酒類販売業免許は個人と法人どちらで申請すべきか

「法人を設立してから申請した方がいいですか?それとも個人事業主のまま先に免許を取った方がいいですか?」酒類販売業免許の申請相談でよく受ける質問のひとつです。結論から言えば、免許の種類・取得までの期間・登録免許税は、個人でも法人でも変わりません。免許の難易度そのものに差はありませんが、審査で確認される書類の内容が異なります。このページでは、両者の違いを実務的な観点から整理します。

個人と法人で異なる点・異ならない点

項目 個人事業主 法人
取得できる免許の種類 同じ(制限なし) 同じ(制限なし)
登録免許税 小売3万円・卸売9万円 同じ
審査期間 約2か月 同じ
人的要件の審査対象 申請者本人 法人+役員全員
経営基礎要件(財務) 直近の所得・資産状況 直近3期分の決算内容
事業計画書の要否 創業者は必要 新設法人は特に重要
後から名義変更 できない(法人成りは再申請) できない(個人成りも再申請)

法人申請で注意が必要な点:決算内容の審査

法人の場合、直近3期分の決算書が経営基礎要件の審査対象になります。具体的には、債務超過の状態が続いている、または3期連続で赤字が続いているような場合、経営基礎要件を満たさないとして免許が付与されないことがあります。

この点が個人事業主との最大の違いです。個人事業主の申請では決算書に相当するような財務審査は行われず、税務申告の状況や資産・負債の概況を確認する程度にとどまります。

そのため、法人の財務状況に問題がある場合、代表者が個人事業主として申請するという選択肢が現実的な対応になることがあります

法人申請で注意が必要な点:役員全員が審査対象になる

人的要件については、法人申請の場合は役員全員が審査対象です。個人申請であれば申請者本人だけを確認すればよいところ、法人の場合は代表取締役だけでなく、取締役・監査役を含む全役員の納税状況と欠格事由の有無が確認されます。

税に関する人的要件は2段階に分かれています。

  • 申請前2年以内に国税または地方税の滞納処分を受けたことがないこと(過去の処分に関する要件)
  • 現に国税または地方税を滞納していないこと(申請時点の状況に関する要件)

前者は申請書に誓約として記載し、後者は都道府県・市区町村が発行する納税証明書で確認されます。

実例:役員の住民税未納で免許交付が保留になったケース

当事務所が関与した案件で、法人名義での申請を進めていたところ、審査の過程で役員のひとりに住民税の未納があることが税務署から指摘されたケースがありました。

この場合、申請が却下されたわけではありません。ただし、未納分の完済が確認されるまで免許は交付されず、開業の予定が大幅にずれ込むこととなりました。「滞納処分を受けた」という過去の処分歴とは異なり、「現に滞納している」という状態そのものが解消されない限り、審査は前に進まないためです。

役員が多い法人や、非常勤役員・社外取締役が含まれる場合は、こうした問題が申請後に発覚するリスクが特に高くなります。

新設法人で申請する場合の留意点

設立したばかりで決算を一度も迎えていない新設法人でも、酒類販売業免許の申請は可能です。ただし、決算書に代わって事業計画書や収支見込みの合理的な説明が求められます。数字の根拠が乏しい計画書では補正を求められることがあるため、具体的な仕入先・販売先・販売方法の見通しを丁寧に説明する必要があります。

個人で取得した免許を法人に引き継ぐことはできない

「まず個人で免許を取って、法人化したら引き継げばいい」と考えている方がいますが、酒類販売業免許は名義変更ができません。個人から法人に切り替える場合は、個人の免許の取消申請と、法人としての新規申請を同時に行う必要があります。

手続きとしては、法人名義での免許交付申請と同時に個人免許の取消申請書を提出し、法人の免許が交付された時点で個人の免許が取り消されます。申請中も個人名義のまま営業を継続できるため、販売を中断する必要はありません。ただし、販売場の賃貸借契約を法人名義で締結し直すことが必要になります。

法人成りのタイミングで申請した方がよいケース

事業拡大や資金調達を理由に法人化を予定しているなら、法人化と同時に法人名義で申請する方が手間が少なくなります。個人免許を先に取得してしまうと、後から法人成りの際に再度申請費用(登録免許税)が発生し、書類も改めて準備することになります。

一方、法人化の予定がなく、まずは個人事業主として販売を始めたいという場合は、個人名義で申請すれば十分です。将来的に法人成りしたとしても、その時点で改めて申請できます。

どちらで申請すべきか:判断の目安

以下を参考に申請名義を決めてください。

状況 推奨
すでに法人を設立済み、法人として事業を行う 法人で申請
個人事業主として販売を始める予定、法人化の予定なし 個人で申請
法人の決算が債務超過・連続赤字 個人で申請を検討
役員に欠格事由に該当する者がいる 個人で申請を検討
近く法人化を予定している 法人化後に法人名義で申請

原則として、実際に事業を行う主体の名義で申請するのが基本です。「個人と法人のどちらが有利か」ではなく、「誰が事業を行うか」を軸に判断してください。

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「個人と法人のどちらで申請すればよいか迷っている」「法人成りに合わせて免許の切り替えを検討している」といったご相談にも対応しています。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

 

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  • 販売方法は?(ワインを飲食店に販売、日本酒を通信販売、ウイスキーの輸出、など)
  • 申請者の経歴(法人の場合は役員の経歴)

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