外国人が酒類販売業免許を取得するには|在留資格の確認と申請手続き
日本国籍を持たない外国人でも、酒類販売業免許を取得することは可能です。酒税法には、外国人であることを理由に免許を付与しないという規定はありません。
ただし、日本で事業を行うためには適切な在留資格を持っている必要があります。在留資格によっては、そもそも事業を経営すること自体が認められていない場合があります。免許申請の前に、自身の在留資格が酒類販売業を行うことを許容するものかどうかを確認することが最初のステップです。
📌 このページのポイント
・外国人でも日本人と同じ手続きで酒類販売業免許を取得可能
・在留資格の確認が最初のステップ(身分系在留資格・経営管理ビザ)
・経営管理ビザは2025年10月の制度改正で要件が強化
・当事務所は申請取次行政書士として在留資格申請にも対応
まず確認すべき:在留資格と事業経営の可否
日本で酒類販売業を「経営する」ことができる在留資格は限られています。大きく分けると、就労制限のない身分系在留資格と、事業経営専用の就労系在留資格の2種類があります。
| 在留資格 | 酒類販売業の経営 | 備考 |
|---|---|---|
| 永住者 | 可能 | 就労制限なし。個人事業主・法人代表いずれも可 |
| 日本人の配偶者等 | 可能 | 就労制限なし |
| 永住者の配偶者等 | 可能 | 就労制限なし |
| 定住者 | 可能 | 就労制限なし |
| 特別永住者 | 可能 | 就労制限なし |
| 経営・管理(経営管理ビザ) | 可能 | 事業経営を目的とした在留資格。要件あり(後述) |
| 技術・人文知識・国際業務 | 原則不可 | 雇用されて業務に従事する資格。事業経営は対象外 |
| 留学 | 不可 | 就労・事業経営ともに認められていない |
| 家族滞在 | 不可 | 原則就労不可 |
「技術・人文知識・国際業務」は会社員として働くための在留資格であり、自ら事業を経営することは認められていません。現在この在留資格で在留している方が酒類販売業を始めたい場合は、経営管理ビザへの変更を検討する必要があります。
経営管理ビザで酒類販売業を始める場合の注意点
外国人が新たに日本で事業を立ち上げて酒類販売業を行う場合、多くは「経営・管理」の在留資格(経営管理ビザ)を取得するルートをたどります。
経営管理ビザの取得には、2025年10月の制度改正以降、以下の主な要件を満たす必要があります。
- 事業所(オフィス)を確保していること(自宅兼用は原則不可)
- 日本人・特別永住者・身分系在留資格を持つ外国人のいずれかの常勤職員を1名以上雇用すること
- 申請者または常勤職員のうち少なくとも1名が一定の日本語能力を有すること(JLPTのN2相当以上など)
- 学歴または3年以上の業務経験を有すること
酒類販売業のような許認可が必要な事業については、原則として経営管理ビザの取得前か取得と並行して、酒類販売業免許の申請準備を進める必要があります。ただし、ビザを取得しなければ免許申請が実質的に困難な側面もあるため、両方の手続きの順序については事前に専門家に相談することをお勧めします。
酒税法上、外国人に特別な要件はない
酒類販売業免許の4つの要件(人的要件・場所的要件・経営基礎要件・需給調整要件)のいずれにも、外国人を不利に扱う規定はありません。適切な在留資格を持ち、各要件を満たしていれば、日本人と同じ手続きで免許を取得できます。詳しくは酒類販売業免許の要件のページをご覧ください。
ただし、申請書類において外国人特有の対応が必要になる点があります。
外国人が申請する際に必要な追加書類
通常の申請書類に加えて、以下の書類が必要になります。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 在留カードの写し | 在留資格・在留期限・就労制限の有無を確認するために提出 |
| 住民票(外国人登録を含む) | 氏名・住所・国籍・在留資格が記載されたもの |
住民票に通称名が記載されている場合は、通称名で申請書を記載することも可能です。
通常の申請書類の詳細については酒類販売業免許の提出書類のページをご覧ください。
個人事業主として申請する場合
永住者・定住者・配偶者ビザなど、就労制限のない在留資格を持つ方は、日本人と同様に個人事業主として申請できます。開業届を税務署に提出したうえで、通常の申請手続きを進めてください。
この場合、経営管理ビザは不要です。在留資格のカテゴリが身分系であれば、事業の種類を問わず経営が認められています。
法人を設立して申請する場合
法人で申請する場合も基本的な審査要件は日本人と変わりません。ただし、役員に外国人が含まれる場合は、その全員の在留カードの写しが必要になります。
