酒類販売業免許通知書の読み方と実例解説

― 条件の違い・古い免許の注意点 ―

酒類販売業免許通知書には、
「どの酒類を」「どの方法で販売できるのか」 が明確に記載されています。

例えば一般酒類小売業免許の場合、

「酒類の販売方法は通信販売を除く小売に限る。」

と記載され、「一般酒類小売業免許」という名称がそのまま書かれているわけではありません。

単独免許であれば記載内容は比較的定型的ですが、
複数免許を取得している場合や、古い時代に取得した免許では、税務署ごとに表現が異なることがあります。

今回は、実務で実際に確認した「少し特殊な免許通知書」の事例をご紹介します。


事例①(平成13年取得・東京法人)

当初の免許内容

平成13年に取得された酒類販売業免許通知書には、次のように記載されていました。

酒類販売業は、自社が輸入した酒類(ビール、果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ、リキュール類及び雑酒)の卸売及び小売販売並びに他社が輸入した酒類(果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ、リキュール類及び雑酒)の卸売販売に限る。

「ウイスキー類」という表現など、現在ではあまり見かけない記載が見られます。


令和元年:輸出酒類卸売業免許を追加

条件緩和により輸出酒類卸売業免許を追加した結果次のようになりました。

販売する酒類の範囲並びに販売方法は、以下の場合に限る。

1 自己が輸出する酒類、自社が輸入した酒類(ビール、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュール、発泡酒、粉末酒、その他の醸造酒及び雑酒(平成18年酒税法改正以前のビール、果実酒、発泡酒及びその他の雑酒に該当するものに限る))及び他社が輸入した酒類(ビール(麦を原料の一部としたもの及び旧酒税法上、発泡酒に該当するビール(別紙記載の条件のもの)に限る(平29法4号附則35))、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュール、発泡酒、粉末酒、その他の醸造酒及び雑酒(平成18年酒税法改正以前のビール、果実酒、発泡酒及びその他の雑酒に該当するものに限る))の卸売
2 自社が輸入した酒類(ビール、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュール、発泡酒、粉末酒、その他の醸造酒及び雑酒(平成18年酒税法改正以前のビール、果実酒、発泡酒及びその他の雑酒に該当するものに限る))の小売

別紙
旧酒税法第3条第18号の規定に該当する酒類で、麦芽、ホップ、水及び一定の副原料を発酵させたもの、又はこれにホップ若しくは一定の副原料を加えて発酵させたもので、次に掲げる条件をいずれも満たすもの。

(1)原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のもの。
(2)使用した果実(乾燥したもの若しくは煮つめたもの又は濃縮した果汁を含む。)及び一定の香味料の重量が麦芽の重量の100分の5を超えない(使用していないものを含む。)もの。

  • 「自己が輸出する酒類」の卸売が可能

  • 法改正後の酒税法区分に基づく詳細な品目列挙

  • 旧酒税法との関係整理

など、通知書の内容が大幅に詳細化しました。

特に、

「自己が輸出する酒類」

の文言が、輸出酒類卸売業免許に該当します。

また、平成18年酒税法改正以前のビール区分についても、細かく注記が入っています。

👉 法改正をまたいでいる免許は、通知書の文言が非常に複雑になる傾向があります。


事例②(平成6年取得・東京法人)

当初の免許内容

販売する酒類は自己が輸入した果実酒、甘未果実酒、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュール、発泡酒、粉末酒及びその他の醸造酒。販売方法は、料飲店業者並びに自社の役員及び従業員に対する小売に限る。

ここで注目すべきは、

「自社の役員及び従業員に対する小売に限る」

という部分です。

これはいわゆる特殊酒類小売業免許に該当します。


平成30年:条件緩和で複数免許を追加

追加取得した免許:

酒類の販売方法は、小売並びに自己が輸入した酒類の卸売に限る。ただし、通信販売により小売する場合は、次 によること。
1 販売する酒類の範囲は、輸入酒類に限る。
2 酒類の販売方法は、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象としてカタログ等(インターネット等によるものを含む。)を使用して販売のための誘引行為を行い、通信手段により購入の申込みを受け、配達により商品の引渡しを行う小売販売で、かつ、酒類の購入申込者が未成年者でないことを確認できる手段を講ずる場合に限る。

