南アジア系の酒類を輸入し、日本国内で幅広く販売する場合には、販売先や販売方法に応じて複数の酒類販売業免許が必要になることがあります。
今回は、埼玉県さいたま市で設立された食品販売会社様からご依頼をいただき、南アジア系酒類の輸入販売事業を始めるため、一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・輸入酒類卸売業免許の3種類を同時に申請しました。
代表者様は日本に長く在住し、システムエンジニアとしてECサイト開発に携わった経験を活かして、全国の南アジア出身者向けに食品や酒類を販売するオンラインサービスを立ち上げる計画でした。
酒販店への卸売、飲食店への販売、一般消費者への通信販売という複数の販売チャネルに対応するため、事業内容を整理したうえで必要な免許を組み合わせて取得した事例としてご紹介します。
1. 事例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者所在地 | 埼玉県さいたま市 |
| 取得免許 | 一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・輸入酒類卸売業免許(3免許同時) |
| お問い合わせ日 | 2024年6月2日 |
| ご依頼日 | 2024年6月5日 |
| 申請日 | 2024年8月22日 |
| 免許交付日 | 2024年10月1日 |
2. ご相談の経緯
申請者は埼玉県さいたま市に設立して半年の食品販売会社の代表取締役です。日本に15年以上在住するネパール人の方で、在留資格の要件も問題なく満たしていました。
代表者自身が長年、日本のスーパーでは手に入りにくい南アジアの食材を求めて、新大久保などの専門店まで足を運んでいました。家族での買い出しは移動時間・交通費・体力的な負担が大きく、同じ不便さを感じている在日南アジア人は多いはずだという実感がありました。
もともとシステムエンジニアとしてショッピングサイトの開発に携わった経験を持つ代表者は、そのノウハウを活かして全国に住む南アジア人向けのオンライン食材販売サービスを立ち上げることを決意。食品と合わせて南アジア系の酒類も取り扱うため、酒類販売業免許の取得をご依頼いただきました。
3. 販売の計画
取得した3つの免許は、それぞれ異なる販売チャネルに対応しています。
| 免許 | 販売チャネル・目的 |
|---|---|
| 輸入酒類卸売業免許 | 南アジア系酒類を輸入し、国内の酒類販売業者に卸売する |
| 一般酒類小売業免許 | 南アジア料理の飲食店等に販売する |
| 通信販売酒類小売業免許 | 自社ECサイトで全国の消費者に販売する(輸入酒類のみ) |
4. この事例のポイント
今回の申請では、主に次の3点がポイントとなりました。
①:海外仕入先との取引予定を資料で整理
今回の申請では、南アジア系酒類を海外から輸入して国内で販売する計画だったため、海外の仕入先との取引関係を確認できる資料を準備しました。
本件では、仕入先から取引予定を確認できる書類を取得し、どの国のどの事業者から、どのような酒類を輸入する予定なのかを整理して申請しました。
輸入酒類卸売業免許の申請では、単に「海外から酒類を仕入れたい」というだけでなく、予定している仕入先や取扱商品、国内での販売先や販売方法など、事業の流れを具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
今回も、海外仕入先との取引予定と国内での販売計画をあわせて整理することで、事業内容が分かる形で申請を進めました。
②:3種類の免許を同時に取得
今回の事業では、酒販店への卸売、飲食店や一般消費者への販売、インターネットでの通信販売を予定していました。
そのため、
- 輸入した酒類を国内の酒販店などへ卸売するための「輸入酒類卸売業免許」
- 飲食店や一般消費者へ販売するための「一般酒類小売業免許」
- インターネットで一般消費者へ販売するための「通信販売酒類小売業免許」
の3種類を同時に申請しました。
本件では、申請後に大きな補正を要することなく審査が進み、約40日で3種類の免許が交付されました。
ただし、審査期間は申請内容や追加確認の有無によって異なるため、同じように複数の免許を同時申請した場合でも、必ず同程度の期間で取得できるとは限りません。
複数の販売方法を予定している場合には、最初に「誰に」「どのような方法で」販売するのかを整理し、それぞれに対応する免許を検討することが重要です。
③:外国人経営者の在留資格も確認
今回の法人は、外国人の代表者様が経営していました。
外国人の方が日本で会社を経営し、酒類販売事業を行う場合には、酒類販売業免許の要件だけでなく、現在の在留資格で予定している事業活動を行うことができるかについても確認しておく必要があります。
本件では、申請前に代表者様の在留資格を確認し、予定している事業活動との関係を整理したうえで酒類販売業免許の申請を進めました。
酒類販売業免許の審査と在留資格の手続きは別の制度ですが、外国人経営者が新たに事業を始める場合には、両方の手続きを整合させて進めることが重要です。
なお、必要となる在留資格や手続きは、現在の在留資格、役員としての立場、実際に行う業務内容などによって異なります。そのため、個別の状況に応じて確認する必要があります。
