ワインの輸入・販売を始めたいと考えても、「どの酒類販売業免許を取得すればよいのだろう?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
酒類販売業免許は、最初から将来の事業すべてをカバーする形で取得しなければならないわけではありません。まずは現在の販売計画に必要な免許を取得し、その後、事業の広がりに合わせて販売方法や取扱品目を追加することもできます。
今回は、東京都文京区でスペイン食材を販売する法人様が、一般酒類小売業免許と輸入酒類卸売業免許を取得し、その後の条件緩和によって通信販売や洋酒の卸売、輸出にも事業を広げた事例をご紹介します。
初めて訪問したときの印象
初めて会社を訪問したとき、社内ではフラメンコを踊っており、とても明るく楽しい雰囲気だったことを今でも覚えています。
社長様はパーティーがお好きで、人脈も大変豊富な方でした。免許取得のお手伝いをした後も、交流の場にお招きいただくことがあり、多くの方と楽しい時間を過ごさせていただきました。
酒類販売業免許の申請をきっかけに、その後も長くお付き合いが続いている、当事務所にとっても思い出深いお客様です。
取得した免許と事業拡大の流れ
この法人様は、事業の広がりに合わせて段階的に免許条件を追加していきました。
2011年2月|一般酒類小売業免許・輸入酒類卸売業免許を取得
2011年1月4日に、一般酒類小売業免許と輸入酒類卸売業免許を申請しました。輸入酒類卸売業免許の対象は、果実酒・甘味果実酒・ブランデーです。
税務署による審査を経て、同年2月21日に免許を取得しました。
2012年1月|洋酒卸売業免許を追加
免許取得後に取引実績を積み、2012年1月16日には条件緩和の手続きを行いました。これにより、果実酒を対象とした洋酒卸売業免許が追加され、自社で輸入した酒類だけでなく、他社から仕入れた果実酒も卸売できるようになりました。
2016年6月|通信販売酒類小売業免許を追加
2016年6月20日には、再び条件緩和を行い、輸入酒類を対象とした通信販売酒類小売業免許を追加しました。これにより、スペイン産ワインなどの輸入酒類をインターネットでも販売できるようになりました。
2023年7月|卸売・輸出入の対象をさらに拡大
2023年7月7日には、3回目の条件緩和を行いました。
洋酒卸売業免許の対象を洋酒全般に広げるとともに、輸入酒類卸売業免許と輸出酒類卸売業免許についても全酒類を対象に追加しました。これにより、小売・通信販売だけでなく、幅広い酒類の卸売や輸出入にも対応できる免許構成となりました。
| 年月日 | 手続き | 免許・条件の内容 |
|---|---|---|
| 2011年1月4日 | 申請 | 一般酒類小売業免許・輸入卸売業免許(果実酒、甘味果実酒、ブランデー) |
| 2011年2月21日 | 免許取得 | 一般酒類小売業免許・輸入卸売業免許(果実酒、甘味果実酒、ブランデー) |
| 2012年1月16日 | 条件緩和① | 洋酒卸売業免許(果実酒)を追加 |
| 2016年6月20日 | 条件緩和② | 通信販売酒類小売業免許(輸入酒類)を追加 |
| 2023年7月7日 | 条件緩和③ | 洋酒卸売業免許(洋酒全般)・輸入卸売業免許(全酒類)・輸出卸売業免許(全酒類)を追加 |
現在の免許条件(2023年7月以降)
酒類の販売方法は、小売ならびに果実酒・甘味果実酒・ウイスキー・ブランデー・発泡酒・その他の醸造酒・スピリッツ・リキュール・粉末酒・雑酒および自己が輸出し又は輸入した酒類の卸売に限る。ただし、酒類を通信販売により小売する場合は輸入酒類に限る。
少し分かりにくい表現ですが、店頭では酒類を一般消費者に小売することができ、インターネットではスペイン産ワインなどの輸入酒類を販売できます。
卸売については、ワインやウイスキー、ブランデー、リキュールなど、幅広い洋酒を飲食店や酒販店などの事業者へ販売できます。また、自社で輸入する酒類や海外へ輸出する酒類については、洋酒に限らず、すべての品目を取り扱うことができます。
最初に取得した免許と比べると、販売方法・販売先・取扱品目の範囲が大きく広がりました。事業の成長や新たな取引先からの要望に合わせて条件緩和を行うことで、現在の事業に適した免許内容へと発展させた事例です。
この事例のポイント
この事例では、事業の成長に合わせて免許条件を段階的に広げていった点が大きな特徴です。ここからは、取得した免許の違いや、条件緩和によって販売できる範囲を広げる際のポイントをご紹介します。
①輸入卸売業免許と洋酒卸売業免許の違い
輸入卸売業免許は「自社が輸入した酒類」のみを卸売できる免許です。一方、洋酒卸売業免許は輸入元や仕入れ先を問わず、対象品目(洋酒)であれば他社仕入れ品も含めて卸売できます。当初は自社輸入品に限定した輸入卸売業免許からスタートし、取引実績を積んだのちに洋酒卸売業免許を取得するという、典型的な段階的拡張の事例です。
②条件緩和で事業を段階的に拡大
新たに免許を取り直す必要はなく、「条件緩和」という手続きにより、既存の免許に販売品目・販売方法を追加することができます。この法人様は2011年の取得から2023年にかけて3回の条件緩和を行い、小売・卸売・通信販売・輸出入のすべてをカバーする体制に育てています。
③通信販売酒類小売業免許は「輸入酒類限定」が基本
通信販売で販売できる酒類は、国産品については「課税移出数量が3,000キロリットル未満の製造業者が製造した酒類」に限られます。スペイン産ワインなどの輸入酒類を主力とするこの法人様の場合、輸入酒類限定の条件でも事業上の支障はなく、スムーズに条件緩和が認められました。
申請の概要
- 申請者:法人(スペイン食材販売業)
- 申請場所:東京都文京区
- 取得免許:一般酒類小売業免許、輸入卸売業免許(初回)、以後条件緩和で洋酒卸売・通信販売・輸出卸売を追加
- 標準処理期間:申請から約2か月(2011年当時)