  • 一般酒類小売業免許

  • 通信販売酒類小売業免許

  • 輸入酒類卸売業免許

その結果、

  • 全酒類の輸入卸売が可能

  • 一般小売への拡大

  • 通信販売対応

となり、販売形態が大きく広がりました。

👉 特殊酒類小売業免許は、条件緩和により大きく事業拡大できる可能性があります。


事例③(平成8年取得・東京個人)

「酒類販売業免許証」には次のように記載されていました。

販売方法は通信販売を除く小売に限る。

平成30年に通信販売を追加しようと条件緩和申請を行ったところ、税務署からの回答は意外なものでした。

すでに通信販売可能な免許である

という説明だったのです。


なぜこのようなことが起きたのか?

この免許は昭和時代に取得されたもので、

この方は父親から相続で免許を取得されたのですが、昭和のころに取得された免許だったため通信販売の制限の免許をお持ちということでした。

ではなぜ、免許証には「通信販売を除く小売」と記載されていたのかというと、その当時は事業者から申し出があって「酒類販売業免許証」を交付するという形式をとっていたそうです。

  • 当時は「免許証」を交付

  • 申出ベースで記載されることもあった

  • 管理が現在ほど厳格でなかった

という事情がありました。

現在は「免許通知書」は交付されますが、
「免許証」は交付されません。

👉 古い免許は、記載内容と実際の権限が一致しない場合があります。


事例④(令和3年取得・山梨法人)

新規取得の通知書には次の記載がありました。

酒類の販売方法は、小売に限る。ただし、酒類を通信販売により小売する場合は、次によること。

1 販売する酒類の範囲は、国産酒類のうちカタログ等(インターネット等によるものを含む。以下同じ。)の発行年月日の属する会計年度(4月1日から翌年の3月31日までの期間をいう。)の前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が、全て3,000キロリットル未満である酒類製造者が製造、販売する酒類に限る。

2 酒類の販売方法については、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象としてカタログ等を使用して販売のための誘引行為を行い、通信手段により購入の申込みを受け、配達により商品の引渡しを行う小売販売で、かつ、酒類の購入申込者が20歳未満の者でないことを確認できる手段を講ずる場合に限る。

通常、国産酒類の通信販売は

  • 「清酒に限る」

  • 「果実酒に限る」

など限定的になることが多いのですが、この事例では

「酒類に限る」

と記載され、国産酒類全般が対象になっていました。

申請時も「酒類に限る」としていましたが、比較的珍しいケースです。


事例⑤(昭和49年取得・福島法人)

当初は「免許証」形式で、

全酒類・小売業

と非常にシンプルな表記でした。こちらも古い免許なので通知書ではなく、免許証となっています。

令和7年に全酒類卸売の条件緩和を申請した結果、

発行されたのは「免許通知書」ではなく

酒類販売業免許の条件解除通知書

でした。

これは、

  • 禁止されていた販売区分の制限を解除

  • 小売・卸売とも制限なし

という意味になります。

👉 「条件追加」ではなく「条件解除」という形式になることがあります。


まとめ

酒類販売業免許は、

  • 取得時期

  • 法改正の影響

  • 条件緩和の有無

  • 税務署ごとの運用

によって、通知書の記載内容が大きく異なります。

特に注意すべきなのは:

✔ 古い免許は現在の制度とズレている場合がある
✔ 相続取得免許は要確認
✔ 条件緩和で大幅に事業拡大できる可能性がある
✔ 通知書の文言を正確に読み解く必要がある


専門家に確認すべきケース

  • 自社の免許で何ができるか分からない

  • 通信販売を始めたい

  • 輸出・輸入を追加したい

  • 古い免許を相続している

  • 卸売を始めたい

通知書の文言を正確に読み解き、
最適な条件緩和をご提案することが可能です。

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