5. よくある質問
Q. 輸入酒類卸売業免許があれば、飲食店にも販売できますか?
できません。
輸入酒類卸売業免許は、自己が輸入した酒類を国内の酒類販売業者などへ卸売するための免許です。
飲食店への販売は「卸売」ではなく小売に当たるため、飲食店へ直接販売する場合には一般酒類小売業免許が必要です。
今回も、酒販店への卸売だけでなく飲食店への販売を予定していたため、輸入酒類卸売業免許と一般酒類小売業免許をあわせて取得しました。
Q. 海外の仕入先から取引承諾書を必ず取得する必要がありますか?
必ず「取引承諾書」という名称の書類が必要とは限りません。
重要なのは、海外のどの事業者からどのような酒類を仕入れる予定なのか、具体的な取引計画を説明できることです。
本件では、仕入先との取引予定を確認できる資料として書面を準備して申請しました。
必要となる資料は、取引の内容や申請時点の状況によって異なるため、個別に確認することが重要です。
Q. 3種類の免許を同時に申請できますか?
可能です。
今回のように、卸売・店頭販売・通信販売を同時に予定している場合には、事業内容に応じて複数の酒類販売業免許を同時に申請することができます。
ただし、それぞれの免許について要件を満たす必要があり、販売先や販売方法についても整理して申請する必要があります。
Q. 外国人でも酒類販売業免許を取得できますか?
外国人であることだけを理由に、酒類販売業免許を取得できないわけではありません。
法人で申請する場合は、その法人が酒類販売業免許の要件を満たしているかが審査されます。
一方、代表者や役員が外国人の場合には、日本で予定している経営・事業活動と在留資格の内容に問題がないかも別途確認しておくことが重要です。
今回の事例でも、申請前に代表者様の在留資格を確認したうえで手続きを進めました。
Q. 酒類販売管理者研修は申請前に受講する必要がありますか?
酒類の小売販売を行う販売場では、酒類販売管理者を選任し、所定の研修を受講させる必要があります。
ただし、酒類販売業免許の申請時点でどの資料まで必要になるかは、申請内容や管轄税務署への提出時期などによって確認が必要です。
今回の事例では、販売開始に向けて酒類販売管理者の選任と研修受講についても準備を進めました。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 埼玉県さいたま市・食品販売会社(設立半年) |
| 取得免許 | 一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許・輸入酒類卸売業免許 |
| 販売する酒類 | 南アジア系酒類(輸入品) |
| ご依頼から申請まで | 約2か月半(取引承諾書取得・研修受講に時間を要した) |
| 申請から免許交付まで | 約40日(2024年8月22日申請→2024年10月1日交付) |
| 特記事項 | 外国人経営者・新設法人・3免許同時取得・ECサイト活用 |
輸入酒類卸売業免許・一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許の同時取得についてご不明な点やご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料にて承っております。










