全国に多数の店舗を展開する企業が酒類販売を始める場合、酒類販売業免許は会社単位ではなく、原則として販売場となる店舗ごとに取得する必要があります。
今回は、全国展開する多店舗チェーン企業様からご依頼をいただき、各店舗でお酒のデリバリー販売を行うため、未取得となっていた全国70店舗分の一般酒類小売業免許申請をお手伝いしました。
店舗数が多いだけでなく、FCから直営へ切り替わった店舗、契約形態が異なる店舗、過去に免許取得が難しいと判断されていた店舗など、それぞれに異なる事情がありました。
そこで、店舗ごとの契約関係や営業形態を確認しながら、毎月約20店舗ずつ段階的に申請を進めました。
全国規模で多店舗の酒類販売業免許を取得する際の進め方や、店舗ごとに生じた実務上の課題についてご紹介します。
1. 事例の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼者の業種 | 全国展開する多店舗チェーン企業(各店舗でお酒のデリバリー販売) |
| 申請件数 | 全国70店舗分の一般酒類小売業免許 |
| 申請の進め方 | 毎月約20店舗ずつ、関東→東北→中部→関西→四国→九州の順で段階的に申請 |
| 特記事項 | 農地転用未了の土地の店舗、FC(フランチャイズ)から直営への切替店舗等、個別事情のある店舗が多数含まれる |
2. ご相談の経緯
今回ご依頼いただいたのは、全国で多数の店舗を展開している企業様です。
各店舗でお酒のデリバリー(販売)を行うため、酒類販売業免許が必要となりました。
ただし、当初は
- 店舗によって免許の有無がバラバラ
- 一部店舗では、免許取得を諦めていた
という状況でした。
そこで、未取得の70店舗について新規で免許申請を行うことになりました。
3. 毎月約20店舗ずつ、段階的に申請
酒類販売業免許の申請では、店舗ごとに賃貸借契約書や図面を確認し、酒類販売管理者の選任・研修受講状況、営業形態などを整理する必要があります。
今回の案件は全国70店舗が対象で、店舗ごとに契約内容や営業状況も異なっていました。
そのため、一度にすべてを申請するのではなく、資料の収集状況や各店舗の状況を確認しながら、毎月約20店舗ずつ段階的に申請する方法を採りました。
最初は関東エリアの店舗から着手し、その後、東北、中部、関西、四国、九州へと順次申請を進めました。
多店舗の申請では、店舗数だけでなく、それぞれの店舗で必要となる資料や確認事項を整理し、全体のスケジュールを管理しながら進めることが重要です。
4. 申請から約1週間で免許が交付された店舗も
今回の70店舗の申請では、申請から免許交付までの期間にも違いがありました。
関東エリアの一部店舗では、申請から約1週間で免許が交付されたケースがあった一方、追加資料の提出や現地の状況について確認を受けた店舗もありました。
酒類販売業免許の標準処理期間はありますが、実際の審査期間は申請内容や追加確認の有無などによって異なることがあります。
今回のような多店舗申請では、すべての店舗が同じスケジュールで進むとは限らないため、店舗ごとの進捗を管理しながら対応しました。
5. 同じチェーンでも店舗ごとに状況を確認
今回の企業様には、
- 会社名変更の履歴がある店舗
- FC(フランチャイズ)運営から直営へ切り替わった店舗
- 賃貸借契約などの契約形態が異なる店舗
などが含まれていました。
同じチェーン店であっても、販売場ごとに酒類販売業免許を申請するため、すべての店舗についてまったく同じ書類を使用できるとは限りません。
そこで、各店舗の過去の経緯、契約関係、営業形態などを個別に確認し、必要となる資料を整理したうえで申請を行いました。
全国規模の多店舗申請では、共通化できる資料はできるだけ共通化しつつ、店舗固有の事情については個別に対応することが、効率よく申請を進めるポイントとなります。
6. 本件では管轄税務署によって追加確認の内容に違いがありました
今回の申請では、同じチェーンの店舗であっても、管轄する税務署によって追加で確認された事項や、提出を求められた資料に違いがありました。
例えば、ある店舗では申請時の資料で審査が進んだ一方、別の店舗では契約関係や営業実態について補足資料の提出を求められたケースがありました。
