酒類販売業免許の申請書を税務署に提出すると、審査担当の酒類指導官による審査が始まります。この審査の過程で、酒類指導官が申請場所に直接出向いて確認を行う「現地確認」が実施されることがあります。
1. 審査中の現地確認
現地確認の目的
審査中の現地確認は、主に以下の2つを目的として行われます。
- 販売場の適格性の確認:申請場所が酒類の販売場として適切な状態にあるかどうかを実際に見て確認します。販売場の広さ・設備の状況・他の用途や他の営業との区分けが明確になっているかといった点が主な確認事項です
- 申請内容のヒアリング:申請書に記載した販売方法・販売先・管理体制等について、実態と相違がないかを申請者から直接聞き取ります
所要時間と準備
現地確認の所要時間はケースによって異なり、短い場合は20分程度で終わることもあれば、1時間以上かかることもあります。
事前に申請内容を整理し、担当者からの質問に的確に答えられるよう準備しておくことが重要です。特に以下の点は確認されやすいため、回答を整理しておくとよいでしょう。
- どこから仕入れて、誰に販売する予定か
- 販売場のどの場所で酒類を管理・販売するか
- 飲食営業や他の事業と販売場がどのように区分されているか
- 酒類販売管理者は誰が担当するか
現地確認が行われやすいケース
すべての申請で現地確認が行われるわけではありませんが、以下のような場合は確認が行われやすい傾向があります。
- 飲食店や他の事業と同一の場所での申請
- 同フロアに複数の法人・事業者が同居している場合
- 販売場の区分が図面から判断しにくい場合
- 特殊な販売方法(海底熟成・移動販売等)を予定している場合
2. 免許取得後の現地確認
現地確認は免許通知書の交付後にも行われることがあります。免許取得後の確認は、酒類販売を適切に行っているかどうかを確認することが目的です。
コロナ禍以降、飲食店が酒類小売販売の免許を取得するケースが増えており、飲食店併設の販売場については免許取得後に現地確認が行われることがある傾向があります。通常は事前に税務署から連絡があり、日程調整のうえで確認が行われます。ただし店舗の場合は、担当職員がたまたま近くに来た際に立ち寄る形で確認されることもあるようです。
主な確認事項は以下のとおりです。
- 酒類の表示義務の履行状況:酒類の品目・製造者名・アルコール分・内容量等が法令どおりに表示されているか
- 飲食用と販売用の区分管理の状況:飲食提供用のお酒と販売用のお酒が帳簿・在庫ともに適切に区分されているか
- 帳簿の記載状況:仕入れ・販売の記録が適切に記帳されているか
- 酒類販売管理者の選任・研修受講状況:酒類販売管理者が選任されており、定期的に研修を受講しているか
3. 免許取得後も適正な運営が求められる
酒類販売業免許に更新制度はなく、一度取得すれば継続して使用できます。しかし、販売方法・帳簿の記載・表示義務の履行状況等に問題がある場合には、免許取消事由に該当することがあります。免許が取り消されると、再度の申請にも制限が生じます。
現地確認はいわば定期的なコンプライアンスチェックとも言えます。日頃から法令を遵守した運営を続けることが、安定した事業継続の前提となります。不明な点がある場合は、所轄の税務署または酒類指導官にご相談ください。
4. よくある質問
Q. 現地確認の連絡はいつ頃来ますか?
審査中の現地確認は、申請から一定期間経過後、審査の過程で税務署から日程調整の連絡が入るのが一般的です。免許取得後の確認についても、通常は事前連絡のうえで日程調整されますが、店舗の場合は予告なく立ち寄られることもあります。
Q. 現地確認で何か不備を指摘されたら、その場で免許が不許可になりますか?
その場で結論が出ることは少なく、指摘事項については後日、追加の説明や書類提出、必要に応じて是正対応を求められることが一般的です。指摘内容に応じて誠実に対応することが重要です。
Q. 同じ建物に他の法人が入居している場合、必ず現地確認がありますか?
必ずというわけではありませんが、販売場の区分状況を実際に確認する必要性が高いため、現地確認が行われる可能性は高くなる傾向があります。事務所内の写真の提出だけで済む場合もあります。
Q. 免許取得後の現地確認で問題が見つかった場合、すぐに免許取消になりますか?
軽微な問題であれば、指導・是正のうえで運営を続けられるケースが一般的です。ただし、重大な違反や改善が見られない場合は、免許取消事由に該当する可能性があるため、指摘を受けた際は速やかに対応することが重要です。
まとめ
- 審査中の現地確認は、販売場の適格性確認と申請内容のヒアリングが目的。所要時間は20分〜1時間以上とケースによって異なる
- 飲食店との併設・同フロア複数事業者・特殊な販売方法など、販売場の区分が複雑なケースは現地確認が行われやすい
- 免許取得後も現地確認が行われることがある。飲食店併設の販売場は特に確認されやすい傾向がある。通常は事前連絡・日程調整のうえ実施されるが、店舗の場合は担当職員が近くに来た際に立ち寄る形での確認もある
- 免許に更新制度はないが、法令違反があれば取消事由に該当する。日頃から適正な運営が重要
現地確認への対応や、申請準備についてご不明な点がある方は、お気軽にお問い合わせください。