また、法人の定款の事業目的に「酒類の販売」が含まれていることを確認してください。記載がない場合は、定款変更の手続きが必要です。
海外在住の外国人が日本で酒類販売業を始める場合
母国から日本に進出して酒類販売業を始めたい、というご相談もあります。海外在住のままでは事業実態の確認や継続的な事業運営が困難なため、現実的な選択肢は限られます。
日本法人の設立
海外在住の外国人が日本で酒類販売業を始める場合は、まず日本に法人を設立するのが一般的なアプローチです。日本の会社法に基づいて株式会社や合同会社を設立し、その法人を申請主体として免許を取得します。
在留資格の確保が必要
法人を設立しても、酒類販売業を実際に運営するためには、申請者または代表者が日本に在住する必要があります。具体的には経営管理ビザを取得して日本に拠点を移すか、日本人または身分系在留資格を持つ外国人を代表者に据えるかのいずれかになります。
日本の銀行口座開設のハードル
外国法人や、設立直後の日本法人で代表者が海外在住の場合、日本の銀行口座開設が非常に困難です。仕入代金の支払い・売上の入金などの実務面で大きな課題となるため、銀行口座開設の見通しを事前に立てておく必要があります。
共同経営者・日本側パートナーの活用
実務的な解決策として、日本人または身分系在留資格を持つ外国人を共同経営者・代表者に据えるケースがあります。日本側のパートナーが事業運営の中核を担うことで、銀行口座開設・税務手続き・許認可申請などのハードルを下げられます。
輸出・輸入目的での免許取得を検討している方へ
母国に日本のお酒を輸出したい、または母国の酒類を日本に輸入・販売したいという目的で免許取得を検討している外国人の方は少なくありません。
この場合に必要な免許は、販売先・販売方法によって異なります。
- 自分で輸出した酒類を海外の業者・消費者に販売する→ 輸出酒類卸売業免許(2022年以降、越境ECも含めて輸出関連はすべてこの免許)
- 自分で輸入した酒類を国内の業者に卸す→ 輸入酒類卸売業免許
- 自分で輸入した酒類を消費者・飲食店に販売する→ 一般酒類小売業免許
- 自分で輸入した酒類を国内消費者にネット通販で販売する→ 通信販売酒類小売業免許
輸出入を伴う免許申請では、海外の取引先からの取引承諾書(注文書等)の提出が必要になります。英語以外の言語で作成されている場合は、日本語訳の添付が求められることがあります。
輸入販売の詳しい解説はワイン輸入販売の免許完全ガイドもご覧ください(ワインだけでなく他の輸入酒類にも応用できる解説です)。
外国人事業者によくある事業モデル
外国人事業者からよくご相談いただく事業モデルを整理します。
モデル1:日本酒・焼酎の海外輸出
日本の地酒を母国に輸出するモデル。インバウンド需要を背景に、近年最も増えているパターンです。
必要な免許:
登録免許税:90,000円
モデル2:母国の酒類を日本に輸入
母国のワイン・スピリッツ・ビール等を日本に輸入して販売するモデル。
必要な免許:
- 輸入酒類卸売業免許(自社輸入分を国内の酒販店に卸売する場合)
- 一般酒類小売業免許(店頭で消費者・飲食店に直接販売する場合)
- 通信販売酒類小売業免許(EC販売の場合)
詳しくはワイン輸入販売の免許完全ガイドもご覧ください。
モデル3:外国人観光客向けの酒販店
訪日外国人観光客向けに、日本酒・焼酎・ウイスキー等を販売する小売店のモデル。
必要な免許:
登録免許税:30,000円
モデル4:海外向け越境EC
ECサイトを通じて海外の消費者に日本酒等を販売するモデル。2022年以降のルール変更で、これも輸出酒類卸売業免許の対象となりました。
必要な免許:
申請取次行政書士のサポート内容
当事務所は、酒類販売業免許の申請代行に加えて、申請取次行政書士として在留資格(ビザ)の申請サポートも行っています。
在留資格と酒類販売業免許の同時サポート
経営管理ビザの取得と酒類販売業免許の取得を同時進行で進めたい場合や、在留資格の変更を検討している段階からご相談いただくことが可能です。両方の手続きを統括することで、進捗管理・書類整合性の確保がスムーズになります。
入管への出頭が原則不要
申請取次行政書士は、入国管理局への申請を代理で行うことができます。お客様自身が入管に出頭する必要が原則ないため、本業に専念しながら手続きを進められます。
事業計画書の作成サポート
経営管理ビザの取得には事業計画書が重要です。酒類販売業の知識を持つ行政書士が、ビザ申請と免許申請の両方に活用できる事業計画書の作成をサポートします。
ご相談はお気軽に
「まず自分の在留資格で免許が取れるか確認したい」という段階でもお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。
