【取得事例】東京都渋谷区・越境ECプラットフォーム運営会社による酒類販売3免許同時取得

越境ECで酒類を販売する場合、海外向け販売だけでなく、国内通販や対面販売を行うかどうかによって、必要となる酒類販売業免許が異なります。

今回は、東京都渋谷区で越境ECプラットフォームを運営する会社様からご依頼をいただき、海外への酒類販売に加え、国内向けの通信販売や対面販売にも対応するため、一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・輸出酒類卸売業免許の3種類を同時に申請しました。

審査では、取締役の酒類販売経験について経歴を補足したほか、販売場が親会社からの転貸物件であったため、賃貸借関係について追加説明を行いました。

越境ECを軸に国内外へ販売チャネルを広げる企業が、複数の酒類販売業免許を同時取得した事例としてご紹介します。

1. 事例の概要

項目 内容
申請地 東京都渋谷区
依頼者の業種 越境ECプラットフォーム運営会社
取得免許 一般酒類小売業免許/通信販売酒類小売業免許/輸出酒類卸売業免許
お問い合わせ日 2017年6月9日
申請日 2017年8月2日
免許取得日 2017年10月27日
お問い合わせから取得まで 約4ヶ月半

2. なぜ3種類の免許が必要だったのか

海外向けのプラットフォーム運営を本業とする会社が、酒類販売をその事業の一部として組み込むために取得したケースです。

越境ECで酒類を扱う場合、販売先(海外か国内か)と販売方法(対面か通信販売か)によって必要な免許が変わります。今回は海外販売・国内通販・対面販売のすべてをカバーする事業計画だったため、3種類の申請となりました。

3. 各免許の位置づけ

輸出酒類卸売業免許

越境ECを通じて海外の消費者や海外の取引先に酒類を販売・輸出するために必要な免許です。越境ECで酒類を海外に向けて販売する場合、通信販売酒類小売業免許ではなく輸出酒類卸売業免許が必要になります。海外向けプラットフォームを運営する会社にとって、事業の根幹を支える免許です。

通信販売酒類小売業免許

国内の消費者に対してECサイトや通販で酒類を販売するために必要な免許です。越境ECと並行して国内向けの通販も展開する場合、輸出酒類卸売業免許とは別にこの免許が必要になります。同一のプラットフォームやサイトで国内外の消費者を対象とする場合は、両免許を取得しておくことが安全です。

一般酒類小売業免許

事業所や店頭で消費者に対面で酒類を販売するために必要な免許です。ECが主軸であっても、事業所での手渡しや対面販売の可能性がある場合には取得しておくことで、販売方法の選択肢が広がります。

4. 審査でのやり取り

申請後、税務署の審査では以下の2点について確認・補足対応が必要になりました。

  • 取締役の酒類販売経験について 当初の申請内容では経験の記載が十分でなかったため、学生時代のアルバイトでの酒類販売経験を追記し、経歴を補足しました。
  • 販売場が転貸物件であったことについて 販売場の賃貸借契約が転貸(又貸し)の形態であったため、税務署から賃貸人との関係について確認がありました。転貸元が申請者の親会社であることを説明し、問題なく審査が進みました。

このように、役員の経歴が浅い場合や、物件の賃貸借関係が通常と異なる形態である場合は、審査の過程で追加の説明を求められることがあります。事前にこうした点を整理しておくと、審査がスムーズに進みます。

5. 越境EC会社が酒類販売免許を取得する際のポイント

越境ECを利用して酒類を販売する場合は、通常の店舗販売とは異なり、海外への販売方法やECサイトの運営方法、仕入先などについて、事業の流れが分かるように整理しておくことが重要です。

輸出酒類卸売業免許:海外への販売方法を具体的に説明

輸出酒類卸売業免許の申請では、海外の誰に、どのような方法で酒類を販売する予定なのかを具体的に説明します。

特定の海外事業者との取引を予定している場合には、取引関係を確認できる資料を用意します。一方、越境ECを通じて不特定多数の海外顧客へ販売する場合には、あらかじめ特定の販売先を示すことが難しいケースもあります。

そのような場合には、ECサイトの概要、販売の仕組み、対象国、受注から発送までの流れなど、実際にどのように海外販売を行うのかが分かる資料を整理して申請します。

今回の申請でも、越境ECプラットフォームを運営していた実績や、予定している販売方法などを整理し、海外への販売計画を説明しました。

通信販売酒類小売業免許:国内向け通販の内容を整理

国内の消費者にインターネットで酒類を販売する場合には、通信販売酒類小売業免許が必要となります。

申請にあたっては、どのようなサイトで、どの地域の消費者を対象に、どのような酒類を販売するのかを明確にします。

また、実際にECサイトを運営する際には、酒類販売に関する表示に加えて、通信販売事業者として必要となる特定商取引法上の表示などについても確認しておく必要があります。

