酒類卸売業免許の取引承諾書とは?取得が難しい場合の対処法を行政書士が解説
酒類卸売業免許の申請で多くの方が苦労するのが、取引承諾書の取得です。申請書類として必要なのに、免許を持っていない段階で取引先から書面をもらうことは簡単ではありません。この記事では、取引承諾書が必要な理由と、取得が難しい場合の対処法を解説します。
なぜ卸売業免許には取引承諾書が必要なのか
酒類販売業免許には小売業免許と卸売業免許の2種類があります。小売業免許は消費者(飲食店を含む)への販売を対象とするのに対し、卸売業免許は酒類販売業免許を持つ業者への販売を対象とします。
卸売業免許の申請では、小売業免許の申請と異なり、仕入先と販売先の取引承諾書等の提出が求められます。これは「どこから仕入れて、どこに販売する計画があるのか」を書面で証明するための書類です。税務署は、この取引承諾書によって事業計画の具体性と実現可能性を審査します。
取引承諾書の取得が難しい理由
取引承諾書の取得が難しい主な理由は、免許を持っていない段階での依頼になるという点です。
担当者間では口頭で合意ができていても、会社として正式な書面を発行することには慎重になる取引先が多いのが実情です。「免許が取れてから正式に取引しましょう」という対応をされるケースも少なくありません。しかし免許申請のためには承諾書が必要、という鶏と卵の状況になりやすいのです。
取引承諾書を取得するための対処法
①「免許申請用」であることを明示して依頼する
承諾書の用途を明確に伝えることで、相手方も対応しやすくなります。「酒類販売業免許の申請に必要な書類であり、実際の取引開始は免許取得後になる」ということを丁寧に説明することが重要です。免許申請のための書類提供であれば、正式な取引契約とは異なるものとして対応してもらえる場合があります。
②書面の内容をシンプルにする
取引承諾書に記載が必要な内容は、「取引する意向がある」という趣旨が確認できれば足ります。価格・数量・詳細な取引条件まで記載された正式契約書である必要はありません。相手方の負担が小さいシンプルな書式を提案することで、承諾を得やすくなる場合があります。
③既存の取引関係を活用する
すでに取引実績がある仕入先・販売先がある場合は、そちらから優先的に承諾書を取得します。まったく面識のない相手より、既存の取引先の方が書面の発行に応じてもらいやすいためです。
④販売先の業種を見直す
卸売先として想定している相手が、酒類販売業免許を持つ業者かどうかを事前に確認することも重要です。飲食店は酒類販売業免許を持たない消費者として購入する立場のため、飲食店への販売は小売に該当し、卸売業免許ではなく小売業免許で対応できます。販売先の業態によっては、そもそも卸売業免許が必要ない場合もあります。
⑤まず小売・通販免許を取得し、実績を積んでから卸売を追加する
取引承諾書がどうしても揃わない場合は、まず一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許を取得するという段階的な取得方法も有効です。
小売・通販免許を取得して実際に酒類販売を始めると、「酒類販売業免許を持つ事業者」として業界内での信頼が生まれます。取引先が増えたり、既存の取引先から他の業者を紹介してもらえるようになったりと、卸売先・仕入先のネットワークが自然と広がっていきます。その結果、卸売業免許の申請に必要な取引承諾書を取得しやすくなります。
小売・通販免許取得後に卸売業を追加する場合は、新規で免許を申請するのではなく、条件緩和の申出という手続きで追加取得できます。最初から卸売免許の取得にこだわらず、段階的に免許を拡充していくことが、結果的にスムーズな事業立ち上げにつながるケースがあります。
まとめ
- 酒類卸売業免許の申請には、仕入先・販売先からの取引承諾書等が必要
- 免許取得前の段階で書面をもらうことは難しいケースが多い。「免許申請用の書類」であることを明示して依頼することが有効
- 取引承諾書はシンプルな内容で足りる。正式な取引契約書である必要はない
- 飲食店への販売は小売に該当するため、卸売業免許ではなく小売業免許で対応できる場合がある
- 取引承諾書が揃わない場合は、まず小売・通販免許を取得して実績を積み、条件緩和の申出で卸売免許を追加する段階的な取得も有効
取引承諾書の取得方法や、卸売業免許の申請準備についてご不明な点がある方は、お気軽にご相談ください。