経営管理ビザの取得と酒類販売業免許の取得を同時進行で進めたい場合や、在留資格の変更を検討している段階からのご相談も承っております。
よくあるご質問
Q. 外国人でも日本で酒類販売業免許を取得できますか?
A. はい、取得できます。酒税法には外国人であることを理由に免許を付与しないという規定はありません。ただし、日本で事業を経営できる在留資格(永住者・日本人の配偶者等・経営管理ビザ等)を持っていることが前提となります。
Q. 技術・人文知識・国際業務(技人国)の在留資格で酒類販売業を始められますか?
A. 原則できません。技人国は会社員として雇用されて業務に従事するための在留資格で、自ら事業を経営することは認められていません。酒類販売業を始める場合は、経営管理ビザへの変更を検討する必要があります。
Q. 経営管理ビザの取得要件を教えてください。
A. 2025年10月の制度改正以降、(1)事業所の確保(自宅兼用は原則不可)、(2)日本人・特別永住者・身分系在留資格を持つ外国人のいずれかの常勤職員を1名以上雇用、(3)申請者または常勤職員のうち少なくとも1名が一定の日本語能力(JLPT N2相当以上など)、(4)学歴または3年以上の業務経験の主な要件があります。
Q. 永住者ですが、個人事業主として申請できますか?
A. 可能です。永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者・特別永住者などの就労制限のない在留資格をお持ちであれば、日本人と同様に個人事業主として申請できます。経営管理ビザは不要です。
Q. 海外在住の外国人が日本で酒類販売業を始めることはできますか?
A. 可能ですが、いくつかのハードルがあります。日本法人を設立した上で、申請者または代表者が経営管理ビザを取得して日本に在住する必要があります。海外在住のままでは、事業実態の確認や継続的な事業運営が困難なため、日本側のパートナーとの共同経営や、代表者の日本移住が現実的な選択肢となります。
Q. 外国人特有の追加書類は何ですか?
A. 通常の申請書類に加え、在留カードの写し(在留資格・在留期限・就労制限の有無を確認するため)と、外国人登録を含む住民票(氏名・住所・国籍・在留資格が記載されたもの)が必要です。法人で役員に外国人が含まれる場合は、その全員の在留カードの写しが必要となります。
Q. 日本酒を母国に輸出したいのですが、どの免許が必要ですか?
A. 日本国内で仕入れた日本酒を海外に輸出する場合は、輸出酒類卸売業免許が必要です。2022年以降、海外の業者・消費者への販売(越境ECも含む)はすべて輸出酒類卸売業免許の対象です。一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許では海外向け販売はできません。
Q. 経営管理ビザの取得と酒類販売業免許の取得は同時に進められますか?
A. 当事務所は申請取次行政書士として在留資格申請も対応しているため、両方の手続きを並行してサポートすることが可能です。ビザを取得しないと免許申請が実質的に困難な側面もあるため、両方の手続きの順序については事前に専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
- 外国人でも日本人と同じ手続きで酒類販売業免許を取得可能
- 事業経営できる在留資格(身分系・経営管理ビザ)が前提
- 経営管理ビザは2025年10月改正で要件が強化(オフィス・常勤職員・日本語能力・職務経験)
- 外国人特有の追加書類は在留カード・住民票のみ
- 個人事業主・法人いずれでも申請可能
- 海外在住者は日本法人+経営管理ビザまたは日本側パートナーを活用
- 当事務所は申請取次行政書士として在留資格申請にも対応
「在留資格で免許が取れるか確認したい」「経営管理ビザの取得と酒類販売業免許の取得を同時に進めたい」という方は、初回相談無料でご相談を承っております。お気軽にご連絡ください。
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- 通信販売酒類小売業免許の申請代行
- ワイン輸入販売の免許完全ガイド
- 酒類販売業免許の要件
- 酒類販売業免許の提出書類
- 酒類販売業免許はどれが必要?
- これまでの取扱事例
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この記事は、行政書士・社会保険労務士(酒類販売業免許申請分野の実務経験16年、2000件以上の実績/申請取次行政書士)が、実際の申請・相談事例をもとに解説しています。
最終更新日:2026年4月25日
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