また、免許通知書の交付方法や、免許交付時の連絡方法などについても、本件では税務署ごとに異なる対応がありました。
これは、酒類販売業免許の要件そのものが税務署ごとに異なるという意味ではありません。
実際の審査では、それぞれの販売場の状況や提出資料の内容に応じて、追加確認が行われることがあります。
そのため、多店舗申請では「前の店舗では求められなかったから、次の店舗でも不要」と決めつけず、それぞれの申請について適切に対応することが重要です。
7. 農地転用が未了とされていた土地の店舗でも申請
70店舗の中には、店舗が建っている土地について登記上の状況に問題があると考えられ、社内では「酒類販売業免許の取得は難しいのではないか」と判断されていた店舗もありました。
具体的には、店舗敷地について農地転用に関する確認が必要な状態でした。
そこで、関係資料や土地・建物の利用状況を確認したうえで、管轄税務署に事情を説明し、申請の可否について確認しながら手続きを進めました。
その結果、本件については申請を行うことができ、最終的に一般酒類小売業免許が交付されました。
ただし、この事例をもって「農地転用が未了であっても酒類販売業免許を取得できる」と一般化することはできません。
土地や建物に関する問題がある場合は、その内容や実際の利用状況などによって判断が異なります。まずは関係資料を確認し、個別に検討することが重要です。
8. よくある質問
Q. チェーン店で複数店舗を展開している場合、1店舗分の書類をそのまま使えますか?
すべての書類をそのまま使えるとは限りません。
法人に関する共通資料など、複数店舗で利用できるものもありますが、賃貸借契約書や店舗図面、販売場の状況などは店舗ごとに異なります。
今回も、FCから直営への切替や契約形態の違いなどがあったため、各店舗について個別に確認しながら申請しました。
Q. 多数の店舗を一度に申請することはできますか?
申請自体は可能ですが、必要書類の準備状況や各店舗の営業状況によって、適切な進め方は異なります。
今回の70店舗については、資料収集や個別確認に必要な時間を考慮し、毎月約20店舗ずつ段階的に申請しました。
多数の店舗を申請する場合は、出店時期や酒類販売開始予定日なども考慮してスケジュールを組むことが重要です。
Q. 店舗敷地について農地転用などの問題がある場合、酒類販売業免許は取得できませんか?
土地や建物に問題があるからといって、一律に免許取得ができないと判断できるものではありません。
今回の事例では、関係資料と実際の利用状況を確認し、管轄税務署に事情を説明したうえで申請し、免許を取得することができました。
ただし、土地の状況や問題の内容は案件ごとに異なるため、個別に確認する必要があります。
Q. 同じチェーンでも、追加で求められる資料が異なることはありますか?
あります。
今回の申請でも、店舗の契約関係や営業状況などに応じて、追加資料や説明を求められる内容に違いがありました。
同じチェーン店だからすべて同じ対応になるとは考えず、店舗ごとの状況を確認しながら申請することが大切です。
まとめ
今回の事例では、全国70店舗について一般酒類小売業免許の申請を行いました。
多店舗申請では、単に同じ申請書を複数提出するのではなく、
- 店舗ごとの契約関係や営業形態を確認する
- 共通化できる資料と個別対応が必要な資料を整理する
- 資料の準備状況に応じて申請スケジュールを組む
- 追加確認があった場合には店舗ごとに対応する
といった進行管理が重要になります。
また、本件では、社内で免許取得が難しいと考えられていた店舗についても、関係資料を確認し、管轄税務署と調整しながら申請を進めた結果、免許取得に至ったケースがありました。
全国展開する企業や多店舗チェーンで酒類販売を始める場合には、各店舗の状況を整理したうえで、計画的に申請を進めることが重要です。
行政書士岩元事務所では、全国対応・多店舗チェーン展開企業の申請実績・通販/デリバリー/卸売/輸出入まで一貫対応を行っています。
「店舗数が多くて対応できるか不安」「過去に免許取得を諦めた店舗がある」——このような場合でも、まずは一度ご相談ください。










