、必要事項がすべて揃っている場合は、それを印刷して使用することができます。ただし通常の会計仕訳では品目ごとの分類が省略されていることが多いため、別途酒類専用の記録を作成するのが確実です。

Q. 飲食店と酒類販売を兼業しています。飲食提供分も帳簿に記載が必要ですか?

酒類販売業免許に基づく帳簿(酒類受払帳)に記載するのは、酒類販売業として仕入れ・販売した分のみです。飲食店として店内提供するために仕入れた分は含めません。販売用と提供用の仕入れ・在庫・帳簿を明確に区分して管理することが求められます。

Q. 輸入して通信販売しています。仕入先は海外の業者ですが、どう記載しますか?

海外からの直接輸入の場合も、仕入先(輸入元)の名称・所在地を記載します。なお輸入の場合は、関税法施行令の保存すべき書類(輸入許可書等)に記載事項がある場合は、当該書類を整理・保存することで一部記載を省略できる場合があります。

Q. 販売実績がまったくない年も帳簿は必要ですか?

免許を保有している以上、販売実績の有無にかかわらず帳簿の備え付け義務は継続します。販売・仕入れがゼロの場合は記載事項がありませんが、帳簿自体は販売場に備え付けておく必要があります。

【まとめ】記帳義務のポイント
  1. 通常の会計帳簿とは別に酒類専用の帳簿(酒類受払帳)を作成する
  2. 酒類の品目・税率区分ごとに仕入・販売の事実を記帳する
  3. 帳簿は販売場ごとに備え付ける(複数拠点がある場合は各拠点に)
  4. 小売販売は販売先の記載省略可。卸売販売は省略不可
  5. 一括記帳の特例(3か月分まとめて記帳)を使うには伝票の5年保存と棚卸しが条件
  6. 帳簿は原則紙で印刷して保存。データのみでは不可
  7. 閉鎖後5年間保存。怠ると1年以下の懲役または50万円以下の罰金

記帳義務の具体的な方法や、免許取得後の義務についてご不明な点はお気軽にご相談ください。

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