酒類販売業免許の審査とECサイトに関する法令上の義務はそれぞれ別のものですが、販売開始後に問題が生じないよう、サイト構築の段階から必要な表示や販売条件を整理しておくことが大切です。

仕入先と販売する酒類を明確にする

酒類販売業免許の申請では、販売する酒類をどこから仕入れる予定なのかも重要な確認事項です。

酒類メーカーや酒類卸売業者など、予定している仕入先を明確にし、取引予定を確認できる資料などを準備します。

特に越境ECの場合は、「海外に販売すること」ばかりに目が向きがちですが、国内でどのように酒類を仕入れ、その商品をどのような流れで海外へ販売・発送するのかまで含めて、事業全体の流れを整理しておくことが重要です。

越境ECによる酒類販売では、単にECサイトを用意するだけではなく、仕入れから受注、決済、発送、輸出までの流れを具体的に説明できるよう準備しておくことが、申請を進めるうえでのポイントとなります。

6. 免許取得後の事業展開

免許取得後、依頼者は中国のアリババグループと緊密な連携ができるチームを持ち、日本の商品を中国のお客様に安心して速やかにお届けするEコマースビジネスを展開されています。これまでの経験を活かし、酒類の一般小売と通信販売を行っており、一般小売については国内外の飲食店への販売を予定しています。

この事例の申請当時(2017年)は、海外の飲食店へ酒類を販売するためには一般酒類小売業免許が必要という取り扱いでした。輸出酒類卸売業免許はあくまで卸売業者・輸入業者向けの輸出を想定した免許であり、海外の飲食店という個別の需要者への販売は、小売の枠組みで捉えられていたためです。このため、本事例では一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・輸出酒類卸売業免許の3種類をあわせて取得する形になりました。

現在は、輸出酒類卸売業免許だけで海外の飲食店への販売が可能になっています(2021年頃からの税務署の取り扱い)。同じように越境ECで海外の飲食店への販売を計画されている場合、現在の制度であれば輸出酒類卸売業免許の取得のみで対応できるケースがありますので、事業計画に応じて必要な免許の組み合わせを確認することをおすすめします。

7. よくある質問

Q. 越境ECで海外に酒類を販売する場合、通信販売酒類小売業免許では対応できませんか?

対応できません。通信販売酒類小売業免許は国内の消費者への通信販売を対象とした免許です。海外の消費者や取引先へ酒類を販売・輸出する場合は、輸出酒類卸売業免許が必要になります。

Q. 取締役に酒類販売の実務経験がない場合、免許は取得できませんか?

経験の内容によります。本事例のように、アルバイト等の経験であっても、経歴として明示することで審査上の説明材料になる場合があります。経験が乏しい場合は、他の役員の経験や事業計画の具体性など、総合的な観点から準備を進めることをおすすめします。

Q. 販売場が転貸物件の場合、審査に影響しますか?

転貸自体が直ちに問題になるわけではありませんが、賃貸人との関係について税務署から確認されることがあります。本事例では転貸元が申請者の親会社であることを説明し、審査が進みました。転貸物件で申請する場合は、賃貸借関係を整理した資料を準備しておくとスムーズです。

Q. 越境ECの実績がない場合でも輸出酒類卸売業免許は取得できますか?

取得できます。本事例のようなプラットフォーム運営の実績は事業計画の説得力を高める材料にはなりますが、必須の要件ではありません。海外への販売計画・販売方法を具体的に整理して申請することが重要です。

Q. 海外の飲食店へ酒類を販売する場合、輸出酒類卸売業免許だけで対応できますか?

現在は、輸出酒類卸売業免許のみで海外の飲食店への販売が可能です(2021年頃からの税務署の取り扱い)。本事例の申請当時(2017年)は、海外の飲食店への販売に一般酒類小売業免許もあわせて必要とされていましたが、現在の取り扱いでは輸出酒類卸売業免許だけで対応できるケースがあります。事業計画に応じて、必要な免許の組み合わせを事前にご確認ください。

まとめ

  • 越境ECで酒類を海外向けに販売するには輸出酒類卸売業免許が必要。通信販売酒類小売業免許では海外販売をカバーできない
  • 国内向け通販も行う場合は通信販売酒類小売業免許を別途取得する必要がある
  • 3種類の同時申請により、海外・国内・対面のすべての販売チャネルに対応できる
  • 役員の経歴が浅い場合や、物件が転貸である場合は、審査の過程で追加の説明を求められることがある
  • 越境ECの運営実績は、輸出酒類卸売業免許の審査における事業計画の説得力を高める材料になる

越境ECでの酒類販売、輸出酒類卸売業免許の取得をお考えの方はお気軽にご相談ください。

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    平成24年9月1日

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