酒類販売業免許の申請では、事業を継続して行うための資金があることを証明する書類が必要です。新設法人の場合は銀行口座の開設自体にも時間がかかるケースがあるため、早めに準備を始めることが重要です。
1. 所要資金とは
酒類販売業免許の経営基礎要件のひとつとして、申請者が最初の1ヶ月分の仕入れ等に必要な所要資金を上回る自己資金を有していることが求められます。
所要資金の目安は、事業計画上の初月の仕入れ代金・経費等をもとに算出します。申請書類の「所要資金の明細」欄に具体的な金額を記載し、それを上回る資金があることを証明する書類を提出します。
2. 資金証明の方法
所要資金を上回る資金があることを証明するために、以下の書類を提出します。
- 銀行の残高証明書(発行日から一定期間以内のもの)
- 銀行通帳のコピー(残高が確認できるもの)
- ネットバンクの口座情報の画像・スクリーンショット
残高証明書を提出する場合、税務署から原本の提出を求められることがあります。コピーではなく原本を用意しておくと安心です。
ネットバンクを利用している場合は、口座情報の画面のスクリーンショットや印刷物でも対応できます。ただし、以下の情報がすべて確認できることが必要です。
- 銀行名・支店名
- 口座名義
- 残高
- 残高の時点がわかる日時
なお、ネットバンクの中には残高証明書をPDFで出力できる銀行もあります。PDF出力が可能な場合はそちらを利用するとより確実です。
3. 新設法人の銀行口座開設における注意点
会社を設立したばかりの場合、法人名義の銀行口座を開設するのに1ヶ月程度かかることがあります。特にメガバンクは審査が厳しく、一度断られるケースも少なくありません。
近年はGMOあおぞらネット銀行・住信SBIネット銀行・楽天銀行などのネットバンクが開設しやすい傾向があり、新設法人が利用するケースが増えています。
酒類販売業を事業目的に含む場合の注意
定款の事業目的に「酒類販売業」が含まれている法人の場合、免許取得前は口座開設を断られることがあります。これはネットバンクでも同様です。
この場合、酒類販売業免許の申請書の控えを追加で提出することで、口座開設が認められるケースが多いです。免許申請中であることを証明することで、銀行側の審査をクリアできる場合があります。
なお、令和7年から税務署は申告書・申請書の受領印を押さなくなりました。そのため、以前のような「税務署の受付印付きの控え」は用意できません。当事務所でこれまで対応してきた案件では、代わりに行政書士の代行印を押した申請書の控えを提出することで、口座開設が認められたケースがあります。
免許申請と銀行口座開設を並行して進める必要がある場合は、申請の早い段階で銀行に相談しておくことをお勧めします。
4. 準備のスケジュール感
新設法人が酒類販売業免許を取得するまでのスケジュールは、おおよそ以下のような流れになります。
- 会社設立・登記(1〜2週間)
- 銀行口座開設の申し込み(口座開設まで2〜4週間程度)
- 免許申請の準備・書類収集(並行して進める)
- 税務署へ申請(残高証明書等が揃い次第)
- 審査・免許交付(申請から約2ヶ月)
銀行口座の開設に時間がかかることを見越して、会社設立後できるだけ早めに口座開設の手続きを始めることが重要です。
5. よくある質問
Q. 残高証明書は、法人名義の口座でなければいけませんか?
法人として申請する場合は、原則として法人名義の口座の残高証明書が必要です。会社設立直後で法人口座の開設が間に合わない場合は、開設状況を踏まえて税務署に相談することをおすすめします。
Q. 残高証明書の発行から申請までの期限はありますか?
税務署によって求められる有効期間の目安が異なる場合があるため、申請直前に取得することをおすすめします。古い証明書では所要資金を満たしているかの確認ができないと判断されることがあります。
Q. ネット銀行でも定款に「酒類販売業」を含む場合は口座開設を断られますか?
断られる場合があります。メガバンクに限らずネット銀行でも同様の傾向が見られます。その場合は、免許申請中であることを示す申請書の控えを提出することで開設が認められるケースが多いため、申請と口座開設を並行して進めることをおすすめします。なお、令和7年から税務署は申請書への受領印を押さなくなったため、当事務所では行政書士の代行印を押した控えを提出する形で対応しています。
Q. 所要資金の金額はどのように決まりますか?
事業計画上の初月の仕入れ代金・経費等をもとに算出します。事業の規模や取扱品目によって金額は異なるため、具体的な事業計画に基づいて算出する必要があります。
まとめ
- 酒類販売業免許の申請には、所要資金を上回る自己資金があることを残高証明書または通帳コピーで証明する必要がある
- 新設法人は銀行口座の開設に時間がかかるため早めに手続きを開始する
- 事業目的に酒類販売業を含む法人はネットバンクでも口座開設を断られる場合がある。令和7年の受領印廃止後は、行政書士の代行印を押した申請書の控えを提出することで開設できたケースがある
- 免許申請と銀行口座開設は並行して進めるのが効率的
所要資金の証明方法や、新設法人での免許申請についてご不明な点がある方は、お気軽にお問い合わせください。










